ウクライナがEU資金で新型グリペンを20機調達、スウェーデンは旧型16機を供与
ゼレンスキー大統領とクリステション首相は28日「グリペン調達に向けた防衛協定の締結」を発表し、最初のステップとしてグリペンE/Fを最大20機調達する予定で、スウェーデン政府も「ウクライナが予定通りグリペンE/F調達を行えば二国間援助としてグリペンC/Dを16機供与する」と発表した。
参考:Ukraine and Sweden Agreed to Launch a Defense Deal Providing for the Procurement of Gripen Fighter Jets 参考:Ukraine to procure Swedish fighter jets 参考:Ukraine to buy 20 new Gripen jets, Sweden to donate older jets sooner
ウクライナとスウェーデンは2025年10月「グリペンEを100機~150機調達するための意向書」に署名したが、これは「グリペンEの購入を正式に要請する」という意味合いで、クリステション首相もヨンソン国防相も「両国は購入に向けた最初のステップとしてグリペンE購入資金の調達方法を検討している」「(仮に商業契約が締結されても)150機全てを1度に納入するのは不可能だ」「スウェーデンでのグリペンE生産は始まったばかりで発注から納品まで3年はかかる」「(今回の意向書署名は)グリペンE購入に向けて準備と意欲を示しただけで実際のプロセスはこれから始まる」と強調。
出典:President of Ukraine
スウェーデン国内ではグリペンE/Fの機体単価について「推定5億~6億スウェーデン・クローナ」と言われているが、タイはグリペンE/Fを4機取得するため5.5億ドルの契約を締結しているため、関連費用込みの取得コストは限りなく1億ドルに近く、恐らくグリペンEを150機調達するためには300億ドル=4.7兆円近い資金が必要で、これをどうやって調達するか確定させないと商業契約に向けた協議は始まらないし、スウェーデン側も「100機~150機製造して納品するには10年~15年はかかるだろう」と述べており、管理人は「調達規模を小分け(10機や15機)して資金調達の困難さを引き下げてくる」と予想した。
ゼレンスキー大統領とクリステション首相は28日「グリペン調達に向けた防衛協定の締結」を発表し、最初のステップとしてグリペンE/Fを最大20機調達する予定で、この調達が可能になったのはEUのウクライナ支援融資900億ユーロを阻止してきたハンガリーのオルバン首相が退陣し、これを後任のマジャル首相が承認したためで、ゼレンスキー大統領も「グリペンE/F調達にウクライナ支援融資から25億ユーロを割り当てる」と言及、スウェーデン政府もプレスリリースの中で「ウクライナが予定通りグリペンE/F調達を行えば、スウェーデンは二国間援助としてグリペンC/Dを16機供与する」と発表。
出典:President of Ukraine
まだウクライナとスウェーデンは正式な調達契約に署名したわけではないが、ウクライナへのグリペンE/F初号機納入は2030年、グリペンC/D初号機納入も10ヶ月以内(2027年3月まで)を予定しており、ゼレンスキー大統領は「意向書で規定された150機全ての調達を行う」「神のご加護があれば十分な資金を確保できるだろう」と述べた。
ちなみに、EUがウクライナに無利子融資する900億ユーロは2026年~2027年をカバーする資金援助で、900億ユーロの内約600億ユーロは防衛・軍事支援向けの資金となり、ウクライナおよびEUの防衛産業能力強化や防衛製品の調達に使用することができ、装備調達はウクライナ国内もしくはEEA-EFTA諸国を優先することになっている。
出典:President of Ukraine
EUが支援する資金をスウェーデン製戦闘機の購入に割り当てたということは、バランスをとるために「2025年11月に署名した仏製装備品取得に関する意向書」に含まれるラファールF4購入にも同額の資金を割り当てる可能性が高い。
関連記事:仏メディア、ウクライナへのラファール売却は資金調達のアイデアが欠けている 関連記事:ゼレンスキー大統領、フランスでラファール100機購入に関する意向書に署名 関連記事:ゼレンスキー大統領、グリペン、ラファール、F-16の調達協議を行っている 関連記事:ウクライナがグリペンE購入を要請する意向書に署名、問題は購入資金の調達
※アイキャッチ画像の出典:President of Ukraine