「麻生氏の腹心」が衆院議長に 皇室典範改正で“閣下”の期待に応えられるか

 政治部デスクが解説する。 「森氏をはじめ麻生派のベテラン議員を中心に声がかかった。麻生太郎副総裁を推す案もあったそうです」  麻生氏は首相経験者。一度は“三権の長”の一角を占める行政府のトップにあったことから、本人が固辞したとされる。 「辞退者が相次ぐ中、一度は断った森氏が再度の打診に応じました。ボスである麻生氏の強い意向が働いたとみられています」  森氏の初当選は1990年で、勤続年数は今年で36年になる。当選回数も今回の衆院選で13回を数え、派内では麻生氏の16回に次いで2番目に多い。 「生まれは東京都千代田区ながら、祖父の代から千葉県を地盤に100年近く続く政治家一家の末裔(まつえい)です。父は第2次中曽根康弘内閣で環境庁長官を務めた美秀氏、伯父が三木武夫元首相。名門一族の出身ですね」  2006年に麻生派の旗揚げに参加し、21年からは事務総長を務める。長年にわたって麻生氏を支える腹心の一人だ。 「お坊ちゃま育ちで人柄が良く、酔うとギターで弾き語りを披露する陽気な一面も。一方でさしたる党役職の経験もなく、法相を務めたのは親分の麻生政権時代。政治家として、これという特筆すべきものは……」

 麻生氏はそんな森氏を立法府の長に送り込み、停滞する皇位継承に関する議論を加速させたい意向という。  自民党幹部が指摘する。 「男系男子による皇統維持のため、皇族の確保は喫緊の課題。焦点は女性皇族が結婚した後も皇族の身分を保持するかどうか、そして旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎えるか否かという2点です」  問題の解決には皇室典範の改正が必要となる。 「衆参の正副議長が“皇位継承に関する全体会議”を主催し、とくに衆院議長は議論のまとめ役として大きな影響力を持つ。昨年の通常国会では、額賀福志郎前衆院議長の下で皇族数を確保する案について与野党協議が重ねられた。そこで女系天皇の容認を掲げる立憲民主党が“結婚した女性皇族の夫と子にも皇族の身分を付与すべきだ”“養子縁組は憲法上の諸課題をクリアにする必要がある”などと主張したことから議論が停滞。意見集約は見送りになった」  麻生氏は、こうした状況に業を煮やしているとも。 「麻生氏には“たかだか数十年しか生きていない現代人が、2000年以上にわたって先人が守り続けてきた万世一系の皇統に手を加えるなどおこがましい”との意識がある。女系容認をタテに議論を進ませなかった野田佳彦氏が党代表を退き、玄葉光一郎前衆院副議長と馬淵澄夫前代表代行たちが落選したいま、子飼いの森氏を使って皇室典範改正を実現させる腹でしょう」  麻生氏を「閣下」と慕う森氏は期待に応えられるか。 「週刊新潮」2026年2月26日・3月5日号 掲載

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