木星と土星の「巨大衛星に関する謎」を解くシナリオを提唱 惑星の表面磁場強度の違いに着目【岡山大学】
■形成プロセス 巨⼤衛星系の違いを知る上で重要と考えられるのは、その形成プロセスの違いです。ガス惑星がガスの⼤気を獲得する際には、惑星の周りにガスが円盤状に集まります。 巨⼤衛星は、このガス円盤の中で形成されたと 考えられています。したがって、ガス円盤の構造や組成によって、そこで⽣まれる衛星の特徴が⼤きく影響を受けます。 ガス円盤の構造は、ガスの密度や温度、惑星の質量、惑星が持つ磁場などによって決まります。 ガス円盤の構造やその時間変化の様⼦が惑星磁場から受ける影響を仮定して、⽊星と⼟星の衛星系の違いを説明するという研究はこれまでにもありましたが、その設定が正しいかどうかについての検討は、⼗分ではありませんでした。 衛星形成における惑星磁場の影響を理解するためには、惑星磁場強度を計算し、ガス円盤と磁場と の相互作⽤を調べる必要があります。 ■内部構造からガス流まで一貫して計算 研究では、ガス惑星の内部構造を数値シミュレーションで解析し、惑星表面における磁場強度を算出しました。 さらに、国立天文台の計算サーバを用いて、惑星を取り巻くガス円盤の構造や衛星形成・軌道進化の数値シミュレーションを行いました。 (岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域 堀安範准教授) 「現在までに木星では100個程度、土星では280個程度の大小さまざまな衛星が発見されています。 このなかで、木星ではイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト (= ガリレオ衛星と呼ばれています)の4つの巨大な衛星が存在していますが、土星ではなぜか大きな衛星はタイタンの1つしか存在していません。この違いを初めて整合的に説明するモデルを提唱した研究になっています」 ──従来との違いは? (岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域 堀安範准教授) 「誕生直後の木星や土星の磁場の強さをきちんと評価していることと、誕生直後の木星の強力な磁場が本当に衛星たちをそれ以上近づけなかった、そして土星は逆に堰き止められなかったということを、惑星を取り巻くガスの流れを詳細に調べることで明らかにできたことです。 木星と土星の磁場の強さを計算し、さらに惑星周りのガス流の流れと衛星の形成まで追うために、国立天文台の計算機を駆使した大規模計算によって、現在の木星と土星周りの衛星系の違いをようやく明らかにできた点になります」