ベゾスの大型ロケット「ニューグレン」が爆発炎上、有人月面探査などへの影響懸念(Forbes JAPAN)

米東部時間5月28日21時、ジェフ・ベゾス率いるブルーオリジン社の大型ロケット「ニューグレン」が、地上でのエンジン燃焼テスト中に突如として爆発した。大規模な火球をともなうその爆発によって、ケープカナベラル宇宙軍基地(フロリダ州)の発射台に設置されたニューグレンは粉砕され、同施設LC-36の地上インフラにも多大な被害が生じた。事故直後、ベゾス氏は人的被害がないことを公表した 【画像】爆発したブルーオリジンの大型ロケット「ニューグレン」 ニューグレンは、NASAが主導するアルテミス計画の中核を担うロケットであり、民間企業からも多くの衛星打ち上げ契約を受注している。しかし、発射施設の破壊を伴う今回の事故によって、これらのミッションでは今後大幅な遅延が予想される。 ■巨大な火球をともなう大爆発 今回の爆発事故は、ニューグレンの4回目の打ち上げ準備中に発生した。一般的なロケットの事前テストでは、エンジンを実際に燃焼させてその稼働を見るホットファイアテスト(静的燃焼テスト)と、エンジン燃焼の直前までの工程を本番さながらに演習するウェットドレスリハーサルが行われるが、今回はその双方を兼ねたテストだった。 ニューグレンの全長は98m。実運用されたロケットとしては、アポロ計画で使用されたサターンVに次いで史上2番目に大きい機体だ。第1段ブースターと第2段には、液化メタン(燃料)と液体酸素(酸化剤)からなる推進剤が使用されるが、今回の爆発の規模からすると、事故時にはそれらの推進剤がほぼ満載されていたと思われる。 ただし、事故時に発射台に設置されたニューグレンの最頂部には、ペイロード(衛星)と、それを覆うためのフェアリングは搭載されていなかった。これは不幸中の幸いといえる。この打ち上げではAmazonの衛星インターネット網「Amazon LEO」のための衛星48基が搭載されるはずだった。

宇宙情報サイト「NASASpaceflight」が捉えた動画によると、第1段のエンジンは現地時間の21時に点火された。その直後、第1段が炎に包まれ、続いて第2段からも出火すると、炎は瞬時に機体全体に広がり、機体は弾けるように爆発した。 爆発地点から遠方に向けて高速で飛ぶ物体は、機体に搭載されていた高圧ガスの容器「COPV」(複合材巻圧力容器)だと思われる。上空まで上がった巨大な火球は衝撃波をともない、それが大気を伝播する様子も確認できる。この爆発で発生した閃光は、射点から約120マイル(193km)離れたフロリダ州西海岸の都市タンパでも観測されたという。 ■地上施設の甚大な損傷 事故の翌日にはその現場を、ブルーオリジンの創業者であるジェフ・ベゾス氏、CEOのデイブ・リンプ氏、NASA長官ジャレッド・アイザックマン氏が視察した。 ニューグレンとそれを保持する発射台タワーは跡形もなく消え去り、その両側に立つ避雷針タワーの一方は倒壊している。もう一方は倒壊こそ免れたが、そのトラス構造には歪みが確認できる。水平状態のニューグレンを垂直に起立させるための移動式起立機構(トランスポーター・エレクター)も完全に破壊されていた。 発射台と並んで立つ給水塔は原型を留めている。発射台の西北約180m離れた場所にはタンクファームと、南西約600mにはロケットの統合施設があるが、外部から見た限り大きな損傷はない。統合施設の内部には事故当時、もう1機のニューグレンが格納されていたが、同機には損傷がないことがリンプ氏によって報告された。 事故から2日が経過した2026年5月31日の時点では、ブルーオリジン社から事故原因に関するリリースは発表されていない。SNS上では専門家やメディアによってさまざまな推測がなされているが、地上施設の復旧には1年から1年半かかるとの見方が大勢を占める。その結果として、ニューグレンを使用する今後のミッションには大幅な遅延が見込まれる。 現行のニューグレンには、第1段に7基のBE-4エンジン、第2段に2基のBE-3エンジンが搭載されているが、ブルーオリジン社は2025年末、その派生型を開発することを発表した。同仕様機の第1段には9基のBE-4、第2段には4基のBE-3が搭載される予定だが、この派生型を打ち上げるには発射施設も改修する必要がある。そのデビューは2020年代後半が見込まれていたが、今回の改修にともない、ブルーオリジンが早期に派生型への完全移行を図る可能性もある。

Forbes JAPAN
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