インド旅客機墜落、ボーイング「ドリームライナー」で初の全損事故
乗客・乗員242人が搭乗していたエア・インディアの旅客機墜落は、ボーイングの主力中型機「787ドリームライナー」にとって初の全損事故となった。人気の高い同機に改めて注目が集まっている。
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事故機の使用年数は約12年で、エンジンはゼネラル・エレクトリック(GE)製の「GEnx」を搭載。エア・インディアは今回の事故が発生するまで、ドリームライナーを34機保有・運航していた。
ボーイングが787型機を投入したのは14年前だ。軽量の複合素材を採用することで燃費性能を高めたほか、客室内には大型の手荷物収納スペースや間接照明を取り入れるなど、複数の革新技術を盛り込んでいた。部品調達については世界各地のサプライヤー網を活用しており、胴体の一部は日本やイタリア、主翼の先端部は韓国で製造されている。
ボーイングの重要な収益源であるドリームライナーは現在、サウスカロライナ州チャールストン工場で組み立てられている。シアトル地域にあるボーイングの生産拠点以外では唯一の主要な最終組立ラインだ。なお、今回の事故機を含む初期生産分はシアトルで製造された。
航空データ分析会社シリウムによると、現在世界で運航中のドリームライナーは1148機で、平均機齢は7.5年となっている。運航数が最も多いのはANAホールディングスで86機を保有。次いでユナイテッド航空、アメリカン航空が続く。
このほか、カタール航空は最近、トランプ米大統領の中東訪問に合わせてドリームライナーを追加で130機発注した。
ボーイングは先月、ドリームライナーが運航開始から累計で乗客10億人以上を輸送したと発表した。ワイドボディ機としては最短で10億人の節目に到達したことになる。
ドリームライナーは高い人気を維持しているが、過去に問題が表面化したこともある。2011年の導入から2年足らずで、リチウム電池の過熱・発火リスクが指摘され、全機が運航停止となった。
また、昨年には社内エンジニアのサム・サレプール氏がドリームライナーの製造方法に不備があるとして内部告発した。ボーイングは増産を急ぎ、製造工程で手順を省略していたとされる。同社は疑惑を否定している。
原題:Air India Crash Becomes First Full Loss of Boeing 787 Dreamliner(抜粋)