春闘きょう集中回答日 トヨタ6年連続の満額回答 パナは過去最高額

【解説人語】春闘大詰め 物価高、中東情勢…どうなるニッポンの給料

 労働組合と経営側が賃上げなどについて交渉する「春闘」。今年の春闘は18日、労組の要求に対する大手企業の集中回答日を迎えました。長引く物価高を背景にした、労組側の高い水準の賃上げ要求に対して、企業側はどのように答えるのか。企業の回答内容や主要労組の反応などの動きを詳報します。

 トヨタ自動車系の部品メーカーでは、トヨタと同様、労働組合の要求に対する満額回答が目立った。全トヨタ労働組合連合会が公表した。

 大手では、デンソーが2万3500円、アイシンが1万8千円、豊田自動織機が2万2千円、それぞれ賃上げをするとした。いずれも前年と同額で、満額回答。

 前年を7500円上回る2万4100円の賃上げを要求した愛三工業は、ベースアップと賃金改善分が5%と回答。「社会的要請には応えている水準」(全トヨタ労連)としている。大豊工業は1万7500円の要求に対して1万2840円で回答した。

17:30

NTT主要5社、過去最高の1万3千円で妥結

 NTTは、ドコモや東日本、西日本などグループ主要5社について、ベースアップ相当分として過去最高の月額1万3千円の賃上げで労働組合と妥結したと明らかにした。労組が要求していた1万5千円には届かなかった。

17:00

耐震データ不正の中部電力は昨年と同額のベア

 中部電力は、高卒29歳のケースで月1万2千円のベースアップ(ベア)を実施するとし、労働組合と妥結した。満額回答だった昨年と同額だった。

 浜岡原発静岡県)では耐震データを巡る不正が判明し、再稼働に向けた審査が白紙に戻った。経営の先行きが不透明になっていたのを受け、労組は当初金額を示さずに交渉していた。同社では「浜岡の事案はあるが、収益拡大や経営効率化への努力、物価動向などを総合的に考慮した」(広報)と説明する。

 また、初任給の引き上げに伴い、同ケースでベアの金額に2500円を上乗せする。10~20代の社員を念頭にした措置で、記録のある1955年以降初めてだという。初任給は大卒では1万7千円増の27万円。

九州電力は過去20年で最高額のベア回答

 九州電力は、平均で月1万5500円のベースアップを回答した。労働組合が要求した1万7千円は下回ったが、過去20年で最高額という。

 定期昇給を含む賃上げ率は平均5%ほど。年間一時金は5.01カ月分で、満額回答だった。

経団連会長「素直に歓迎する」

 経団連の筒井義信会長は、大企業の春闘について、「積極的な回答がでた。ベアの実施を各社の労使が真摯(しんし)に検討した結果と受けとめており、率直に歓迎する」と評価した。経団連は今春闘で賃上げの「さらなる定着」を掲げたが、「人への投資が企業、社会の成長と分配の好循環につながっていく確かな手応えを感じた」との認識を示した。

 他方、中高年の処遇については、「近年、若年層に傾斜した原資の配分が行われてきたのは事実で、各企業も重々認識している」と指摘。「賃金カーブを中高年に戻す調整、必要性がさらに認識され、根付いていくことが期待される」と述べた。

経団連の筒井義信会長=2026年3月18日午後5時12分、東京都千代田区、橋田正城撮影

 電線大手の住友電気工業は、定期昇給とベースアップを合わせて平均で月2万3800円(引き上げ率は6.85%)と回答した。ボーナスも平均で6カ月分の222万6千円で、ともに組合の要求通りの回答だった。

 井上治社長は「物価高が続く中で、従業員の生活や将来に対する不安を払拭し、やりがい・働きがいを持っていきいきと働いてもらう観点を中心に据えている」とコメントした。

住友電気工業の労使交渉=2026年3月18日午前、同社提供

 電機各社の労働組合でつくる産業別組織「電機連合」の神保政史会長は記者会見で、「要求の趣旨に合った回答を引き出せた。会社側としても賃金引き上げの重要性を認識し、論議がかみ合ったのだと思う」と述べた。

 電機連合は今年の春闘で、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)について、月1万8千円以上を要求。昨年の春闘の要求を1千円上回り、1998年に現在の要求方式になって以降、最も高い水準だった。

 電機連合傘下の主要12労組が受け取った回答は、満額の1万8千円が6組合、1万6千円が2組合、1万5千円が4組合だった。昨年の満額回答は3組合だった。

 電機産業では、主要労組がベアの要求額をそろえる統一交渉が慣例となっている。今後は中小企業労組の交渉が本格化する。神保会長は「グループ企業やサプライチェーン(供給網)全体に波及させていくことが大切」と述べた。

記者会見で春闘の回答について説明する電機連合の神保政史会長=2026年3月18日、東京都千代田区、土屋亮撮影

 「餃子の王将」を運営する王将フードサービスは、定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせて平均2万2594円(賃上げ率5・9%)と、労働組合の要求を上回る回答をした。ベアの実施は4年連続。同社では「持続的な業績向上と価値創造への意欲をさらに高めるため」と説明した。

16:10

いすゞ自動車も満額回答

 いすゞ自動車は、定期昇給やベースアップを含む総額で月1万9千円の賃上げを労働組合に回答した。労組の要求に対して満額回答となり、平均賃上げ率は5%超となる。

 年間一時金は5.6カ月分に加えて、一律で5万円を支給する。労組の要求は5.8カ月分だった。昨年は賃上げ総額が月1万9千円、年間一時金が6.0カ月分といずれも満額回答だった。

金属労協のホワイトボードに電機各社のベースアップ額などが書き込まれた=2026年3月18日午後0時12分、東京・日本橋、南日慶子撮影

 ダイハツ工業は、労働組合の要求に満額回答した。ベースアップと定期昇給を含めて月2万2千円、年間一時金は5.7カ月分となる。

 同社によると、自動車業界でも高い水準の賃上げ回答は「従業員のこれまでの取り組みへの感謝」や「持続的な成長と競争力向上に向けた『人への投資』」をふまえた判断という。2023年末の認証不正の発覚後、十分な賃上げができなかった時期があったことも影響しているとみられる。

15:00

自動車総連、主要12労組すべてで満額か満額以上

 自動車業界の労働組合でつくる自動車総連は、主要12組合の回答状況(午後2時半時点)を発表した。賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均回答額は1万9333円と昨年から863円増え、比較可能な1993年以降で最高だった。12組合すべてで満額か満額以上の回答だった。

 金子晃浩会長は「今後に続くすべての組合にとって、大きな後押しになると思う。大変厳しい中、目指す要求水準をしっかり獲得できたということを高く評価したい」と述べた。

春闘の集中回答日に会見する自動車総連の金子晃浩会長=2026年3月18日、東京都中央区、中村建太撮影

 関西電力は平均で月1万6千円のベースアップ(ベア)を回答した。労働組合の要求額1万3千円を上回った。ベアの実施は3年連続。全新入社員の初任給も1万3300円引き上げる。

安川電機は昨年と同じベア1万5千円の回答

 産業用ロボット大手の安川電機(北九州市)は、昨年と同じ1万5千円のベースアップ(ベア)を労働組合に回答したことを明らかにした。基準とする開発・設計職30歳相当では、定期昇給込みの賃上げ額が2万2千円で、約6.4%の賃上げ率になるという。労組がベアとして要求した1万8千円は下回った。

 山田達哉常務執行役員は「中東情勢でのコストアップなど不透明なところがあり、減額も議論したが、人への投資をメッセージとして従業員と共有することが最重要と考えた」と話した。

 一方、安川電機労組の久保隆志中央執行委員長は「先行きの不透明感が増す中で、昨年と同水準を決断いただいたことは非常に重みがある。地場の中でトップクラスの賃上げになり、社会的波及力のある数字だと思っている」などと話した。

安川電機の団体交渉では、山田達哉常務執行役員(奥右)が労働組合の久保隆志中央執行委員長に回答書を手渡した=2026年3月18日午前8時46分、北九州市八幡西区、江口悟撮影

 東芝は労働組合に対し、月1万6千円のベースアップ(ベア)を回答した。いまの交渉方式になった1998年以降で最も高い額だ。

 一方、労組が要求した1万8千円は下回る。同社は「足元の緊迫化する中東情勢による日本経済への影響などをふまえ、総合的に判断した」としている。

日立製作所は過去最高の満額回答 「コストではなく投資」

 日立製作所は、労働組合の要求に対して満額となる、月1万8千円のベースアップ(ベア)を回答した。昨年の月1万7千円を上回り、過去最高となった。一時金(ボーナス)も合わせた年収の増額は、平均で6・0%になるという。

 記者会見をした人事担当の滝本晋常務は、「消費者物価指数の上昇率を上回る賃上げ」は4年連続になると強調。中東情勢など経済の不透明感が強い中で満額回答をした理由を問われ、「これはコストでなくて投資。極めて不透明な状況で新たな投資をして、その難しい状況の中で打ち勝っていく」と話した。

記者会見する日立製作所の滝本晋常務=2026年3月18日、東京都千代田区

 自動車や電機など製造業5業種の労働組合の産業別組織が集まる金属労協は、午後0時半時点で報告があった大手49組合の回答状況を発表した。

 賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)は平均1万5450円と、比較可能な2014年以降で最高になった。うち32組合で満額以上の回答になったという。

 記者会見した金子晃浩議長(自動車総連会長)は「前年度の物価上昇を大きく上回る高い水準だ。組合員の生活不安を払拭(ふっしょく)するため、労使の社会的役割を果たしたものと高く評価をしたい」と述べた。

春闘の集中回答日に会見する金属労協の金子晃浩議長(左から3人目)=2026年3月18日午後2時12分、東京・日本橋、吉田博紀撮影

 関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は18日、大阪市内での会見で今春闘の回答水準に触れ、「先日来、大手企業を中心に昨年同様の高水準な回答が表明されているが、こうした動きは、力強い賃上げの流れを定着させ、『成長と分配の好循環』の実現に向け、歓迎すべきものと考えている」と話した。

 働き手全体の底上げのためには、中小企業の賃上げ水準の引き上げが欠かせない。松本会長は「賃上げの効果を中小企業を含めて広く波及させるためには、労務費を含む適切な価格転嫁や適正取引の徹底を進めていくことが重要」と述べた。

13:00

業績悪化のホンダ、ベア1万2千円で満額回答

 ホンダは、1万2千円のベースアップ(ベア)を労働組合に回答したと発表した。定期昇給を含んだ賃上げ総額は1万8500円で、いずれも満額回答となった。年間一時金は5.3カ月分となった。

 ホンダは2026年3月期の純損益が上場以来初の赤字に転落する見通し。労使交渉に当たった貝原典也副社長は「ホンダの競争力の源泉である『人』への投資に覚悟を持って向き合うとの考え方から、満額で回答した」とコメントした。

パナソニックはベア1万8千円、過去最高額

 パナソニックホールディングスは、月1万8千円のベースアップを回答した。労働組合の要求に満額で応じた。ベアの実施は13年連続で、今年の額は過去最高だという。

 初任給は大卒で1万8千円引き上げ、28万7千円とした。

12:30

シャープは昨年上回るベアを回答

 シャープは、昨年を上回る賃金改定を労働組合側に回答した。会社側は具体的な賃上げ額を公表していないが、組合側の試算では月1万5千円相当のベースアップという。要求額の1万8千円を下回ったが、昨年実績の1万2千円を上回った。

 大卒の初任給は1万8千円引き上げて、28万7千円とした。労組側の要求を5千円上回った。

12:15

スズキは3年連続で要求超える回答

 スズキは、定期昇給分を含む総額で平均2万500円の賃上げを回答した。組合からの要求は1万9千円だった。要求を上回る回答は、3年連続となる。年間一時金は6.3カ月分の要求に満額回答した。

 鈴木俊宏社長は「賃金の改定は、(社員が)能力を向上させることへの期待値で、会社として『人への投資』に対する意志を示すものだ」とコメントした。

11:30

トヨタが6年連続の満額回答

 トヨタ自動車は、労働組合からの賃上げと一時金(ボーナス)の要求に満額で応じる回答をしたと発表した。満額回答は6年連続となる。

 労組側は賃金について、定期昇給に相当する部分も合わせ、職種や資格ごとに月8590~2万1580円引き上げるよう要求した。平均の賃上げ額は公表していない。一時金は、7.3カ月分(前年は7.6カ月分)を求めた。

 2月25日から3回開かれた労使協議会では、生産部門から管理部門までの各段階で、生産性を高める施策について議論した。総務・人事本部の山本正裕本部長は「(満額回答は)生産性向上に向け、労使とも垣根なくやっていくための決意の表れだ」と述べた。

春闘の回答内容について説明するトヨタ自動車の幹部

 JFEスチールは、月7千円のベースアップ(ベア)で労働組合と妥結したと発表した。鉄鋼業界を取り巻く環境が厳しいとして、労組が要求していた1万5千円には届かなかった。

 定期昇給は月6500円となり、ベアを含めた賃上げ総額では1万3500円となる。2024年はベア3万円、25年はベア1万5千円と労組の要求に満額回答していた。

11:00

JAM、傘下組合の賃上げ妥結水準は過去最高に

 中小を中心に製造業の労働組合で作る産業別組織JAMが、17日時点での回答速報を発表した。春闘で交渉する傘下1417組合中222組合(15.7%)が回答を受け、賃上げ妥結額は平均月1万5421円。同じ組合で前年と比較して1146円高く、過去最高になった。

 賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)分を明示している組合のベア額は全体で月1万490円で、前年同時期より365円増え、過去最高を更新した。

 安河内賢弘会長は「引き続き力強い賃上げの流れが続いていると判断している」とここまでの結果を評価。これから本格化する中小の交渉では、イラン情勢の緊迫化の悪影響も懸念されるが、「時を待ったとしても霧が晴れるわけではない。先行グループの事例を生かし、粘り強く交渉を続けることを期待したい」と述べた。

10:30

重工大手3社はいずれも満額回答

 重工大手の三菱重工業、川崎重工、IHIは、いずれも1万6千円のベア要求に満額での回答だった。

 重工各社は、防衛関連やエネルギー事業が好調だ。川崎重工は「将来にわたって人への投資を継続可能なものとするために総合的に判断した」とコメントした。

10:20

金属労協のボードへの回答書き出し始まる

 東京・日本橋にある金属労協の事務所では、職員によるホワイトボードへの春闘の回答状況の書き出しが始まった。金属労協は自動車や電機など五つの産業別の労働組合で構成されており、18日までに回答が出たオークマ横河電機といった製造業大手の賃金引き上げ額を記入した。

09:00

三菱電機が満額回答 2008年以降で最高水準

 三菱電機は、今年の春闘で、月1万8千円のベースアップ(ベア)で労働組合と妥結したと発表した。労組の要求通りの満額回答となった。現在の交渉方式になった2008年以降で最高水準という。

 物価高騰インバウンド需要の増加を考慮した出張宿泊費の上限引き上げのほか、介護のための短時間勤務制度の期間上限撤廃などの実施も決めた。

 阿部恵成常務は「報酬改善と並行して、あらゆる面での人への投資を一段と加速させる。社員の生活安定とウェルビーイング(心身の健やかな状態)の実感を通して、持続的な企業価値向上につなげる」とコメントした。

 毎年2~3月にかけ、「春闘」が盛り上がりをみせます。そもそも春闘とは何なのでしょうか? その歴史は? 日々の生活との関係は? 春闘についてイラストを交えて解説していきます。

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