軍事のプロ17人が選んだ「戦争映画オールタイム・ベスト」邦画編 1位『日本のいちばん長い日』、2位に『二百三高地』『男たちの大和/YAMATO』

 戦後81年になる2026年、この夏に観たい究極の戦争映画について、軍事のプロ17人に選んでもらった。選考方法は、これまで観た戦争映画で最も良かった作品を各選考委員に邦画・洋画それぞれ3~5本ずつ挙げてもらい、集計した。ここでは邦画編ベスト4を紹介しよう。

 邦画編第1位は『日本のいちばん長い日』(5票)。玉音放送に至る24時間に繰り広げられる政府や軍部の混乱を、三船敏郎や加山雄三らオールスターキャストが演じた。

「私が自衛隊生徒の時に観て、大本営がいかにして戦争を終わらせようとしたのかが克明に映像化されており、印象に残った」(元陸上自衛官・軍事評論家の西村金一氏)

「本土決戦を叫ぶ若手将校のクーデター(宮城事件)という組織内暴走の危機に対する阿南惟幾・陸相らの苦闘は必見」(元空将・永岩俊道氏)

 第2位の『二百三高地』(4票)は、日露戦争で熾烈を極めた旅順要塞攻防戦をモチーフとした作品だ。

「国家戦略と現場の犠牲、指揮官の責任を真正面から描く。乃木司令部の苦悩と児玉源太郎の介入を通じて、戦略目標と現場指揮の乖離をいかに埋めるかという、今日の組織運営にも通じる課題を学ぶことができる」(元海将・伊藤俊幸氏)

「明治天皇や元老・伊藤博文らによる戦争指導などの大状況と、前線の兵士たちの苦闘の双方の描写が両立している」(防衛研究所上席研究官・高橋杉雄氏)

 同票の2位は、特攻作戦に参加した乗組員たちの生き様を描いた戦後60年記念作『男たちの大和/YAMATO』。

「多くの場面を将校だけではなく、縁の下の下士官と兵の描写に充てた着眼が素晴らしい。終戦直後に製作された『戦艦大和』の現代版といえ、合わせて推薦したい」(元海将・香田洋二氏)

「海上自衛隊の護衛艦が撮影に協力した特撮場面が実に見事。ラストの沈没場面は『タイタニック』にも引けを取らぬ名場面」(報道カメラマン・宮嶋茂樹氏)

 第4位には、10万の軍人、15万の民間人が翻弄された沖縄決戦を描いた『激動の昭和史 沖縄決戦』(3票)が挙がった。

「沖縄の塹壕で海軍兵として最後まで戦った私の父を思い浮かべた。父は自害用の手榴弾を渡されていたが、壕に入ってきた米兵に捕まり捕虜となった。軍人も元は民間人で、家族を持った人々だったのである」(元陸上自衛官・軍事評論家の西村金一氏)

「本土防衛の時間を稼ぐという国家戦略の下で、前線の兵士と住民に犠牲が集中する構造を容赦なく描く。台湾有事のシミュレーション作りに参考にした作品」(キヤノングローバル戦略研究所上席研究員・峯村健司氏)

【選考委員(五十音順)】伊藤俊幸(元海将)、井上和彦(軍事ジャーナリスト)、潮匡人(軍事ジャーナリスト)、菊池雅之(軍事フォトジャーナリスト)、清谷信一(軍事ジャーナリスト)、黒井文太郎(軍事ジャーナリスト)、香田洋二(元海上自衛隊自衛艦隊司令官)、高橋杉雄(防衛研究所上席研究官)、高部正樹(元傭兵、軍事評論家)、常岡浩介(戦場ジャーナリスト)、永岩俊道(元空将、国家安全保障アナリスト)、西村金一(軍事・情報戦略研究所所長)、峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所上席研究員)、宮嶋茂樹(報道カメラマン)、矢野義昭(軍事アナリスト)、山下裕貴(元陸将)、横田徹(戦場カメラマン)

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