あわや大惨事!人類や文明を危険に晒した凶悪な天体現象3選(宇宙ヤバイchキャベチ)
どうも、宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。今回は「過去に人類を危険に晒した天体現象3選」というテーマで解説します。
隕石衝突、太陽フレア、ガンマ線バーストなど、宇宙には多様なリスクがあります。
人類誕生以降に「大量絶滅級」の事象は起きていないと考えられますが、文明に深刻な影響を与え得る出来事や、実際に被害が出た現象は複数あります。
代表的な3例を紹介します。
●アポフィスの衝突未遂
Credit:ESA/Science Office観測技術の進歩により、地球へ衝突し得る小天体の事前把握が進みました。
中でも最も注目を集めたのが地球近傍小惑星「アポフィス」です。
公転周期は約323日で、平均直径はおよそ340 m、長軸は少なくとも450 mと推定されています。
形状は細長い、あるいは二葉状の可能性があります。
アポフィスは2004年6月19日に正式発見され、その直後の軌道計算では、2004年12月27日時点で2029年の地球衝突確率が最大2.7%(約37分の1)に達しました。
のちに観測が増えると2029年衝突は否定されました。
最新の評価では、2029年4月13日に地表から約3.2万 kmまで無害に最接近し、少なくとも今後100年以上は地球衝突の懸念がないと結論づけられています。
なお質量は内部構造や密度に大きく左右されるため不確かですが、「数千万トン規模」と見積もるのが妥当です。
仮に衝突すれば地域壊滅級のエネルギーとなり得ますが、地球規模の気候破局までは至らないと見られています。
●巨大太陽フレアの脅威
Credit:NASA/SDO太陽表面では強い磁場をもつ黒点周辺でエネルギーが解放され、太陽フレアやコロナ質量放出(CME)が発生します。
これが地球へ到来すると磁気嵐を引き起こし、送電網に誘導電流を発生させ、広域停電など社会インフラへ深刻な影響を与えます。
歴史上最大級の事例は1859年の「キャリントン・イベント」です。
世界各地で非常に低緯度までオーロラが出現し、当時の電信網にスパークや火災が発生した記録が残っています。
また2012年7月23日には、観測衛星STEREO-Aを直撃した超大型CMEが発生しました。
もし約1週間早く発生していれば地球が直撃していた可能性が高く、キャリントン級に匹敵する「危機一髪」事案でした。
被害規模の推計として、米国の古典的な試算では「最初の1年で1〜2兆ドル」の経済損失に達し得るとされています。
●8世紀の宇宙線飛来事件(774–775年の「ミヤケイベント」)
NASA, ESA and D. Player日本の屋久杉年輪などに残る炭素14の急増(774–775年)や、南極氷床に記録された10Beの増加から、この時期に地球へ非常に強力な高エネルギー粒子が到来したことが示されています。
候補としては超新星、ガンマ線バーストなどが議論されましたが、総合的には超巨大太陽フレアに伴う極端な太陽粒子イベントが最有力とされています。
前項のキャリントンイベントを超えるエネルギーだった可能性も十分にあります。
当時は大規模電力網が存在しなかったため社会的影響は限定的でしたが、同程度のイベントが現代に起きれば、人工衛星運用、通信・測位、電力システムに重大な影響を及ぼすでしょう。
このようなとてつもない規模の太陽フレアやCMEが起こる可能性は0ではなく、地震などと同様に念入りに対策すべき自然災害として、近年はより一層重要視されつつあります。
https://science.nasa.gov/science-research/planetary-science/23jul_superstorm/ NASA Science
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