FOMC、政策金利据え置きを決定-年内2回の利下げなお予想

米連邦公開市場委員会(FOMC)は17、18両日に開催した定例会合で、主要政策金利を据え置くことを決定した。また年内2回の利下げを引き続き予想。経済の先行きを巡る不確実性は依然として高いものの、やや緩和されたとの認識を示した。

  フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.25-4.5%。今回の決定は全会一致だった。

FOMC声明:景気見通しの不確実性は低下したが依然として高い

   会合後に公表されたFOMC参加者による最新の四半期予測では、当局者は今年の経済成長見通しを引き下げた一方、失業とインフレの見通しは引き上げた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会合後の記者会見で、「政策スタンスの調整を検討する前に、経済の見通しについてより多くの情報を待てる状況にある」と述べ、これまでと同様の見解を改めて示した。

  年内2回の利下げを見込む予測中央値に変化はなかったが、幾人かは自身の予測を引き下げた。年内の利下げ回数をゼロと予想したのが7人。3月時点では4人だった。2人は今回、1回の利下げを予想した。

  予測におけるこうした変化は、少なくとも25年における金利の方向性に関して、当局者間で見解の相違が広がっていることを示しているように見受けられる。この点について質問を受けたパウエル議長は、予測を重大視しない姿勢を示した。

  経済の不確実性が高いことを踏まえ、「誰もこうした金利の道筋に強い確信を持っていない」とパウエル氏は述べた。

  会合後の声明には「景気見通しに関する不確実性は低下したが、依然として高い」と記された。

  声明の発表後、ドル指数と米国債利回りは一時下げを拡大。その後ドル指数は上げに転じ、10年債利回りも高下した後に小幅高となった。S&P500種株価指数はしばらく堅調を維持したが、パウエル議長の会見中に上げを失い、終盤は上げ下げを繰り返した。円は対ドルで一時上昇を拡大したが、その後は上げを縮めた。

  今回の声明ではまた、「失業増加とインフレ加速のリスクは高まった」との文言が削除された。

  6月の会合を前に、多くの当局者は当面の金利据え置きを支持するとのシグナルを発していた。トランプ大統領の経済政策がインフレ軌道や経済全体にどのような影響を及ぼすか、当局者らは明確になるのを待ちたい考えだ。

最新予測

  最新の経済予測は、トランプ大統領が貿易相手国に対する高い関税を発表した後では初の公表となる。それら関税の多くは、既に縮小ないし延期されている。

  予測中央値によれば、2025年末時点でのインフレ率は3%(前回2.7%)に上方修正。経済成長率については1.4%(前回1.7%)に下方修正された。

  失業率については年末時点で4.5%と、前回予測からやや上向きに修正された。

  今回の予測は、FRB当局者が直面する難題を浮き彫りにしている。

  インフレ圧力の高まりは通常、金利を引き上げて経済を引き締めるべきだとの政策判断につながる一方、経済成長が鈍化する局面では、利下げによる刺激策が求められる。トランプ氏は今年、パウエル議長の下でFOMCの政策対応が後手に回っていると主張し、繰り返し利下げを求めている。

兆候はまだ見られず

  現時点において、雇用とインフレの指標に関税の影響は顕著に表れていない。5月の基調的な消費者物価は市場予想を下回る伸びにとどまり、これを受けてトランプ氏は改めて利下げを要求した。

  パウエル議長は最終的な物価に関税が反映されるとのFOMCの見方に変わりはないとしつつ、それには時間がかかると指摘した。

  「最終的には関税のコストを誰かが支払わなければならず、一部は最終消費者が負担することになる」とパウエル氏。「それは企業の説明や過去のデータが示していることであり、われわれはそう理解している」と述べた。

  その上で、「それが起きることは分かっている。性急な判断を下さずに、少しでも実際の影響を確認したい」と語った。

原題:Fed Officials Hold Rates Again, Still See Two Cuts by Year End(抜粋)

(パウエル議長の発言や相場の動きを追加し、更新します)

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