部下が知らぬ間に病んでいく「静かな崩壊」が起きている「3つの元凶」(TechTargetジャパン)

 ガラスにひびが入るように、従業員が仕事への意欲を徐々に失い、生産性の低下を招く「静かな崩壊」が広がっている。燃え尽き症候群や退職にもつながるリスクがあるため注意が必要だ。こうした静かな崩壊が広がっている背景には、どのような事情があるのか。

 コンサルティング企業Gallupが2025年1月に発表した調査結果によると、米国の従業員のエンゲージメント(仕事への関与度)は過去最悪の水準だ。2024年には従業員のエンゲージメントが過去10年で最も低い水準にまで落ち込み、仕事に没頭していると感じる従業員は31%だった。従業員のエンゲージメントは、創造性やイノベーションに直結する。従業員が仕事に無関心になるとイノベーションが停滞し、生産性が低下する。  職場への無関心や不満は“感染症”のように拡大し、燃え尽き症候群や大量離職につながる可能性がある。従業員のエンゲージメントが低下する要因は以下の通りだ。

 テクノロジー業界を中心にレイオフが続く中、従業員は満足していない仕事でも辞めずにとどまりやすい一方、会社とのつながりは弱まる。

 早朝からチャットツールにログインし、夜遅くまでメールに返答する「常時接続の文化」により、仕事とプライベートの境界が曖昧(あいまい)になっている。

 出社を義務付ける企業が増えているが、従業員全員が納得しているわけではなく、不満につながっている。  人材管理システムのベンダーisolvedのCPO(Chief People Officer:最高人事責任者)、エイミー・モッシャー氏は、同社の調査レポート『Voice of the Workforce(2024-2025)』の結果を引用して次のように述べる。  「2024年には、79%の従業員が燃え尽き症候群を経験し、半数以上が『エンゲージメントとパフォーマンスが低下した』と答えた。静かな崩壊は企業文化が静かに侵食されるだけではなく、放置すれば事業に明確な影響が出る」  この調査は米国のフルタイム従業員1000人以上を対象に実施したものだ。

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