カワサキ、新設計2スト『KX327/KX327X』を発表。同社初のFI 2ストで新たなオフロードワールドを再定義
かねてより噂されていた2ストロークのKXがついに発表。2027年モデルとして、完全新設計の327cc 2ストロークエンジンを搭載するフルサイズ・モトクロッサー「KX327」と、クロスカントリー仕様の「KX327X」で、米国希望小売価格はKX™327がUSD 9,099、KX™327XがUSD 9,699。デリバリーはいずれも2026年後半を予定しているとのこと
両モデル共通の中核は、新開発の327cc水冷単気筒2ストロークエンジン。カワサキとして初の燃料噴射式2ストとなる重要なユニットで、点火タイミング、燃料噴射、排気バルブ制御を精密に組み合わせることで、「ピーキーな2スト」のフィーリングを整え、低回転域から扱える幅広いパワーバンドを実現するとされる。シングルシャフトの一次バランサーも備え、振動を抑えてスムーズな出力特性とスロットルコントロール性を狙う構成だ。KTMの300ccにはじまったビッグボア2ストロークの波は、327ccという数字がカワサキの返答に。もちろん選手権に出られる排気量ではないものの、ファンライド勢に大人気のカテゴリーである。もちろん、XC向けにも相当な人気である。
吸気系はクランクケース・リードバルブ式で、最新のFIシステムが組み合わせられる。39mmスロットルボディには、上流側と下流側のデュアル・インジェクターを装備。いわゆる掃気ポートインジェクションではなく、スロットルボディインジェクションである。低回転時は下流側インジェクターのみが作動して開度の浅い領域での緻密な燃料供給を担当し、低速トラクションをきっちり立ち上げる役回りに振っている。回転が上がってくると上流側インジェクターも加わり、2ストらしい高回転域の伸びと加速の鋭さを生む構成。
加えて、本エンジン専用設計の排気バルブシステムを採用。エンジン回転と開度に応じて排気ポートタイミングを動的に調整し、超低回転からのトルクと回転に応じたリニアなパワー特性を引き出すとしている。
ミッションで作り分けられたキャラクター。KX™327は5速クロスレシオ、KX™327Xは6速+超ローレシオ
トランスミッションは両モデルで作り分けられているのが大きな特徴だ。モトクロス仕様のKX™327は、パワーバンドに乗せ続けやすい5速クロスレシオを採用。これに対しクロスカントリー仕様のKX™327Xは、超ローレシオの1速を備えた6速トランスミッションを搭載する。低速で障害物を越えるためのフロントアップや、テクニカルセクションでのトルク特性を意識したXC寄りのギア比設定で、ここがMX/XCの最も明確なキャラ違いとなっている。
クラッチは両モデルとも油圧式で、ヒート時にもフィーリングが安定する。コーンディスクスプリングを採用することで、レバーの引きを軽くしつつ、ミート域の幅を広げているのも見どころだ。
エレクトリックスタートと2モードのパワーセレクト
スタータは軽量・コンパクトなLi-ionバッテリーによる電動式。レースやテクニカルセクション中にストールしても素早く再始動できる、現代オフローダーの定番装備である。あわせて左ハンドル側の「M」ボタンで切り替え可能な2モードのパワーセレクトを搭載し、コースコンディションやライダー好みに合わせてフルパワーの「Normal」と穏やかな「Mild」を選べる。なお、潤滑はトラディショナルなプレミックス方式を採用し、別体オイルインジェクションを持たないシンプル軽量な構成だ。
KX™450F譲りの軽量アルミ・ペリメーターフレーム
シャシーは、KX™450Fのアルミ・ペリメーターフレームをベースに新エンジン用にチューニングした新設計を両モデルで共用する。ロアパイプ周りを強化することでフロント側からのフィードバックを改善し、ハイスピードのセクションでも、テクニカルなトレイルでも安定して扱える方向で煮詰めている。
フロントサスペンションには48mm径のKYB製コイルスプリング・フォークを採用し、KYB独自の「AOS(Air-Oil-Separate)」システムとカシマコート処理によって、安定した減衰特性とスムーズな摺動を実現する。内部のバルビングはモトクロス向けのKX™327とクロスカントリー向けのKX™327Xでそれぞれ専用チューンが施されている。
リア側は新世代の「New Uni-Trak®」リンク式リアサスペンションを搭載し、フルアジャスタブルのKYB製リアショックと組み合わせる構成。KX™327Xは長時間レースの乗り心地と路面追従性によるトラクション確保を両立する方向、KX™327は瞬発的なヒット吸収を重視する方向で、それぞれ味付けが変えられている。
Nissinブレーキ+エクセルリム。ホイールサイズで露骨に分かれるMX/XC
ブレーキは前後ともNissin製キャリパー+油圧マスター。フロント270mm、リア240mmのペタルディスクの組み合わせも両モデル共通だ。違いはホイール側で、モトクロス王道の21インチフロント/19インチリアを採用するKX™327に対し、KX™327Xは21インチ/18インチのXC王道セットアップ。タイヤはKX™327Xにダンロップ「Geomax AT82」が標準装着される。エクセル製リム+マシン加工ハブの構成は両モデル共通だ。
クロスカントリー仕様のKX™327Xには、長距離・耐久走行を意識した専用装備が奢られる。まず2.25ガロン(約8.5L)の半透明大容量燃料タンク。さらにハンドガード、リンクガード付きの頑丈なスキッドプレート、リアブレーキディスクガード、そして鍛造アルミ製サイドスタンドまでが標準装備となる。
一方のモトクロス仕様KX™327は、これらXC装備を持たないかわりにシャープに軽量化された純レーサー仕様。クロスカントリー走行をしないユーザーにとっては、こちらの方が軽快に振り回せるはずだ。
ERGO-FIT®で4ポジションのハンドル+2ポジションのフットペグ調整
両モデルとも、エルゴノミクスは4ストでもおなじみのERGO-FITを採用する。トリプルクランプ側に2ヶ所のマウントポイントを設け、バーマウントもリバーシブル仕様としたことで、合計4通りのハンドルポジションを選べる。フットペグも2段階で前後位置を調整可能で、体格やコース・走り方に応じて細かくセットアップを追い込める構成だ。グリップはODIロックオン式が標準で、ハンドルバーはRenthal Fatbar、シートはノンスリップ仕上げと、現場で効く小物を要所要所に押さえている。
加えてエアボックスへのアクセスを大幅に簡略化したクイックリリース式サイドカバーも搭載され、工具なしでフィルター交換ができる構造になっている。レース現場のピット作業を確実に短縮する、地味だが効くアップデートだ。
RIDEOLOGY THE APP KX™2でスマホ連携
両モデル最大の現代化トピックは、スマートフォンとの連携機能だ。フロントナンバープレート裏側に通信ユニットを搭載し、専用アプリ「RIDEOLOGY THE APP KX™2」とBluetooth経由で接続できる。フロントフェンダーにはGPSユニットも装備され、Googleマップ衛星画像をベースとしたオフロードコースマップの作成、ラップタイム計測、速度・ギアポジション・エンジン回転数のレビューに対応。さらに吸気温・冷却水温などのエンジンテレメトリのリアルタイム監視や、エンジン稼働時間・メンテナンスリマインダーまでアプリ内で完結できる、まさに「スマホ前提」の2ストレーサーといえる装備内容である。
2026年後半デリバリー。欧州勢独占市場へ正面突破
KX™327の米国希望小売価格はUSD 9,099、KX™327XはUSD 9,699。「AVAILABLE LATE 2026」とアナウンスされており、デリバリーはいずれも2026年後半が予定されている。これまでKTM、ハスクバーナ、ガスガス、ベータといった欧州勢が事実上独占していたフルサイズ2ストエンデューロ/モトクロス/クロスカントリー市場に、カワサキが完全新設計のアルミフレーム+FI 2ストという強烈なパッケージで本気の正面突破を仕掛けてきた格好だ。日本市場への導入については、米国カワサキの発表時点ではアナウンスされておらず、カワサキモータースジャパンからの続報を待つことになる。
主要スペック比較
KawasakiKX™327(2027年モデル/Full-Size MX)
USD 9,099(米国希望小売価格/日本導入は未発表)
https://www.kawasaki.com/en-us/motorcycle/kx/full-size-mx/kx-327
KawasakiKX™327X(2027年モデル/Full-Size Cross Country)
USD 9,699(米国希望小売価格/日本導入は未発表)
https://www.kawasaki.com/en-us/motorcycle/kx/full-size-cross-country/kx-327x
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カワサキモータースジャパンは2026年6月3日、新世代2ストロークのクロスカントリーレーサー「KX327X」の国内導入を正式に発表しました。米国での発表から大きく間を置かず、価格・カラー・発売時期がはっきりと示された形です。メーカー希望小売価格は1,089,000円(本体価格990,000円+消費税99,000円)、カラーはライムグリーン(GN2)の1色、発売予定日は2026年冬頃となっています
国内モデルインフォメーションでまず目を引くのが、「カワサキは19年以上の時を経て、再び250cm³を超える新型2ストロークモデルを設計しました」という一文です。米国向けの「2-STROKE REVOLUTION」「THE NEW ERA BEGINS」というキャッチコピーよりも、ある意味でぐっとくる重みのある書き方です。KDX220SRや初代KX500の系譜を覚えているライダーには、ここだけでもKX327Xの位置づけがズシンと伝わってくるはずです。
コンセプトは「THE BIKE THAT BUILDS CHAMPIONS」。サブタイトルは「荒野を駆け抜けるための新2ストロークKX」とされ、モトクロス専用機としてではなく、クロスカントリーを主戦場とするモデルであることが明確に打ち出されています。
国内発表の時点で、メーカー希望小売価格1,089,000円という値段が、フルサイズ2ストエンデューロ/クロスカントリー機としては相当に「攻めた」プライシングであることが見えてきました。アルミペリメターフレーム+FI制御+電子制御排気デバイス、というパッケージで、欧州勢のフラッグシップ機と真っ向勝負を仕掛けにきた1台。詳しい主要諸元の続報と、実車のデリバリーが楽しみな冬になりそうです。
なお、今回のKXシリーズ国内リリースでは北米で発表されている2ストモトクロッサーKX327は含まれていません。
KawasakiKX327X1,089,000円(メーカー希望小売価格/税込・本体990,000円+税99,000円)カラー:ライムグリーン(GN2)
発売予定日:2026年冬頃