【世界で初めて宇宙ごみと衝突した女性】1997年に空から落ちてきたロケット片が女性の肩を直撃(スペースチャンネル)
1997年1月、空に現れた巨大な火の玉。その数分後、落ちてきた小さな物体が歩いていた女性の肩に当たりました。アメリカ・オクラホマ州で起きたこの出来事は、人工物の「宇宙ごみ」が人間に直接当たった、世界で初めての事例として広く知られています。
女性にけがはありませんでしたが、破片は前年に打ち上げられたロケットの一部だった可能性が高いとされています。宇宙開発が急速に進む現在、この極めて珍しい出来事は、増え続ける宇宙ごみの問題を改めて考えさせます。
火の玉を見た直後、肩に何かが落下
公園から目撃した火球のイメージ©スペースチャンネル(AI)1997年1月22日、ロティ・ウィリアムズさんは、オクラホマ州タルサ近郊の公園で運動をしていました。
そのとき、ウィリアムズさんは空に「巨大な火の玉」のような光が現れるのを目撃します。それから数分後、突然何かが肩に当たり、芝生の上へ跳ね落ちました。
落ちてきたのは、長さ約13~15センチほどの焦げた軽い破片でした。重さは空の飲料缶と同じ程度だったとされ、ウィリアムズさんにけがはありませんでした。
後に行われた調査では、この破片が宇宙から落下したロケットの一部である可能性が浮上しました。人工物の宇宙ごみが人に当たった事例としては、現在もこの出来事が唯一と考えられています。
ただし、破片の出所が科学的に完全確定されたわけではありません。NASAは、落下した時刻や場所が、当時大気圏へ再突入したロケットの状況と一致していたことを確認しています。
正体は前年に打ち上げられたデルタIIロケットか
ケープカナベラルからドーン探査機を打ち上げるデルタIIロケット©NASA/Regina Mitchell-Ryall & Jerry Cannon破片の発生源として有力視されたのは、1996年4月にカリフォルニア州から打ち上げられた「デルタIIロケット」の第2段です。このロケットは、弾道ミサイルを飛行中に監視する技術の実証を目的とした、アメリカ空軍の衛星打ち上げに使われました。
役割を終えた第2段は数カ月にわたって地球を周回しましたが、わずかに存在する大気の抵抗を受け、次第に高度を下げていきます。そして1997年1月22日、カンザス州トピカ上空約78キロで大気圏へ再突入しました。
ロケットは高温によって分解し、テキサス州からオクラホマ州にかけて複数の破片を落下させました。テキサス州の農家付近には、重さ約250キロの推進剤タンクも落下しています。
大気圏への再突入から約30分後、その一部とみられる小さな破片が、ウィリアムズさんの肩に当たったと考えられています。
再突入時にはロケット表面が摂氏1000度を超える高温になる場合があります。しかし、ウィリアムズさんに当たった破片は軽く、落下中に空気抵抗や風の影響を受けて十分に減速していたため、大きな被害につながらなかったとみられます。
衛星の増加で宇宙ごみも増える可能性
離脱するスカイラブ4号から撮影されたスカイラブ©NASA (Crew of Skylab 4)地球の周囲には、運用を終えた人工衛星やロケットの部品、衝突によって生まれた破片など、数多くの宇宙ごみが存在します。
多くの物体は大気圏へ再突入する際に燃え尽きますが、ステンレス鋼やチタンなど、融点の高い材料で作られた部品は地上まで到達する場合があります。
1979年には、アメリカ初の宇宙ステーション「スカイラブ」が制御を失いながら再突入し、大きな破片がオーストラリア西部へ落下しました。幸い、このときも人的被害は報告されていません。
今後は民間企業による大規模な衛星ネットワークの整備が進み、地球を周回する人工物の数がさらに増えると予想されています。宇宙ごみの増加は、地上の人々よりも、運用中の人工衛星や有人宇宙船にとって深刻な脅威になる可能性があります。
一方、地球上の特定の人物に宇宙ごみが当たる確率は、1兆分の1以下ともいわれています。地表の大部分が海や人口の少ない地域であり、小さな破片の多くが大気中で燃え尽きるためです。
ウィリアムズさんの出来事は、極めて低い確率が現実になった、宇宙開発史上でも特に珍しい事件だったといえるでしょう。
皆さんは、人工衛星やロケットの増加に伴う宇宙ごみの問題について、各国や企業がどのような対策を進めるべきだと思いますか?ぜひコメントお待ちしています。
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