トランプが大学にも「ディール」、“協約”署名で研究助成金…リベラリズム潰しに反発するエリート校(Wedge(ウェッジ))

 米国のトランプ政権はこのほど、全米有力大学12校に対し、研究助成金と引き換えに政府の教育方針に沿った「コンパクト」(協約)への署名を求める異例の書簡を送付した。大学教育への国家介入を強める内容となっており、その是非巡り、大学間で大きな騒ぎとなっている。

 ホワイトハウスは去る10月2日、マサチューセッツ工科大学、ブラウン大学、ダートマス・カレッジ、アリゾナ大学、ペンシルベニア大学、南カリフォルニア大学、テキサス大学、バージニア大学、バンダービルト大学の9校宛に、「高等教育における学術的卓越性のためのコンパクト(協約)Compact for Academic Excellence in Higher Education」と題する書簡(10ページ)を送り、諾否の回答を求めた。  その後、さらにワシントン大学(セントルイス)、カンザス大学、アリゾナ州立大学の3校にも同様書簡を送付した。  米ワシントン・ポスト紙によると、「コンパクト」は各大学に対し、以下のような項目を順守するよう求めている; 1.入試の際に、ジェンダー(性別)や人種、国籍を考慮せず、能力主義に徹する 2.入試は大学ごとに異なる試験に代わり、全国共通テストを義務付ける 3.授業内容は「真実追求」を高等教育の根本に据える 4.保守主義思想に異議を唱え、反対運動や暴力を掻き立てる恐れのある学科やカリキュラムは廃止する 5.成績評価の際に人種、性別、国籍などを考慮せず、厳格に「能力主義」を基準にする 6.学部の授業料は5年間凍結する 7.軍務についていた間に受けた「特別クラス」の評価を単位として認める 8.留学生数は学部学生総数の15%以内に、また、特定国からの学生数は5%以内に制限する 9. 留学生審査の際に、米国の国家、価値観、理念への「敬意」を確認し、敵意を抱く学生は排除の対象とする 10. 留学生の思想傾向について、大学側に年次報告書の提出を義務付け、連邦司法省がこれを統括する  ホワイトハウス当局は、今回の「コンパクト」内容を提示した上で、受諾校については優先的に研究助成金などの便宜を約束しており、事実上、大統領が得意とする金銭による「ディール」(取引)を教育界にまで持ち込んだ格好だ。

Wedge(ウェッジ)
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