2025年7月31日の火星の風景:いくつもの岩が組み合わさったような…奇妙な岩塊
(引用元:NASA)
奇妙な形状の岩塊の正体は?
アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開している「Mars Perseverance Raw Images」では、火星探査車「Perseverance」が撮影したRAW画像を日々更新しています。今回ご紹介するのは、Perseveranceのミッション第233週にあたる2025年7月31日に、マストにある右のMastcam-Zで撮影された1枚です。
※…2025年7月31日はPerseveranceのミッション1580ソル目にあたります。1ソル(Sol)は火星の1太陽日を指し、地球時間で約24時間40分に相当します。
今回の画像には、歳月が刻んだ独特の姿を見せる巨大な岩塊が写っています。
このような奇妙な形状は、かつてジェゼロ・クレーターに存在した古代湖の水流が岩石を堆積させ、その後の時間経過で固結し、さらに風や砂による浸食で表面が削られた結果と考えられます。
岩に刻まれた割れ目や、母岩とは組成が異なる小さなコンクリーション(団塊)は、水が岩石内部に浸透して鉱物を局所的に沈着させた痕跡かもしれません。
ひとことコメント
じっと眺めていると、別の何かに見えてくる。自然が生んだアート作品ですね! (筆者は亀の甲羅のようにも見えました)
火星探査車Perseveranceとは
Perseveranceは、NASAが2020年に火星に送った探査車で、火星の地質や気候の調査、古代生命の痕跡の探索、将来の有人火星探査に向けた技術実証を目的としています。
【▲ 火星探査車Perseveranceに搭載されている観測装置の位置を示した図。Mastcam-ZとSuperCamはどちらもPerseveranceのマスト、通称“ヘッド(頭)”と呼ばれる部分に搭載されている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】Mastcam-Zについて
Mastcam-Zは、Perseveranceのマストに搭載されている2つのカメラシステムで、主に火星の地形や岩石を立体的に撮影することができます。2012年8月に火星に着陸した火星探査車「Curiosity」に搭載されたMastcamから改良が加えられており、Mastcam-Zは最大4倍のズームが可能となっています。
なお、NASAによるとMastcam-Zの「Z」は、Zoomを意味するものだといいます。
【▲ 火星探査車Perseveranceのマスト部分の拡大画像。Mastcam-ZとSuperCamの設置場所がわかる(Credit: NASA/JPL-Caltech)】編集/sorae編集部