「新・小石河新党」をつくってみては 真っ当な判断ができなかった同志社国際高 大手町の片隅から 乾正人
「真っ当なこと」を普通にできる大人が、とんと少なくなった。
震災の約1時間20分後に熊本市のイオンモールで起きた爆発事故は、「常識」の大切さを思い知らされた。真っ当に考えれば、大地震発生直後の大型店舗は危険だらけだ。
「あんな爆発が起こるとは想定外だった」という言い訳は、通らない。たとえ爆発を想像できなくとも、余震が起きる可能性は高く、床にガラス製品を含む商品が散乱していたのは言うに及ばず、飲食店から出火する恐れだって十分にあった。
それなのに上司が、できれば売上金を金庫に入れてほしいと、避難した従業員に店舗に戻るよう指示をしたとは、言語道断だ。建物管理者が、入館を容認したとすれば、これまた、真っ当な判断を欠いていた。企業は、わずかなカネと引き換えに、若い命と「信用」というカネに代えられぬものを失ってしまった。
「変更届」受け入れられず
沖縄県辺野古沖で起きた抗議船転覆事故で、研修旅行中の生徒が亡くなった同志社国際高校もまた、真っ当な判断ができていなかった。
第三者委員会の報告書によると、抗議船乗船は、亡くなった船長が、当時の学年主任に提案したのがきっかけで、旅行代理店を介さずに令和4年度から始まった。学校側は、事前に航路の安全性すら確認しておらず、検証もやっていなかった。理由は牧師でもある船長への「根拠のない信頼があった」からだという。
それだけではない。事故の2日後、沖縄県庁に知事を訪ねた校長が「今後も同様に訪問させていただき、研修を継続していきたい」と、述べたことが明るみに出ている。亡くなった教え子が、辺野古コースが「基地建設とそれに反対する人が対峙(たいじ)する『現場』を見ることです」との説明を受け、変更届を出していたことを知らなかったのか。彼女は抽選に外れて、事故に遭ってしまった。しかも同行した教諭2人は、乗船していない。校長センセイは、「平和学習」は、人命より重い、とでも考えているのだろうか。これでは真っ当な教育なぞ到底できまい。
真っ当な政治家はどこに
真っ当な判断ができる政治家もまた少なくなった。
消費税減税問題も然(しか)り。野党が、財源問題などを理由に反対するのは、ある意味理にかなっている。
しかし、選挙公約に「飲食料品の消費税ゼロ化に向けた検討の加速」を盛り込んで大勝した自民党の河野太郎ら一部議員が、今ごろになって反対を表明するのは、真っ当な政治家のすることではない。「検討の加速」だから、「検討は続けるべきだ」という元首相・石破茂もいるが、それは詐欺というもの。もともと薄い政治への信頼は地に堕(お)ちる。
確かに飲食料品の消費税減税は、財源のほか2年後に本当に8%に戻せるのか、といった難問が山積である。ならば、「消費税率維持」の旗印を掲げて新党を旗揚げしてはどうか。幸か不幸か、衆院野党第1党の中道改革連合は、合流もままならない。
税率引き下げに抗議の姿勢をみせている小渕優子も加えて「新・小石河新党」をつくれば、話題にはなる。かつての盟友で、防衛相として活躍中の小泉進次郎は、参加しないだろうが。=敬称略(コラムニスト)
=次回は21日掲載予定