米FRBの9月利下げ、0.25%の見通し PPI発表受け

14日に発表された7月の米卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)が前月比0.9%上昇と市場予想を大幅に上回って伸びたことを受けて、米連邦準備理事会(FRB)が9月の会合で通常より大幅な0.50%ポイントの利下げを決めるとの見方がほぼ消えたとみられる。7月撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)

[14日 ロイター] - 14日に発表された7月の米卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)が前月比0.9%上昇と市場予想を大幅に上回って伸びたことを受けて、米連邦準備理事会(FRB)が9月の会合で通常より大幅な0.50%ポイントの利下げを決めるとの見方がほぼ消えたとみられる。ただ、9月に0.25%ポイント利下げし、10月に追加利下げを決めるとの見方は維持された。

PPIの発表前、市場では0.50%ポイントの利下げの可能性は3%程度で、大方の予想は0.25%ポイントの利下げだった。

7月のPPIでは、モノの価格上昇に加え、サービス部門の価格が急上昇した。トランプ米政権による関税措置を背景に今後、消費者に価格が転嫁される可能性があり、ネーションワイドのシニアエコノミスト、ベン・エアーズ氏は「今後数カ月、関税の影響が消費者物価にさらに反映され、2025年後半にはインフレ率が緩やかに上昇する可能性が高い」と述べた。

シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は13日、直接的に関税の影響を受けないサービス部門の価格が上昇している兆しに注目していると述べた。12日に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)からもサービス価格の上昇が示されていた。

ベセント米財務長官は、インフレが抑制されているとして9月の大幅利下げを主張していたが、14日には0.25%ポイントの利下げから始めることができるとの考えを示した。

セントルイス地区連銀のムサレム総裁は14日、FRBが9月の会合で0.5%ポイントの利下げを決定することは、米経済の現状を踏まえると正当化されないとの考えを示した。

PPIを受け、FRB当局者の間ではインフレが引き続きリスクであるとの懸念が高まり、9月利下げの根拠を巡る議論が激化する可能性がある。

市場は22日にワイオミング州で開かれる年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエルFRB議長の発言に注目する。

PPI発表後、アナリストらは7月のコア個人消費支出(PCE)価格指数が前年比2.9%上昇するとの予想を示した。次回のPCEは29日に発表される。

また、FRBは9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)より前に8月の雇用統計と消費者物価指数(CPI)のデータも入手する。

市場は9月の0.25%ポイント利下げを引き続き予想しているが、確率はPPI発表前のほぼ100%から約90%に低下した。

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