Googleが環境音から「周囲にいる生物の種類や個体数」を推測できるAI「Perch」の強化版をリリース

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GoogleのAI「Perch」は「生物音響学(バイオアコースティック)」のための事前学習済みモデルで、環境音を分析することで「その地域に何匹の動物がいるか」「赤ちゃんは何匹産まれているか」などさまざまな質問に答えることができます。Googleは2025年8月7日に新しいバージョンのPerchを発表し、より多くの動物の鳴き声を認識できたり水中環境の音を解明できたりと強化されています。

New Perch AI model helps protect endangered species

https://blog.google/technology/google-deepmind/perch-ai-model/

How AI is helping advance the science of bioacoustics to save endangered species - Google DeepMind

https://deepmind.google/discover/blog/how-ai-is-helping-advance-the-science-of-bioacoustics-to-save-endangered-species/

[2508.04665] Perch 2.0: The Bittern Lesson for Bioacoustics

https://arxiv.org/abs/2508.04665 PerchはGoogle DeepMindが2023年にリリースした生物音響専門のAIモデルで、当初は鳥類の鳴き声に特化した分析能力を持ち、環境音から1万種類以上の鳥の鳴き声を聞き分けることができました。

2025年8月7日に発表された「Perch 2.0」は、Peachで分析できる環境音が鳥類だけではなく哺乳類、両生類の鳴き声に対応したほか、海洋、人工音なども分析可能になりました。 Peachの用途と仕組みについては、以下のムービーで説明されています。

🦜“Where does this endangered bird live?”🦭“How many seals are being born?”🐠“Have salmon numbers declined?”Our updated AI model Perch can help biologists find answers to these questions faster, while looking at more ecosystems and animal populations than ever before.

Here’s… pic.twitter.com/9xuWLPv5Sg

— Google DeepMind (@GoogleDeepMind) August 7, 2025

動物は鳴いたり音を出したりすることで、お互いの位置を伝えています。Peachは、環境音からそうした鳴き声を抽出することで、どのような動物がどこに何匹いるかを解明することができるAIです。

自然の中に設置した機械で環境音を録音し、動物の分布や個体数をPeachで分析することで、「気候変動が生態系に与える影響」や「人間の居住地拡大が生態系に与える影響」などを分析することができます。

動物の鳴き声には、人間の耳で聞いてもほとんどわからないほど似通っているものがあります。PeachではAIを用いた音響分析により、それまで区別が難しかった個体の識別も可能としています。さらに、鳴き声が大人のものか赤ちゃんのものかも識別できます。

Peachは2023年のリリース以来25万回以上ダウンロードされており、検索ライブラリがコーネル大学で広く使用されている「BirdNet Analyzer」という分析ツールの一部となっていたり、オーストラリアの野鳥保護団体とオーストラリア音響観測所が多くの種を分類するためのツールの開発を支援してこれまで発見が難しかった新個体群の発見を可能にしていたりと、さまざまな調査・研究に役立っています。Google DeepMindは「Peachの新しいバージョンによって、これらの取り組みがさらに加速することが期待されます」と述べています。

Peach 2.0は、データサイエンスや機械学習のためのオンラインプラットフォームであるKaggleで公開されており、ダウンロードして使用することができます。

Google | Perch | Kaggle

https://www.kaggle.com/models/google/bird-vocalization-classifier/tensorFlow2/perch_v2

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