欧州ガス価格急騰、天然ガス先物一時6.6%高-中東リスク懸念高まる

Priscila Azevedo Rocha

  • 市場はイランによるホルムズ海峡封鎖を懸念-過去に実施の例はなし

イスラエルがイランへの空爆を実施したことで、世界的なエネルギー供給の要衝である中東地域の情勢への懸念が高まり、欧州の天然ガス価格が急騰している。。

  アムステルダムのICEエンデックスで取引されている天然ガス先物は13日、一時6.6%急騰し、5週間ぶりの大幅な上昇を見せた。原油価格が急上昇したエネルギー市場全体の動きと連動した。アムステルダム時間午後1時40分現在は、5.7%高の1メガワット時=38.25ドルで取引されている。

  イスラエルは13日未明、イラン全土で各施設などを標的に空爆を実施し、イランの革命防衛隊幹部を殺害した。イランは100機超の無人機(ドローン)をイスラエルに向け発射し反撃した。

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  主要な懸念は、中東のホルムズ海峡を通る液化天然ガス(LNG)と原油の輸送が、敵対行為により妨げられる可能性だ。イラン政府は地政学的緊張が高まるたび、ホルムズ海峡の封鎖を繰り返し示唆してきたが、実際に実行したことはない。現時点では、LNGの物理的な輸送は影響を受けていないが、船舶が海峡を回避し始めれば遅延が発生する可能性が高い。

  ラボバンクのエネルギーストラテジスト、フローレンス・シュミット氏は「エネルギー市場へのリスクは、主要な原油と天然ガスの供給国を巻き込んだ地域的な緊張の拡大にある」と述べた。同氏によると、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)は、世界供給量の18%に当たる約9800万トンのLNG輸出能力がある。

  ロシアからのパイプライン供給の大部分を失い、欧州のLNG需要は増加している。欧州では冬を前に貯蔵施設の在庫を補充するため、今後数カ月間は十分な供給が不可欠となる。

  一方、イスラエルのエネルギー省は、リバイアサンガス田を一時的に停止したと発表した。同省は、状況評価後に天然ガス部門で緊急事態宣言を発令する見込みだとしている。

原題:European Gas Prices Jump as Middle East Risk Returns to Market(抜粋)

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