スマホはOK、スマートグラスはお断り。英国の人気パブで何が起きている?
お酒を飲んでいるとき、隣りの人にスマートグラスでガン見されたら、いい気はしませんね。
スマートグラスの人気が高まるにつれて、使用禁止になる場所も増えています。
ニューヨーク州のすべての裁判所がそうであるように裁判所での使用は禁止されていますし、クルーズ船の一部エリア、標準化テスト(共通一次テストのようなもの)の会場など、すでにスマートグラス禁止エリアはいくつも挙げることができます。
まあ、これらの場所で禁止されるのは当然ですが、イギリスではさらに踏み込んだ対応がとられているようですよ。
800店舗の人気パブチェーンも動いた
The Guardianによると、イギリス各地の人気店でスマートグラスの使用を一部または全面的に禁止する動きが拡大中。超人気のあるパブ(イギリスの伝統的な社交場となっている酒場)やレストランの経営者にも賛同者が増えています。
その筆頭が、イングランドとアイルランドに約800店舗を展開するパブチェーンであるWetherspoons(ウェザースプーン)です。
ウェザースプーンの創業者であるティム・マーティン氏は、今回の決定についてThe Guardianに次のように説明しています。
当社のパブはもちろん、他のほとんどのパブに適用される一般的なルールとして、顧客や従業員を許可なく撮影することは禁止されています。
Meta(メタ)のスマートグラスは、こっそり監視するのを可能にする点で、この規範や常識に反しているように思われます。そのため、カメラをオフにしていただくようお願いするというのが、私たちの直感的な対応です。
これは、パブ内で動画の音声をスピーカー再生することを禁止する私たちの取り組みと同じです。どちらも他者のパーソナルスペースを侵害する行為ですから。
スマホはOKなのに、スマートグラスはなぜNG?
この説明はかなり落ち着いトーンで、対立をあおるようなものではありませんが、多くのことを物語っています。たとえば、スマホは明らかに人をこっそり録画できるにもかかわらず、ウェザースプーンのパブでは禁止されていません。
このことから、スマートグラスは「こっそり撮影できるツール」ではなく、「こっそり撮影するためのツール」だとみなされていることがわかります。
マーティン氏は、スマートグラスを着用したままだと入店できないとまでは言っていないものの、使用すればパブの規則に違反することを明確に示しています。
高級レストランも「生まれ持った目以外の視線はNG」
スマートグラスへの嫌悪感を示しているのは、ウェザースプーンだけではありません。
ロンドンで人気の高級レストランを経営するジェレミー・キング氏も、録画をしているかどうかは関係なく、店内ではスマートグラスの着用を控えるよう客に呼びかけており、The Guardianに対して次のようにコメントしています。
生まれ持った「目」以外の手段でお客様のプライバシーが侵害されるのを黙認するつもりは一切ありません。
パブやレストランでのスマートグラスの使用禁止は、これまでの流れの延長線上にあるとも言えますが、動きがエスカレートしているようにも感じられます。
カンニングに使用されるおそれがある試験会場や、司法手続きを妨害するリスクがある裁判所のような、厳密に管理された限定的なシチュエーションで使用禁止になるのは理解できます。でも、パブやレストランってどうなんでしょうか。基本的に誰でも出入りできて、多くの人が頻繁に訪れる場所です。
ルールを適用して実際に客の行動を制限できるかどうかはまた別の問題としても、背景にある感情はかなり明白で、それは決してスマートグラスに対して肯定的なものではありません。
でも、そもそもパブやレストランでわざわざスマートグラスをかけて、周囲から怪しいヤツと思われたい人っているんでしょうか?