「ChatGPTブラウザ」、プライバシー機能の活用は必須。“実用”できたもんじゃない
「人に見せられないもの」を見たいときもAIが見てる。
2025年10月22日にリリースされたAIブラウザ「ChatGPTアトラス」(以下、アトラス)をさっそく使っています。賢いし、UIなども使いやすいのですが、寝る前に問題が発生しました。
※少々下品なので苦手な方は1に飛んでください。
以下のアトラスの応答を見てください。献身的ながんばり屋AIです。
ChatGPTアトラスの思考内容。「少し計画して、うまく調整できるようにしたいです。しっかりサポートしたいですね!」と健気な感じImage: かみやまたくみそのせいで、”いつもお世話になってるサイト”を見るのが憚られました。明るく前向きなAIに「PとかXとかFとかDを開き、検索をサポートして」とお願いするの、無理でした。
アトラスは表示している画面を細部まで認識します。ユーザーの代わりに操作することさえ可能です。それを知っているのもあって抵抗感がすごい。
クラスの優等生な子みたいなAIに一挙一投足を見られているだけでなく、後述するように記録までされる。プライバシーが関わる・プライベートな内容を表示・入力する瞬間にこの事実が重くのしかかってきます。
使わざるを得ない2つの「プライバシー機能」
幸いなことに、この問題を解決できる機能がきちんと実装されていました。ChatGPTをそういうコンテンツに対応させようとしているOpenAI的には当然なのかもしれません。
1. 匿名モード
匿名モードImage: かみやまたくみアトラスには匿名モード(インコグニートウィンドウ)があります。ログインなしで利用する機能であり、AIチャット・閲覧したサイト・アカウントが何をしたかは記録されません。性質上、ChatGPTの会話履歴を参照してのパフォーマンスアップはできなくなります。
[ファイル]>[新しいインコグニートウィンドウ]かショートカット(Cmd+Shift+N)で起動できます。
AIに見られるのは変わりませんが、「自分」と認識されなくなります。高度なAI検索もブックマークも使えるので、機能性が損なわれにくいのが特徴です。個人的にはけっこうこれで解決しました。
2. 「ただのブラウザ」に近い形で使える設定がある
表示中のサイトをAIに見せないように設定できるImage: かみやまくたみURL欄の左端にカーソルを置くと、「表示しているサイトに対する設定」が可能です。[ChatGPTのページの表示]>[許可しない]に設定すると、AIが「今見ているサイト」を参照できなくなり、ブラウザメモリ(後述)も作成されません。
「匿名モードを使わずに閲覧してたら、個人情報を入力するサイトに行く用事を思い出した」みたいなときにスポットでオンにする想定の機能です。「ただのブラウザ」のほうが都合がいいときに、一時的にそうできる機能、って感じかと思います。登録手続きなどのタイミングでけっこうお世話になりそうです。
「見てる情報」多すぎ。プライバシー設定しとこう
設定画面Image: かみやまたくみ問題を解決する過程でプライバシー関連の機能・設定をチェックしたのですが、アトラスというブラウザは「AI/メーカーに共有される情報」が非常に多いです。利用する際は必ず好みに合った設定にすべきと思いました。
具体的な項目は以下、すべてメニューの[設定]から確認できます。
[データコントロール]
- すべてのユーザー向けにモデルを改善する:回答がAIの学習に利用されます。OpenAIに協力したいならオン。
- ウェブ参照と検索の改善にご協力ください:オンだと「URLを含むログ」が検索性能向上に利用されます。ブラウザでは「公開する気がないURL」を扱うことも普通にあるので基本オフがいいでしょう。
[パーソナライズ]
- 保存されたメモリを参照する:「メモリ」は「ユーザーがChatGPTで閲覧・会話したものの記憶」です。厳密にその内容が記録されているわけではなく、それらの特徴が記録されます。“ChatGPTのメモリ”なのに注意してください。アトラスはChatGPTと連動しており、オンだと過去にしたChatGPTとの会話を踏まえた回答ができるということです。
- メモリを管理する:記録されているメモリを確認でき、必要に応じて削除できます。
- チャット履歴を参照する:オンだと、状況に応じてChatGPTが「過去に実際にした会話」を直接参照して回答を生成します。ChatGPTに会話が生成され、メモリも更新されます。参照だけでなく記録も行うので注意が必要です。
- ブラウザーのメモリを参照する:「保存されたメモリを参照する」とよく似ていますが、あちらが「ChatGPTのメモリ」の話をしているのに対して、こちらは「アトラスのメモリ」を指しています。どうちがうかというと、アトラスを使う場合は基本的にブラウザーのメモリが作成されます。アトラスに関連してChatGPTのメモリが更新されるのは、説明の限りでは「アトラス上でChatGPTにアクセスして使ったときだけ」です。
参考までに自分の設定を載せます。アトラスの性能を最大限発揮する設定となっており、見たものや会話がメモリの形で保存されます。それを回避したい場合は、匿名モード・「ページの表示を許可しない」を使います。無難では…ないですね。
- すべてのユーザー向けにモデルを改善する:オフ
- ウェブ参照と検索の改善にご協力ください:オフ
- 保存されたメモリを参照する:オン
- チャット履歴を参照する:オン
- ブラウザーのメモリを参照する:オン
プライバシーを重視したいのであれば、「チャット履歴を参照する」「ブラウザーのメモリを参照する」はオフにしましょう。これらをオフにすると、各種履歴の保存がほぼされないようです。匿名モードなども併用すればさらに安心して使えるはずです。
なお、「チャット履歴を参照する」はオンにするとChatGPTのログがハチャメチャに増えます。ChatGPTの管理が煩雑になるのでオフが無難かも。
Source: OpenAI