朝ドラ「あんぱん」ヒロインの“最初の夫”役で注目 「美輪明宏」の秘蔵っ子で文豪の玄孫の人気俳優とは?
民放プロデューサーが言う。 「『あんぱん』で注目されたのはもちろんですが、近年は話題のドラマやCMに出まくっています」 そんなに出てたっけ? 「ファンは当然知っていますが、あの役も中島だったのか! と思う人は少なくないと思います。例えば、昨年1月期に放送されて大ヒットした『不適切にもほどがある!』(TBS)では阿部サダヲ演じる昭和の体育教師の同僚教師で、令和からタムスリップしてきたサカエ(吉田羊)に“見た目ドンズバの中身が板東英二”と評された情けない男を演じています。また、同年7月期の『海のはじまり』(フジテレビ)では主人公(目黒連)の勤め先の先輩役を好演。今年7月期の『愛の、がっこう。』(同前)ではヒロイン(木村文乃)の婚約者でありながら不倫を続ける“クズ男”ぶりが話題になりました」 朝ドラ「あんぱん」で演じた真面目な夫・次郎との落差が話題になった。 「CMでは関西弁を話す長澤まさみの相手役を演じた“虫コナーズプレミアム”、熱血漢の阿部寛と組んだ“芝浦マシーン”、杉咲花と共に居酒屋を経営する“サントリー翠”など印象に残るものが多いです」 そんな中島は、美輪明宏の秘蔵っ子と言われて久しい。
「そもそもは明治の文豪・国木田独歩の玄孫として生まれ、本名である“歩”は独歩にちなんで名付けられたそうです。都立の名門・小石川高校を経て、教師になるため日本大学芸術学部文芸学科に進学。日芸では落語研究会に入部していたとか……」 こちらも放送作家の高田文夫はじめ映画監督の森田芳光、落語家では古今亭右朝や立川志らく、春風亭一之輔らを輩出した名門である。 「日芸の仲間たちを見て“普通に仕事をしなきゃいけない”という考えが変わったんだそうです。モデルをしながら俳優になるきっかけを探していたところ、美輪さんが主演・演出する舞台『黒蜥蜴』(2013年)のオーディションに合格。大役を射止めました。美輪さんからは『私の若い頃にちょっと似ている』と言われていたそうです」 もっとも、現場では厳しかったらしい。作詞家・阿木燿子との対談で中島はこう答えている。 《毎日、震えていました(笑)。ある程度は覚悟あるじゃないですか。それでも「棒読みじゃない! もう、どうにもならないわね……」みたいなところから始まり、「本当、何もないのね、あなたは」と》(「サンデー毎日」2014年8月3日号「阿木燿子の艶もたけなわ」より)
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「そんな中島が一躍名を上げたのも、やはり朝ドラでした。『あんぱん』と同じく中園さんが脚本を手がけた14年前期の『花子とアン』で、ヒロイン(吉高由里子)の親友で九州の炭鉱王・嘉納伝助(吉田鋼太郎)の妻・蓮子(仲間由紀恵)と駆け落ちする帝大生を演じました」 蓮子が記した夫への絶縁状は新聞に掲載され、伝助は反論文を発表するなど世間を騒がせた、いわゆる“白蓮事件”である。 「当時、不倫と駆け落ちを朝ドラで描いたことが大きな話題となり、史実である白蓮事件も注目されました。もちろん主婦層を中心に中島のイケメンぶりも人気に。そして今回、11年ぶりに出演した『あんぱん』で、ヒロインの正式な夫になったわけです。改めてそのイケメンぶりが話題になりましたが、『あんぱん』でヒロインの祖父役を演じていたのが吉田鋼太郎だったので、朝ドラファンの間では『妻に加えて孫まで取るのか』とも話題になりました」 脚本・中園の仕掛けだったかもしれない。そして中島は、今や数々の話題作に出演しているというわけだ。 「以前はイケメン枠で町田啓太と競合することが少なくありませんでしたが、“抜けた男”役を演じるようになってから唯一無二の俳優になりつつあります。来年はNHKの大河ドラマ『豊臣兄弟!』で織田信長の義弟・浅井長政を演じ、1月期の『俺たちバッドバーバーズ』(テレビ東京)で連ドラ初主演(草川拓也とのW主演)。さらに、来年春としか発表されていませんが『不適切にもほどがある! スペシャル』(TBS)にも出演が決まっています」 飛躍の年となりそうだ。
新潮社