米銀が決算発表へ、「データ空白」補うとの期待-政府閉鎖の中で
ウォール街の大手銀行が今週発表する決算は、普段以上に注目を集めそうだ。米政府機関の閉鎖を受け、投資家は経済の現状を読み解く新たな手掛かりを切望している。
政府閉鎖の影響で雇用統計など重要データの公表が遅れる中、市場関係者の間では銀行が情報の空白を一定程度埋める独自の位置を占めているとの見方がある。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「データ空白の中、銀行側の見解に耳を傾けたいと思う投資家が増えるのは理にかなっている」と指摘。「大手行は幅広い業界と深く関わっており、常に有用な視点を持っている」と述べた。
それだけではない。株式などのリスク資産が過熱気味の水準で取引される中、 米サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスと自動車部品メーカーのファースト・ブランズが最近破綻したことで、クレジット分野にひびが入っているのではとの懸念が生じている。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)やゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEO、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハンCEOら各行幹部は、決算発表後の電話会見でこの件について質問を受け、その発言が市場に影響を及ぼす可能性が高い。
先週発表された米銀フィフス・サード・バンコープによる同業コメリカの買収を受け、銀行業界のさらなる統合の見通しに関しても質問を受けるかもしれない。
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トランプ米大統領が100%の対中追加関税を10日に発表したことから、関税問題にも注目が集まる。
米銀決算の発表は14日に始まる。JPモルガン、ゴールドマン、シティグループとウェルズ・ファーゴが7-9月(第3四半期)の業績を公表。翌15日にはBofAとモルガン・スタンレーが発表を予定している。
その後、数日から数週間後にクレジットカード会社や地銀などが業績を示し、個人消費の状態について投資家が手掛かりを得ることになる。
ウォール街の大手行は、堅調なトレーディング業務や企業の合併・買収(M&A)回復を背景に、第3四半期の業績も好調だったとみられている。
S&P500種株価指数が過去1年間に13%ほど上昇したのに対し、KBW銀行株指数は約24%上昇と、ほぼ2倍の伸びを示している。
決算発表を前に、銀行株には既に好業績への期待が一定程度織り込まれている。そのため、業績見通しや、関税の影響、政府閉鎖が企業活動に与える影響などに関する各行の見解がより重要になってくる。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨー氏は「業績見通しや政府閉鎖、関税その他マクロ要因が業績に及ぼす影響」に市場は反応するとの見方を示した。
米ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループが9月下旬、一足先に発表した6-8月(第3四半期)決算は、総収入が同四半期として過去最高を記録。ディールメーキングやトレーディングの環境が世界的に改善したという。
ただ、ジェフリーズの株価はその後、ファースト・ブランズとの関係が取り沙汰され、大幅に下落している。
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大手行の株価が今年堅調に推移する一方、中小行には逆風が吹いている。KBW銀行株指数が年初来で12%ほど上昇しているのに対し、KBW地方銀行株指数は約3%下落となっている。
原題:Big Bank Earnings to Plug ‘Data Vacuum’ Amid Government Shutdown(抜粋)