ロサンゼルス港の輸入コンテナ量急減-対中関税引き上げが物流に影響

米国の一大貿易拠点であるロサンゼルス港の5月の輸入コンテナ取扱量が前月比19%減少した。トランプ政権の関税政策が影響した。

  同港のエグゼクティブディレクター、ジーン・セロカ氏は13日、記者団に「この時期にしては動きが鈍い」と語った。同氏は、本来なら繁忙期入りするはずの時期に米企業は高関税と先行き不透明感に直面しており、その影響が数カ月後に小売店の品薄の形で現れる可能性があると指摘。

  「夏物ファッションの貨物はすでに終わり、今は重要な年末商戦に先立つ新学期用品やハロウィーン用品の時期に入っている。こうした短期商戦向けの貨物はすでに国内に到着していなければならないが、在庫水準を見る限り、それは確認できない」と説明した。

  今回の輸入減少は、特に中国と取引のある輸入業者や小売業者が貿易戦争の不透明感に直面したことが要因になっている。5月にカリフォルニア州南部に到着したコンテナ貨物の多くは、対中関税率が145%に達した4月にアジアを出港していた。

  セロカ氏によると、ロサンゼルス港の5月のコンテナ取扱量は約71万7000TEU(20フィートのコンテナに換算した貨物量)で、このうち輸入は約35万6000TEUと、前年同月比でも9%減だった。輸出も12万TEU強にとどまり、6カ月連続で前年割れとなった。諸外国が米農産品を中心に報復関税を課している影響が大きいとセロカ氏は分析した。

  米中両国が相互の関税率を90日間引き下げることで合意したことから、今後、輸入は一時的に回復する可能性があるものの、多くの企業にとって対中関税率はなお高過ぎる水準にある。

  セロカ氏は「結局のところ、今の中国からの調達コストは年初の1.5倍に跳ね上がっており、あらゆる種類の製品が極めて高額になっている」と述べた。

  バイデン前政権の元当局者で、エール大学政策研究所「バジェット・ラボ」の経済学ディレクター、アーニー・テデスキ氏によれば、5月の平均実効関税率は約7.5-8%と、年初の2.5%を大幅に上回った。

  同氏はロサンゼルス港での会見で、トランプ政権が発表してまだ発動していない関税がたくさんあると述べ、「われわれの試算では、これまでの関税に加え、2025年の新たな関税を含めると、現行政策は平均実効関税率15.5%に相当する」と語った。

原題:Port of LA Imports Drop 19% in May as Tariffs Hit US Businesses(抜粋)

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