「ジャングリア沖縄」は「イマーシブ・フォート東京」の二の舞に? 「生き残る唯一の方法は…」 専門家が指摘
沖縄県の新しい観光スポットとして注目された大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」が7月25日に1周年を迎えた。期待とは裏腹に、開業直後から聞こえてくるのはあまり芳しくない評判ばかりだった。集客低下が懸念されるなか、2年目の勝算はあるのか。
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【写真を見る】“ひどい”“チャチい”と言われる「ジャングリア沖縄」のアトラクション
昨年7月にオープンした「ジャングリア沖縄」は、開業当初はまさに鳴り物入りでメディアに取り上げられていた。
「沖縄初の本格的テーマパークであることに加え、東京ドーム13個分という約60ヘクタールの広さに、アトラクションが20種類以上、野外で楽しむ大自然没入型の施設というコンセプトに惹きつけられる人が多かった。また、手がけるのはUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復させた、マーケティング会社『刀』の森岡毅氏ということもあって、大きな話題になっていました」(沖縄在住のジャーナリスト)。
ジャングリア沖縄目玉のアトラクション「ダイナソーサファリ」はオフロード車に乗り、ジャングルの中で恐竜と出くわすというスリリングさが売り。事前には映画『ジュラシック・パーク』並みに恐竜が襲いかかってくる迫力のPR映像も流されていたから、これは期待しないほうが無理というものだろう。しかし、蓋を開けてみると落胆の声が……。
SNSで大炎上
「イメージとのあまりのギャップに批判が相次ぎました。『ダイナソーサファリも恐竜が車を追いかけるわけでもなく、誇大広告ではないか』と。他にも『ダイナソーサファリで300分も待たされるなど、待ち時間が長い』『アトラクションの整理券がすぐになくなり、なかなか乗れない』『野外施設なのに炎天下対策や、急な天気の変化への対策が不十分』『休憩スペースが少ない』などなど……」(同)
SNSでは批判が相次ぎ、大炎上となったのである。その後は、集客率が落ちていることをたびたび指摘されるようになった。
「こうした批判を受けて、ジャングリアでは手順を見直して待ち時間を短縮、60分ほどになったと言われています。また屋根付きの休憩所を開設し、暑さ対策のために主要エリアにミストファンを設置した。この春からは高速で回転するアトラクション『やんばるトルネード』も追加。通常のチケットの約半額で、アトラクションが一つだけ楽しめる『ふらっとチケット』(9月末までの限定)を発売するなど、対策を打ち続けてきました」(同)
ジャングリア開発を主導した「刀」が、それ以前に手がけた東京・お台場のテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が今年2月に営業終了したこともあって、ジャングリアもその二の舞になるかもと危惧する声もあがった。ただ、こうした改善策を見ると、明るい兆しが見えてきているようにも思える。
改善されているとは言うが
そうはいっても楽観視できる状態ではないと語るのは、日本遊園地学会の塩地優会長である。
「ジャングリア側では『改善されている』と言いますが、私は疑問に思っています。待ち時間にしても『60分』ぐらいまで短くなっているとは言うのですが、7月の三連休でも、人気アトラクションは待ち時間が普通に100分とかありました。アトラクションが一つだけ楽しめる入場券を設けたことで、かえってダイナソーサファリにお客が集中してしまっているからなんですね」
開園当初、ダイナソーサファリは待ち時間300分と指摘されていたことと比較すれば、オペレーションが改善されてきたことは確かなのだが――。
「少しぐらいのオペレ―ションの改善では、どうにもならないと思います。もともと一つ一つのアトラクションの収容できる人数が少ないので、結果として待ち時間は伸びやすい。キャパシティの少なさに加えて、もっと抜本的な問題として、アトラクション自身の魅力不足があると思いますね」
SNSでは「アトラクションを体験してみたら面白かった」という声もあるけれど――。
「よく見ると『面白かったけど、すごく面白いというほどではない』という言われ方をしているように思います。アトラクションは簡単に作り変えるわけにはいかない。テーマパークにとって一番の肝はアトラクションの魅力、そこを置き去りにしている以上、集客が伸びていく方向にはいかないのではないでしょうか」(同)
新たに追加した「やんばるトルネード」についても、こう語る。
「国内に同じ機種はありませんが、似たようなものは一杯あるので目玉にはなりにくい。また、1回に最大48人も乗れるため、待ち時間なしに乗れてしまう。本来ならば、そこで1時間ぐらいゲストを滞留させることで、他のアトラクションの待ち時間が調整されるべきなんです。新しいアトラクションには、そういう効果も期待されているはずなのですが、それもありません」(同)
人員を使いすぎではないか
では、「ジャングリア沖縄」のこれから進むべき道は――。
「『やんばるトルネード』のようなアトラクションの、もっと小さなタイプを10個ぐらい増やすことができれば、待ち時間調整に役立つでしょう。それと目玉アトラクションを増やすということでしょうね。ただし、この2点には追加資金がかかるので、相当難しいかなと」(同)
塩地氏によれば、生き残る道は徹底的なコストカットしかないという。
「各アトラクションは、一人とか二人でオペレーションができるように効率化を進めるべき。アトラクション内で演技しているキャストやガイドに関しては削れませんが、他にやたらと人を使っているのが目立つんです。待ち列の入り口に二人、途中に整理するのに二人、そして最後に一人とか、かなりの人数を使っている。他にも、物販ワゴンなどでも手持ち無沙汰なキャストが目立ちます。過剰な物販施設の縮小なども含めて、どんどん人員を整理していくべきです」(同)
ジャングリアには地元の人たちの雇用も期待されていたはず。ただ、それも施設が継続してこそのこと。どのくらい減らすべきなのか。
「当初は年間入場者数目標を150万人としていました。先日の発表では1年間の入場数は100万人。これは併設されているスパの入場者込みの数字なので、パーク単体では85万人ぐらいではないかと見ています。150万人が採算分岐点だとすると、半分強ぐらいしか集客できていませんから、収支をトントンにするのには、他のコスト削減策や債務整理と合わせて、おそらく30%ぐらいは人件費を削っていく必要があるのではないかと思いますね」(同)
まずは収支をトントンにしていく。そこまで持ち込めれば、追加融資も期待できて、良くなっていく可能性もあるのではないかと、塩地氏は語る。せっかく沖縄にテーマパークが誕生したのだから、「イマーシブ・フォート東京」の後を追うような形にはなってもらいたくない。
デイリー新潮編集部