米国と韓国、自動車関税15%に引き下げへ 首脳間で合意

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【慶州(韓国南東部)=小林恵理香】トランプ米大統領と韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は29日、韓国南東部の慶州(キョンジュ)で会談した。交渉が続いていた相互関税と自動車関税の25%から15%への引き下げについて首脳間で合意した。李氏は東アジアの厳しい安全保障環境を踏まえ、韓国が原子力潜水艦を開発することへの理解を求めた。

米韓は7月に関税交渉で大筋合意していた。米国が相互関税と自動車関税を15%に引き下げる代わりに、韓国側は3500億ドル(約53兆円)規模の対米投資を約束した。

投資期間や直接投資の比率といった細部で折り合えないまま、その後の協議が長引き、自動車関税の引き下げは適用されていなかった。

今回の首脳会談で3500億ドルのうち2000億ドルを現金による直接投資で、残りの1500億ドルを造船分野への投資に回すことで妥結した。直接投資については年間最大で200億ドルまで拠出すると決めた。10年間の分割を予定する。

韓国にとって3500億ドルは外貨準備高の80%超に相当する。短期間に巨額の直接投資を実施すれば、急速なドル流出でウォン安を招くとの懸念があった。韓国側は為替市場への影響を和らげるため、米韓間の通貨スワップや分割投資を提案していた。

韓国大統領府の金容範(キム・ヨンボム)政策室長は29日、対米投資に関し「事業の進捗に応じて分割で投資する」と説明。分割投資により「外国為替市場に及ぼす影響を最小限に抑えることができる」とも強調した。

韓国は米国と自由貿易協定(FTA)を結んでおり、第2次トランプ政権で25%の自動車関税を課されるまでは関税ゼロで米国に輸出できた。交渉が長引いて関税の引き下げが適用されず、競合国の日本や欧州連合(EU)より不利になると懸念されていた。

今回の合意で自動車と自動車部品の関税は15%に下がる。自動車と並ぶ主要な輸出品目である半導体についても、韓国大統領府は「(競合する)台湾と比べても不利でない水準の関税の適用を受ける」と話した。

医薬品への関税では最も低い関税率を適用する「最恵国待遇」とすることも確認した。米国側が要請していたコメや牛肉など農産物の市場開放はしないことで決着した。

韓国大統領府は関税を巡る合意文書について「文案はほとんど完成している状態」とし、安全保障分野とともに2〜3日以内に締結するとの見通しを明らかにした。

米韓関税交渉の首脳間合意を受け、現代自動車グループは「韓米同盟をさらに強くするための重要な一里塚になった。企業を巡る環境の不確実性を解消するための努力が結実した」と歓迎した。

28年までにグループ全体で米国に総額260億ドルを投資する計画を改めて表明。「米国での現地化戦略と雇用創出に寄与する」とも強調した。

安全保障分野では李氏がトランプ氏に原潜開発への意欲を伝え「韓国が(米国から)原潜用の燃料を供給されるよう決断してほしい」と促した。

韓国は現在、原潜を保有していない。李氏は「ディーゼル潜水艦は潜航能力が低いため、北朝鮮や中国の潜水艦の追跡活動に制限がある」と説明した。「韓国が核兵器を積載した潜水艦をつくるということではない」とも語った。

「我々が潜水艦を何隻か建造して黄海や日本海で活動すれば米軍の負担は大幅に軽減できるだろう」と主張した。

韓国大統領府の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長によると、トランプ氏は李氏の提案に共感し、協議を続けることで一致したという。

米韓原子力協定は韓国にウラン濃縮や原子力発電所で出た使用済み核燃料の再処理を禁じている。研究目的での再処理や20%未満の低濃縮ウランの生産は米国との協議を条件に実施を認める。

高濃縮ウランや使用済み核燃料を再処理して得られるプルトニウムは核兵器の燃料として軍事転用も可能となる。韓国は過去にも再処理の容認を米国に求めたことがあるが、北朝鮮や中国など周辺国の反発も予想され、議論は進まなかった。

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