ドル高い、対円で一時1%余り上昇-中東情勢でインフレリスク懸念
- 米国のイラン核施設攻撃、安全資産としてドルの需要高まる
- 市場の米利下げ観測、年末までに追加で48bp-先週後半は50bp
23日の外国為替市場ではドルが上昇、約1カ月ぶり高値を付けた。米国によるイラン核施設攻撃を受け、安全資産としてのドル需要が高まった。その一方で、原油価格の上昇がもたらすリスクも浮き彫りになった。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.6%上昇し、5月30日以来の高水準を付けた。投資家は、原油上昇がインフレを引き起こし、米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げを妨げるとの懸念を強めた。イスラエルがイランの主要な核施設を攻撃したと伝えられると、ドルは対円で一時1%余り上昇した。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のシニア為替ストラテジスト、リー・ハードマン氏はリサーチノートで、「地政学的な不確実性の高まりや、新たにエネルギー価格ショックが引き起こされるリスク、さらに利下げ再開に慎重なFOMCが短期的にドルの支援材料となっている」と指摘した。
ラボバンクの為替戦略責任者、ジェーン・フォーリー氏は「ドルは安全資産としての需要を示し、本来の性質に戻った」と述べた。
イスラエルと米国の攻撃に対し、イランがホルムズ海峡の航行を途絶させる措置に踏み切るのかどうか、投資家はその兆候を注視している。世界的な株式市場の反応は限定的だったが、ブレント原油は23日に5カ月ぶりの高値に上昇した。
原油価格の上昇はインフレを招くうえ、スタグフレーションを避けたいFOMCにとって、利下げをためらう要因となりかねない。
市場では米利下げ観測が後退。FOMCによる年末までの追加利下げは48ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と織り込まれているが、先週後半は約50bpだった。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ(GI)のマルチアセット最高投資責任者(CIO)、グレーゴル・ヒルト氏は「紛争の長期化とインフレ圧力は、米金融当局の政策スタンスを複雑にしかねない」と述べた。
原題:Dollar Surges as Mideast Escalation Spurs Inflation Risk
(抜粋)