ネットフリックスが買収?、写真で見るワーナー・ブラザース100年の軌跡 ハリウッドの名画続々
ワーナー・ブラザースは1980年に心理ホラー映画「シャイニングを公開した/Warner Bros./TCD/Prod.DB/Alamy Stock Photo
(CNN) 米動画配信大手ネットフリックスは今月5日、米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)の映画スタジオおよびHBO関連資産(ストリーミングサービスを含む)を、負債込みで総額827億ドル(約13兆円)で買収することで合意したと発表した。
CNNを傘下に持つWBDは今年6月、2026年半ばに会社を2社に分割する計画を発表した。その後に始まった同社をめぐる買収競争において、ネットフリックスはメディア複合企業のパラマウントとコムキャストを上回る入札を行った。同社はこの買収が12〜18カ月以内に完了すると見込んでいる。
1923年にワーナー兄弟によって設立されたワーナー・ブラザース・ピクチャーズは、パラマウント・ピクチャーズ、ソニー・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー・スタジオと並ぶ、ハリウッドの五大映画スタジオの一つだ。
ここでワーナー・ブラザースの102年にわたる歴史を簡単に振り返ってみよう。
1920年代
ワーナー・ブラザース初の公式公開作品は、23年公開のサイレントドラマ映画「本町通り」だった。
その後、ワーナー兄弟はバイタフォン方式による音声技術に投資し、26年には同期音楽付きの「ドン・ファン」を制作。翌27年には映像と音声が同期した世界初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」を完成させた。
1930年代
ワーナー・ブラザースは30年代までに、年間約100本の映画を製作し、米国内で360館の映画館を支配下に置くまでに成長した。
30年にはウォルト・ディズニーに対抗するため、短編アニメシリーズ「ルーニー・テューンズ」を制作。翌31年には「民衆の敵」や「犯罪王リコ」などのギャング映画を公開し、このジャンルで名を知られるようになった。
またワーナー・ブラザースは、39年公開の「オズの魔法使」や「風と共に去りぬ」といったMGM制作の名作映画の権利も保有している。
ワーナー・クラシックス
40年代には、ロマンチックな戦争ドラマ「カサブランカ」など、第2次世界大戦を背景とした映画が数多く制作された。
そして50年代以降も、ワーナー・ブラザースは「欲望という名の電車」(51年)、「エデンの東」(55年)、「理由なき反抗」(55年)、「マイ・フェア・レディ」(64年)、「バージニア・ウルフなんてこわくない」(66年)などのヒット作を相次いで公開した。
犯罪・ホラー・ドラマを映画化
ワーナー・ブラザースは、67年に映画プロデューサーのエリオット・ハイマンとケネス・ハイマンに買収され、ワーナー・ブラザース・セブン・アーツとなり、同年、ギャング映画の名作「俺たちに明日はない」を公開した。
その後も「エクソシスト」(73年)、「ブレードランナー」(82年)、「カラーパープル」(85年)などの作品を公開。さらに71年に始まった「ダーティハリー」シリーズのような複数作にわたる映画シリーズも手掛けた。
DCヒーローたちも手中に
ワーナー・ブラザース・セブン・アーツは1969年にキニー・ナショナル・カンパニーに買収され、社名をワーナー・コミュニケーションズに変更した。キニーは当時、現在のDCコミックスの前身であるナショナル・ピリオディカル・パブリケーションズも所有していた。
DCコミックスはスーパーマンやバットマンなどのスーパーヒーロー作品を数多く手がける出版社で、ワーナー・ブラザースは78年に映画「スーパーマン」を公開し、その11年後に「バットマン」を公開した。
最近、両作のリメイク版も登場し、今年7月には「スーパーマン」のリメイクが公開された。また2027年には「ザ・バットマン」(22年)の続編が公開予定だ。
1980年代から2000年代以降
ワーナー・ブラザースは1980年代に入ってもサイコホラー映画「シャイニング」(80年)やオリンピックを題材にしたスポーツドラマ「炎のランナー」(81年)などのヒット作を相次いで公開した。
89年にワーナー・ブラザースの映画・テレビ部門は出版社タイムと合併し、タイム・ワーナーを設立。2000年にはアメリカ・オンライン(AOL)とタイム・ワーナーが合併し、AOLタイム・ワーナーが誕生した。新会社の時価総額は3500億ドルで、米国史上最大の企業合併となったが、結局、合併は失敗に終わった。
1999年には映画「マトリックス」を公開し、その後3作の続編が制作された。また「ポケモン・ザ・ファースト・ムービー」(邦題「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」)を公開し、2作の続編もワーナー・ブラザースが配給を担当した。
一方、新興企業のネットフリックスは97年にDVDレンタル事業としてスタートしたが、2007年にストリーミングサービスを開発し、12年には初のオリジナルシリーズ「リリーハマー」の配信を開始した。
ワーナー・ブラザースは01年に「ハリー・ポッターと賢者の石」を公開し、その後さらに7作の「ハリー・ポッター」映画を公開した。
18年、AT&Tはタイム・ワーナーを850億ドルで買収し、その4年後にはAT&Tのワーナーメディア部門とディスカバリーの合併によりワーナー・ブラザース・ディスカバリーが誕生した。
ネットフリックスは、ワーナー・ブラザースの100年以上にわたる映画ライブラリーに加え、今年公開された同社の作品の一部も手に入れることになる。その中には、今年の米国内興行収入トップの「マインクラフト/ザ・ムービー」や、予想外のヒットを記録した「罪人たち」も含まれる。