トランプ支持率32%で過去最低水準…「頑張ってもアメリカンドリームは叶えられない」生活苦を背景に若者の支持広がる“民主社会主義”ブームを識者が解説

 アメリカの中間選挙が3週間後に迫る中、トランプ大統領の支持率が32%(ロイター調べ)と過去最低水準で推移している。

【映像】右肩下がり…トランプ氏の支持率(グラフあり)

 第一次政権時の最低支持率は33%で、それに匹敵する低水準だ。一方、民主党内では民主主義を維持しながら政府主導で福祉や公共サービスの充実を図り、富の集中を抑えて格差是正を目指す「民主社会主義」を掲げる候補が台頭し、予備選で次々と勝ち抜いている。『ABEMA Prime』では、トランプ支持率低下の要因、民主社会主義が注目される背景、そして中間選挙後の展望について考えた。

■アメリカンドリームはどこに…生活苦で絶望する若者たち

 トランプ政権への支持が低下する背景として、出演者から相次いで指摘されたのが経済的な苦境だ。ニューヨーク在住ジャーナリストのシェリー・めぐみ氏は「やはり経済が一番大きい。普通の人はお財布が少し温かければそんなにいろいろなことに文句を言わない。トランプ支持者だった人もかなり生活が大変になってきて、特にガソリンの値上げで『これはマズい』となっているのが、今の状態だ」と述べる。

 さらにシェリー氏は、若者の絶望感についても言及する。「特に若い子たちは、自分たちがどれだけ頑張っても格差の再分配ができていないことにみんなが気づき始めた。アメリカはもともと貧しくても頑張ればアメリカンドリームを叶えられるという理想があった。でも、それは自分の世代では叶えられそうもないという考え方が若者の間で広がっている。AIや気候変動など考えなければいけないことも多く、みんな疲れ切っている」と説明する。

 元トランプ支持者のストラテジーアドバイザー、トム・ローガン氏も「2016年の出馬時は『忘れられたアメリカ人のために戦う』ということで期待が大きかったが、約束を守ってないという裏切られた感じが強い。夢が非常に実現しにくい若者の不満が結構ある」と語る。そのうえで「中間選挙はいつも野党の方が強い。アメリカはいつも右(派)、左(派)、右、左と8年や4年のタイミングで変わる。なので、今回は民主党の波になると思う」と見通しを示した。

 2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は、この現象を先進国共通の問題として捉える。「若い人も高齢者も含めて豊かではない人が増えた。物価高でいくら稼いでも手元にお金が残らない、これ以上労働時間を増やせないとなると、分配してくれという方に向かう。フランスも似たような状況で、日本でも減税を求める声がある。民衆が貧乏になると左派的な(思想で)分配をちゃんとしようというところが支持を受ける。単純に経済のお金がないという話」と述べた。

■アメリカで左派勢力に注目、ヨーロッパでは右派伸長…揺れる政治

 地経学研究所リサーチ・アシスタントで現代アメリカ政治が専門の宇野正祥氏は、民主社会主義者の団体DSAの会員数が5万から12万へと倍増以上になっていることを示しながら、その政策的影響について「活動が目立つことで民主党が進歩派の方に引きずられたり、共和党の中でも財政支出を増やして労働者向けにしていこうという人たちが強くなったりと、両党がより再分配的な方向に引きずられていくところが政策的な影響として結構大きい」と説明する。

 シェリー氏は、若者が民主社会主義を支持する動機は思想よりも生活実感にあると指摘する。「医療費や大学の学費が無料になるのか、ということを支持している。日本に来る若者も多いが、清潔で安全に時間通りに来る日本の公共交通機関をすごく羨ましがる。これをアメリカに作れるのではとみんなが思うようになってきて、それが民主社会主義への支持につながっている。彼らは思想よりも生活に根差した利益が欲しい」と述べた。

 宇野氏はさらに「エスタブリッシュメントの人たちがやってきた政策が自分たちの豊かさの実感につながっていかないことへの怒りがある。レッテル張りももはや効かなくなってきている。それぐらい共和党支持者も民主党支持者も、自分の生活が向上していかないことへのフラストレーションは大きくなっている」と分析する。

 経済学者の竹中平蔵氏は、ヨーロッパで極右が台頭し、アメリカでリベラルな左側が力を持つという対照的な現象について「トランプ氏がだいぶ極端に右に行ったので、左への揺り戻しがある。ヨーロッパは左に行ったので右への揺り戻しがある。ただ重要なのは心情的に右や左と言いながら、本当はどうするのかという議論になっていかないと、また何年後かに同じように右に戻っている可能性もある」と持論を展開した。

 バーニー・サンダース氏の発言に触れながら「民主社会主義というよりも、保険や年金、所得再分配をもっとちゃんとやろうという話であって、その先の具体的にどうするかという議論が今のところ見えてこない」とも指摘した。

■中間選挙の見通し、その後は

 中間選挙の見通しについて、宇野氏は「下院435議席のうち本当に接戦区になっているのはその中でもごく一部。民主党が過半数を取ったとしても230議席台がいいところで、240議席台は厳しい。党内はいろいろな派閥があり今のところ反トランプでまとまっているが、民主党が多数党を取って何か具体的なことを進められるかというと、共和党が難しかったように民主党もかなり限界を抱えている」と説明する。

 財政面についても課題を示す。「アメリカでは2031~2032年あたりに社会保障年金の限界が近づいているとも言われている。医療保険の拡大や分配の拡充と言っても、軍事費や利払い費も含めてアメリカの財政全体の問題になる。軍事費をカットするとなれば、同盟国にとっても他人事ではない」と宇野氏は述べた。

 竹中氏は選挙後の国際的な動きにも注目する。「選挙が終わっても下院・上院が次のメンバーになるのは1月になってから。11月・12月は今の体制のままで動く。その間にAPECの首脳会議やCOP31といった重要な外交の場がある。選挙結果を受けてトランプ氏なりアメリカ当局がどういうメッセージを出していくかを注目しないといけない」とした。

 トム氏は選挙後の展開についてこう述べた。「11月3日から1月3日の2カ月間、トランプさんがどうするかが心配だ。彼は『負けない人』でもある。以前の議会乱入事件もあった。アメリカ人として非常に心配している」。

 ひろゆき氏も「フランスも極右が勝つか極左が勝つかみたいになっていて、普通の政治ではもう大して変わらないからどっちかに振り切ろうとなっている。本質的に先進国では大衆の経済が悪いまま、金持ちだけがうまく回る社会構造になっているので、誰になっても変わらない。でも希望を持ちたいという、報われないものをみんなぶつけ合っている感じがする」と語った。 (『ABEMA Prime』より)

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