米坂線、山形県側もBRT・バス転換を検討へ。JRに実証運行求める

2022年の豪雨で一部区間が不通となっているJR米坂線について、山形県と沿線5市町は、BRT(バス高速輸送システム)やバスへの転換を具体的に検討することで一致しました。鉄道による復旧を選択肢に残しつつ、JR東日本に実証運行を求めます。

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鉄道復旧は除外せず

山形県は2026年10月20日、米沢市で「JR米坂線復旧に係る沿線自治体首長会議」を開催しました。米沢市、長井市、川西町、小国町、飯豊町の5市町の首長と折原英人副知事が出席し、今後の方針について「JR米坂線の復旧に向けた共通認識」を取りまとめました。

米坂線は米沢~坂町間90.7kmを結ぶJR東日本の路線です。2022年8月の豪雨で被災した今泉~坂町間67.7kmが不通となっており、代行バスが運行されています。

JR東日本は2023年4月、鉄道の復旧費を約86億円、工期を着工から約5年と試算しました。復旧後の運営については、上下分離方式や地域主体による鉄道運営、バス転換などが検討されてきました。

これについて、公表された「共通認識」では、財政制約などを理由に「やむを得ない」といった消極的な選択をしたり、他の地域の検討が先行していることを理由に拙速に判断したりすることは「避けなければならない」としました。

さらに、「政府において鉄道ネットワークの基本的なあり方や今後の財源確保などについて引き続き検討が行われている」として、現時点で鉄道復旧を除外することには慎重な姿勢を示しました。

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国鉄改革の経緯を重視

「共通認識」で強調されたのが、国鉄改革の経緯です。

まず、米坂線が国鉄改革時に「バス輸送への転換が困難な路線」として存続したことを前提としたうえで、2001年に示された国土交通大臣指針で、JRに対し、「現に営業する路線の適切な維持に努める」ことを求めた点を取り上げました。

さらに、国交省の有識者会議で、鉄道事業者が「地元と一体となって公共交通機関の利用促進とサービス水準の向上に取り組んでいくことが望ましい」と指摘されたことにも留意する必要があるとしました。

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ただ、今回の「共通認識」は、国鉄改革の経緯を持ち出して、鉄路維持にこだわる姿勢を示したものともいえません。

注目点は、BRT やバス転換によって、「鉄道と同等またはそれ以上の利便性や持続可能性を確保した新たな輸送サービスが提供されている『地域』があることも事実」と指摘した点でしょう。

気仙沼・大船渡線BRTなどを念頭においた記述で、BRT化により利便性が向上する側面にも注目したといえます。

「共通認識」では、これを踏まえて、米坂線でも、BRTやバスが地域に適した交通手段となり得るか、具体的に検討する方針を示しました。

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今後は山形県、沿線自治体、JR東日本、国土交通省で構成する「復旧検討会議WG」で、BRTやバスによる新たな輸送サービスを検討します。対象は今泉~小国間で、新潟県側にもオブザーバー参加を求めます。

検討にあたっては、机上の議論だけでなく、実証運行によって効果を検証する方針です。そのため、「共通認識」では、JRに対して「JRが主体となった実証運行の速やかな実施を求めていく」と明記しました。BRTやバスの実証運行を、JRに求めた形です。

本格運行に移行する場合についても、投資・運営経費の負担を含め、JRの関与を具体化するよう求める方針です。

なお、検討区間は今泉~小国間のみであり、米沢~今泉間は含まれていません。同区間は鉄道存続が前提とみられます。

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新潟県側では10月22日、県と村上市、関川村、JR東日本による「JR米坂線復旧検討会議ワーキンググループ」が開かれました。

沿線2市村はJRの関与などを条件にバス転換を容認する姿勢を示しており、新潟県側では2026年度中にバス転換を軸とした具体策を取りまとめる方針とみられます。

山形県側もBRT・バス転換の具体的な検討に踏み出したことで、今後、両県の協議が進む可能性もあるでしょう。

米坂線の今泉~坂町間について、現時点で決定した事項はありません。ただ、BRTも含めたバス転換が、両県の有力な選択肢になってきたことは確かなようです。(鎌倉淳)

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