マクロスコープ:中国の輸出管理強化、自民党内に反発の声 支持率低下の懸念も

写真は高市早苗首相。2025年12月、東京で代表撮影。Reuters

[東京 9日 ロイター] - 中国による軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出管理強化について自民党は9日、臨時の党内会合を開いた。出席議員からは中国の措置に憤りの声が聞かれた。一方、レアアース(希土類)が規制対象となった場合の経済への影響が大きくなれば、高市早苗首相(党総裁)の支持率低下につながるとの指摘も出始めている。

<「輸出管理強化、許されない」>

「(中国の)一方的な措置に対してしっかり反論していくのは前提だ。国際貿易の慣行の中で特定の国を名指ししたものや、理由が不明確な輸出管理強化は許されない」。党本部で開かれた外交部会・外交調査会合同会議後、外交部会長を務める高木啓衆院議員は記者団にこう述べた。中国に対して毅然とした対応をとるよう政府に向けて発信した形だ。

「これからの推移を見ながら対応を考えていきたい」とも語り、引き続き党内議論を続ける考えを示した。この日の会合は米国のベネズエラ攻撃なども議題とされ、10人ほどの党所属国会議員が出席。外務省から経緯や政府の立場について説明を受けた。

<「対中強気イメージは受けが良い」>

党内から強気な発言が出るのは、中国の措置が限定的なものにとどまるとの楽観論があるからだ。政務三役経験がある衆院議員は「中国は日本への脅しがどこまで通用するのか出方を見ているだけだろう」とし、「多くの国が中国の脅しに屈しているが、日本が本当に困るようなことはしないはずだ」と述べた。

加えて、高市氏の高い支持率も支えとなっている。報道各社の世論調査で内閣支持率は高水準を維持しており、要因の一つに中国に対する姿勢がある、との見方が党内では大勢だ。閣僚経験者は「高市氏の強気なイメージは支持者に受けが良い。本人もその点はわかった上で行動している」と指摘。「党内からも高市氏がやっていることに反対する声が出にくい状況だ」と話した。

<「経済次第で党内に動きも」>

ただ、レアアースは日本の基幹産業を支える重要物資だ。中国側はさらに、日本から輸入する半導体向け化学物質「ジクロロシラン」に対する反ダンピング(不当廉売)調査を開始したとも発表している。

一連の事態が高市氏の台湾有事を巡る国会答弁を発端としていることもあり、党内の一部には今後の経済への影響次第では高市氏自身の足元が揺るぎかねないとの懸念も出始めている。中国に対して強い態度で臨んでも、実生活へのしわ寄せが顕在化すれば徐々に国民の支持が離れていくとの見方だ。

中国の事情に詳しいベテラン衆院議員は「個人的な意見」と断った上で、こう語った。「日中関係悪化が実体経済に本当に響き始めたら、党内で高市氏に反する動きが出てくるだろう」

(鬼原民幸、竹本能文 編集:橋本浩)

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2025年6月からロイターで記者をしています。それまでは朝日新聞で20年間、主に政治取材をしてきました。現在、マクロ経済の観点から日々の事象を読み解く「マクロスコープ」の取材チームに参加中。深い視点で読者のみなさまに有益な情報をお届けしながら、もちろんスクープも積極的に報じていきます。お互いをリスペクトするロイターの雰囲気が好き。趣味は子どもたち(男女の双子)と遊ぶことです。

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