乃木坂46は前進することを諦めない “最強”を更新し続け、新たな歴史を刻んだ13回目の『バスラ』を振り返る
乃木坂46はデビュー翌年の2013年以降、“バスラ”と称するアニバーサリーライブ『BIRTHDAY LIVE』を毎年行ってきた。本来ならデビュー日である2月22日前後に実施されることが多いが、活動の都合や会場の関係などから過去には5〜8月に行われることもあった。デビュー13周年を迎えた今年も例に漏れず、デビュー日から約3カ月遅れの5月17日、18日に開催。しかも、会場に選ばれたのは乃木坂46としては初めてライブを行う味の素スタジアムという大規模会場だ。バスラでは2022年5月の日産スタジアム(※1)以来、かつ今年2月に6期生11名が加わった新体制で初めて臨むサッカースタジアムでの野外公演。日本を代表するトップアイドルとして、どんなステージを我々に届けてくれるのだろうか。そんな期待を胸に筆者は2日間、会場に足を運んだ。
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脈々と受け継がれる“乃木坂46らしさ”
事前の天気予報では雨模様が懸念されたが、近年の明治神宮野球場公演同様に“晴れ女”ぶりを発揮。DAY1こそ日中に強い雨に見舞われたが、2日とも公演中は好天に恵まれた。乃木坂46というと、個人的には何となく“雨の野外”の印象があるが(何度か神宮公演で強い雨を経験しているからだろう)、初期メンバーの卒業した新体制はどうやら雨とは縁遠いようだ。
ここからはライブ本編について触れていく。コロナ禍以前はそれまでに発表した楽曲をすべて披露することで知られていたバスラだが、2021年はコロナ禍真っ只中とあって2月から5月に分散し、無観客配信にて実施。ここから全曲披露という形は解除されたものの、2023年は期別ライブを軸に、2024年は期間ごとに日替わりで、と趣向を凝らした選曲と演出で、我々を楽しませ続けてくれた。今年は2022年以来の2日間のみ開催ということで、その内容に注目が集まったが、今回も我々の予想を超える演出で来場者(およびインターネット生配信視聴者)を圧倒させた。
まず、2日間それぞれオープニングの演出がまったく異なることに驚かされる。DAY1は映像内での少女の部屋で突然動き出す人形とリンクし、メインステージの至る場所からメンバーが登場したが、DAY2はカラーガード隊による盛大なパレードに導かれるように、メンバーがメイン&サブステージやスタンド席通路から次々に姿を現し、観客を驚かせる。それ以降のセットリストも両日違うもので、DAY1は井上和センターによる「おいでシャンプー」を筆頭に「夏のFree & Easy」「裸足でSummer」「好きというのはロックだぜ!」とアゲ曲が連発。
DAY2は中西アルノがセンターを務める「太陽ノック」から始まり、「走れ!Bicycle」「君に叱られた」「チートデイ」「ジコチューで行こう!」と人気のシングル曲が続く。ここでは賀喜遥香のセンター曲である「好きというのはロックだぜ!」「君に叱られた」や、井上を筆頭に5期生がフロントに立つ「チートデイ」に加え、梅澤美波(「走れ!Bicycle」)や久保史緒里(「夏のFree & Easy」)、遠藤さくら(「裸足でSummer」)、池田瑛紗(「ジコチューで行こう!」)がそれぞれセンターを務め、原曲の世界観を大切にしつつ現メンバーの魅力を存分にアピール。1stブロックを締めくくる38thシングル表題曲「ネーブルオレンジ」では、井上&中西のWセンターはもちろん、3〜5期生の39名(舞台出演中のため出演できなかった中村麗乃を除く)が先輩から脈々と受け継がれる“乃木坂46らしさ”を、今の彼女たちらしい形で提示してみせた。