「100円玉と勘違い」珍コイン使った客に“神対応”、農工大生協の投稿話題 法的には被害者になるって?

「大切な貴重品の珍しいコインを当店にて100円玉と間違えて使われたお客様!」

東京農工大生協(農学部店購買部)の公式Xによる呼びかけが、SNS上で大きな注目を集めた。

4月27日の投稿によると、ある客が会計時、誤って珍しいコインを100円玉として使用したという。生協側は「大切にお預かりしております」と呼びかけ、気が付いた際は来店するよう案内。さらに確認不足について自ら謝罪するなど、"神対応"を見せた。

一見すると心温まるエピソードにも見えるが、法的にはどのように整理されるのだろうか。

もし客側が、コインだと認識したうえで意図的に支払いに使っていた場合、罪に問われる可能性はあるのか。また、生協は法的に「被害者」といえるのか。刑事事件にくわしい吉田要介弁護士に聞いた。

●故意なら詐欺罪の可能性、過失なら返還義務も

──100円玉ではなく、コインだと認識しながら、意図的に支払いに使っていた場合、どのような法的問題が考えられますか。

客が100円玉ではなく珍しいコインだと認識しながら、あえて100円玉であるかのように装って支払い、店員が本物の100円玉だと誤信して商品や釣り銭を交付したのであれば、刑法上の詐欺罪(刑法246条)が成立する可能性があります。

詐欺罪は、「人を欺いて財物を交付させること」によって成立する犯罪です。

なお、使用されたコイン自体に100円以上の価値があったとしても、店員を欺いて取引を成立させたと評価される以上、詐欺罪が成立する余地はあります。

──誤って使ってしまったのであれば、犯罪にはならないのでしょうか。

一方、本人が本当に100円玉だと思い込んで使用していたのであれば、通常は故意が欠けるため、犯罪は成立しないと考えられます。

刑事責任では、「故意」、つまり「事実を認識・認容したうえで、あえておこなう意思(わざと)」が重要です。単なる勘違いや不注意だけでは、原則として詐欺罪は成立しません。

もっとも、その場合でも、本来支払うべき100円を支払っていない以上、民事上は不当利得返還請求の対象となる可能性があります。

──生協側は、本来の100円を受け取れていないという意味で、「被害者」といえるでしょうか。

はい。生協側は、本来受け取るべき100円相当の支払いを受けていない以上、財産的損害を受けた「被害者」と評価できます。

前述のとおり、仮にコイン自体に100円以上の価値があったとしても、日本国内で通常の通貨として直ちに利用できるわけではありません。換金などに手間やコストがかかる以上、財産的損害は認められると考えられます。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

関連記事: