大久保佳代子「歩道の10cmの縁石で〈下駄ばき骨折〉し、松葉杖に。更年期で不安が増し、部屋も汚れて悲しくなったけれど」|au Webポータル

(撮影:木村直軌)

道端の段差で足をひねり、松葉杖生活を送ることになったというタレントの大久保佳代子さん。更年期の症状も重なり落ち込むなか、そこには新たな気づきが。(構成:篠藤ゆり 撮影:木村直軌)

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【写真】まさかの骨折、大久保さんが一番困ったのは…

あっ、やっちまった!

骨折をしたのは2025年7月、何軒かお店を回ってちょっとお酒を飲む、というロケの最中でした。ロケバスに乗ろうと思ったら、通りかかった年配の女性が、「大久保さん、テレビで見るよりきれいねぇ」と話しかけてくださったので、思わず「本当ですか?」なんて喋っていたら、歩道にある10cmくらいの高さの縁石に乗っちゃって。

そこで一気にバランスを崩して右足がぐにゃり。「あっ、捻挫、やっちまった!」と思いました。

その後もロケは続き、お酒も楽しく飲んだのですが、右足を地面につけようとすると痛くてできない。翌日、腫れてきたけれど、仕事があるので病院に行けなくて。たまたまスタジオにあった車椅子を使って移動していたら、共演者から「絶対病院に行ったほうがいいよ」と。そこで次の日、病院に行ってレントゲンを撮ってもらいました。

そうしたら結果を聞く前に、先生のパソコンのチャット画面に「大久保さんも骨折だったから、松葉杖、もう1組用意しておいてください」という文字が見えて、「えぇ~っ、骨折!?」とびっくり。私の前の患者さんも骨折だったんですね。

私の場合、「第5中足骨基底部骨折(ちゅうそくこつきていぶこっせつ)」といって、足の甲の小指側の骨の剥離骨折。通称「下駄ばき骨折」と言うらしく、下駄を履いていた時代はそこを骨折する人がけっこういたそう。

先生曰く「もう少し場所が悪かったり、骨折の度合いが重かったりしたら手術の選択もありますけど、大久保さんはギプスで固定すれば大丈夫でしょう」。

ところが1週間後に受診すると、先生が「あれ、前より隙間が空いていますよ。どうやって歩いていますか?」と聞かれたので、「松葉杖1本で、怪我したほうの足は踵だけちょっとつけて歩いています」と答えたら、「ちゃんと両手で2本の松葉杖を使ってください。これ以上開いたら、手術しなくてはいけないかもしれません」と言われてしまいました。

しんどかったのは気分の落ち込み

そこからです、大変だったのは。小学生の頃にも足の指を骨折したことがあって、その時は松葉杖をつきながら走り回っていた記憶があって。だから病院で「練習してみますか?」と言われても、「大丈夫です。得意なので」とお断りしたくらい。

でも実際に使ってみると、腋の下は痛いわ、手も痛いわ、めちゃくちゃ疲れるわで、移動のたびに泣きそうになる。50歳を過ぎるというのはこういうことなんだ、と実感しました。

そもそも若い時だったら、人と喋っていても、縁石が目に入ったはず。ひとつのことに注意が向くと、ほかが見えなくなるのも老化なんでしょうね。そんなわけで、ネット通販で松葉杖の上の部分につけるカバーを買ったり、ギプスをしている人用の片足だけのサンダルなど、松葉杖生活用の買い物ばかりをする時期に入りました。

外に出るのも大変なので、いとうあさこさんや黒沢かずこさん、川村エミコちゃんとか、独身女性芸人の友だちに買い物をしてきてもらったり。

食料品はネットでも買えますが、困ったのは愛犬・パコ美の散歩です。芸人仲間が行ってくれたりもしたけれど、それぞれ仕事があって忙しいので、あまり甘えていられないし。初めてペットシッターさんをお願いすることにしました。

仕事現場では、松葉杖をついて現れた私の姿に、みんな驚きながら「どうしました?」とすごく心配してくれて。私の中にある《かまってちゃん欲求》が満たされたのはよかったですけどね。(笑)

週1回の名古屋の仕事は、一人で新幹線に乗って行っていましたが、松葉杖でホームから車内に乗り込むのが怖い怖い。そんな時、「大丈夫ですか?」とか、「先にゆっくり降りてくださいね」などと声をかけてくれる人がいて。

マンションでも、松葉杖でゴミ出しをしていると、「捨てにいってあげますよ」と言ってもらったりして、「あっ、人って優しいんだな」と思いました。だから、困っている人がいたら、私も優しくしてあげなきゃって。

痛みのほかにしんどかったのは気分の落ち込みです。1ヵ月経っても、先生から「まだくっついていないので、2週間後に来てください」と言われる。もしかして、もうこのまま治らないのでは……と、一人で怖くなっていました。

更年期と重なっていたことも、不安が増幅された原因かもしれません。更年期の症状は比較的軽いほうでしたが、それでも不眠や、夜中にカッと熱くなって目が覚めたり、ちょっとしたことでイライラしたりといった症状はありました。

そして、一人身でいることがすごくつらくなってくる。食事しようと思ったら食卓に箸を持ってくるのを忘れて、台所に取りに行って、戻ってきたら今度は醤油がない、みたいな。松葉杖でリビングを行ったり来たりして、もうヘトヘト。

片づけられないから家の中がどんどん汚くなるし、散らかった部屋にいると悲しくなってきます。

人の繋がりの大事さを再認識

でも、落ち込んでばかりもいられない。それに、反省もしましたね。私はもともと関節リウマチで、治療薬を飲むと骨粗しょう症になりやすいというので、定期的に骨密度は測っていたんです。やはり数値が少し低かったので、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも処方されていた。それなのに、面倒だから飲んでなくて……。

そのツケが回ってきたのかなと思い、毎日飲むことにして、太陽の光も浴びるようにしました。タンパク質やカルシウムを補充するサプリも、周りの人が親切に教えてくれる。ま、サプリは、2ヵ月経って骨折が治ったら飲むのを忘れるようになりましたけど。人の優しさも忘れかけているから、いかん、いかん。(笑)

骨折が治ってからは、ストレッチやスクワットも再開しました。コロナ禍の頃はヒマだったこともあって熱心にしていたんですが、いつの間にかサボるようになっていて。ちゃんと取り組み出すと、体が楽になるし、「あっ、動きやすいぞ」って気持ちも上がります。

それと、骨折を機にリュックを使うことにしました。やはり両手が空いていたほうが安全だし、歩くことに集中できる。リュックには女子高生みたいに、大きなぬいぐるみのキーホルダーをぶら下げています(笑)。靴は、足をすっぽり包んでくれて安定感抜群のスニーカー一択です。

一方で骨折中も変えなかったのは、晩酌の習慣(笑)。外へ飲みにも行けないし、これでお酒を我慢したらストレスが溜まってさらに落ち込むと思って。その楽しみは、削らないようにしました。

今も、独身の女性芸人の友だちと週1回は会うようにしています。何歳になってもみんなで美味しく飲むために、内臓系も大切にしていきたいですね(笑)。お互いに助け合いながら生きているので、もう自分一人の体ではない気がしていて。よりいっそう、健康に気をつけていきたいと思います。

今回の骨折は、戒めになりました。気持ちは30代の頃とまったく変わっていないけれど、体は明らかに変化している。そのことを自覚して、「もう二度と骨は折らないぞ」と、自分に言い聞かせています。なによりの気づきが、いかに「人」との繋がりが大事か。人の優しさが本当に身に染みましたからね。

人との繋がりといえば、後輩の若い女の子から「骨折しました」と連絡をもらったので、松葉杖カバーとか、「お古でよかったら」と渡しました。家に置いておいてもねぇ。今は「私、失敗しないので」じゃないけれど、「私、骨折しないので」と思ってますから。(笑)

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