2025年の天文学最大の謎、史上最長のガンマ線バーストを観測、7時間も継続(ナショナル ジオグラフィック日本版)

 一部の科学者は、今回のガンマ線信号は、太陽の数倍から30倍の質量を持つブラックホール(これまでに観測された中で最小規模のブラックホール)から観測されるものとよく似ていると指摘している。この「お手頃サイズ」のブラックホールが、外側の水素層をほぼ失った「ヘリウム星」と合体した場合、ゾッとするような現象が起こる。  ブラックホールは恒星を内側に入り込んで食べ始め、それによって高エネルギー粒子と光のジェットを生み出すと、科学者は言う。星が食べられてしまったあとには、ブラックホールだけが残される。  学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に2025年11月14日付けで発表した論文で、この仮説を裏付ける証拠を提示した米ルイジアナ州立大学の天体物理学者エリック・バーンズ氏はこう述べている。「どんなに荒唐無稽に思えても、宇宙ではこうした現象が起こっているはずです。まだ観測によって決定的な証拠が見つかっていないだけなのです」  超新星が観測されていたなら、つまり、宇宙に向かってその欠片が吹き飛ばされる様子が確認されていたなら、このシナリオを裏付ける決定的な証拠となったはずだ。しかし、今回のガンマ線バーストが起こった銀河には分厚い塵が存在し、さらに地球から見るとちょうど天の川銀河とも重なっているため、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡をもってしてもそれを観測できなかった可能性がある。

 また別の科学者は、現場の証拠からは、中間質量ブラックホールが犯人として浮かび上がると主張している。この説が正しければ、科学的に非常に興味深い発見となる。なぜなら、宇宙にあるブラックホールの大半は、恒星質量ブラックホールあるいは超大質量ブラックホール(太陽の10万倍以上の質量がある)だからだ。  その中間にあたる、太陽質量が100倍から10万倍のブラックホールはそれよりもはるかに見つけにくい。  このシナリオにおいては、宇宙をさまよう中間質量ブラックホールの強力な重力が、白色矮星(太陽に似た恒星が寿命を迎えた天体)を引き裂いたとされる。恒星を内部から爆発させるという仮説に比べれば、さほど劇的な展開ではない。  この説明の問題点は、フェルミ望遠鏡が観測したガンマ線の明るさの変動が、いまだかつて恒星質量ブラックホールとの関連でしか確認されたことがないという事実だと、バーンズは言う。 「大きい天体ほど、ある現象がその全体に影響を及ぼすのに時間がかかります」と氏は説明する。これはつまり、光がブラックホール全体を横切るのに必要な時間よりも速い光の明滅が観測されることはあり得ない、ということを意味する。フェルミ望遠鏡が1秒単位のタイムスケールで変動を観測していたことを踏まえると、これはブラックホールが比較的小さいことを示唆している。  一部の科学者が、中間質量ブラックホールの可能性は排除できないとしている一方、「わたしに言わせれば、あまりに非現実的な話です」と、バーンズ氏は述べている。

ナショナル ジオグラフィック日本版

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