Steam版『ストリートファイター6』などで一部報告されていた通信遅延問題、「Steamクライアント」のベータアプデで修正か。Steamの“NAT越え失敗”バグ

Valveは6月11日、Steamクライアントのアップデートを配信した。このアップデートでは、『ストリートファイター6』など特定のゲームで発生すると一部地域で報告が上がっていた、ネットワークに関する不具合が修正されたようだ。

不具合の存在が浮上したのは今年3月ごろ。GitHub Issueで、イスラエルをはじめとする中東地域で、『ストリートファイター6』の対戦時におけるネットワークが不安定となっていることが報告された。実際の発生地域は不明ながら、別のユーザーは中国でも同様の問題が発生していると報告していた。

そして今年4月、ネットワークエンジニアであり格闘ゲームプレイヤーのMC-MuraことAmr El Maadawy氏は、『ストリートファイター6』Steam版のオンライン環境の悪化について解説する動画を公開。その中では、プレイヤーの端末同士が直接通信をおこなう「P2P接続」方式が採用されている同作で、Steamのサーバーを経由しての「リレー接続」方式が使われてしまっていると説明。そうした状況が、対戦中のPing値が上昇したり、遅延が発生したりする原因だと考察した。

Image Credit: MC MuraFGC on YouTube

動画では実際の検証も交えており、対戦中のパケットを監視したところ、Maadawy氏が居住するエジプトから離れた、フランスに位置するValveのサーバーを経由して接続されていることが示された。なお、その後の検証では『MELTY BLOOD』など他社の作品でも発生していたことが判明し、Steam側の問題であると特定される一方で、この動画の投稿の時点ではMaadawy氏はカプコン側の仕様変更による問題であると主張していた。当時は『ストリートファイター6』にアレックスアップデートが配信された直後ということもあってか、ゲーム側の問題であると予想したユーザーもいたようだ。

なお同様の報告はほかのユーザーからも上がっており、Redditユーザ-のhwo411氏は今年4月、投稿の1か月ほど前から『ストリートファイター6』プレイ時のPing値が上昇していていると報告。通信がスウェーデンのサーバーを使った、「Steamデータグラムリレー」を介した接続になっていることを確認したそうだ。hwo411氏はカプコンとSteamサポートの双方に報告済みだとして、コミュニティでは原因の究明がどのように進むかに注目が集まっていた。

それからおよそ2か月が経過した6月9日、ValveはSteamクライアントのベータ版アップデートを配信。本日6月11日からはアップデートが正式に展開されており、通常設定であれば自動で更新される。パッチノートには「Fixed a bug causing NAT traversal to fail for many P2P connections(多くのP2P接続において、NAT越えが失敗するバグを修正しました)」とのみ記載されている。上述したような通信遅延との関連性は明かされていないものの、Steamworksドキュメントによれば、NAT越えに失敗、すなわちルーター越しでの機器同士の直接接続が確立できなかった際に、Steamサーバーを介したリレー接続へと切り替えるオプションが存在する。不具合が発生した状況でそうした機能が働くことで、結果としてリレー接続がおこなわれていたとみられる。

ユーザーの報告を踏まえると、Steamのリレーサーバーを経由して接続されるという不具合の影響は、中東など一部地域で目立っていたようだ。そうした地域では直接通信が成立しない場合に遠方のリレーサーバーを経由するケースがあったとみられ、遅延の増加がより顕著に表れていた可能性がある。日本国内では3月ごろからネットワーク環境が不安定となったといった報告が目立たなかった点を見るに、今回の不具合の影響には地域差もあったのかもしれない。実際に各地域での通信環境にどのような改善がみられるのかについては検証を待つ必要がありそうだ。

【UPDATE 2026/6/11 14:31】Steamクライアントのアップデートが正式に展開されていることについて追記

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