火星の壮大なゲディズ渓谷 風の谷に残る水の記憶

【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:NASA)

今回は、NASAの火星探査車キュリオシティが2022年11月8日に撮影した「ゲディズ渓谷(Gediz Vallis)」を紹介します。画像の中央に見える谷に、大きな岩や砕けた石が集まってできた小さな“盛り上がり”があります。これは、かつて水があった時代の地すべりや流れの作用によって、遠い昔にここまで運ばれた可能性があります。

ゲディズ渓谷は、より大きな谷の一部で、長い時間をかけた風の侵食が形づくったと考えられています。この大きな谷は、キュリオシティが2014年から登ってきたシャープ山(高さ約5km)のより高い場所へと続いています。谷の“川筋”にたまったこの石の盛り上がりを近くから調べることで、キュリオシティが物理的に登れないシャープ山の上部に由来するより新しい時代の物質を間接的に確かめる、という狙いでした。実際にキュリオシティは2023年にゲディズ渓谷の尾根の上部へ到達し、2024年には谷筋で特徴的な硫黄の石を発見したのち、この地域を後にしています。

冒頭の画像は、キュリオシティが撮影した18枚の画像を組み合わせたパノラマ画像の一部を拡大したものです(画像の中央左側付近)。また、色は肉眼での見え方に近づけた色補正が施されています。

【▲ 火星の「ゲール・クレーター」にある「ゲディズ渓谷」のパノラマ画像。火星探査車キュリオシティが撮影(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】

火星の風景の撮影情報

  • 撮影機器:Mastcam(右側)
  • 撮影日:2022年7月8日7時6分4秒(UTC)
  • 撮影場所:火星、ゲール・クレーター内

※…2022年11月7日はキュリオシティのミッション開始から3646ソル目にあたります。1ソル(Sol)は火星の1太陽日を指し、地球時間で約24時間40分に相当します。

編集/sorae編集部

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