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兄からの長年にわたる虐待を告白したプサイ氏(AFP=時事)
タイが誇るビールブランド「シンハー」「レオ」を展開する名門ブンロート・ブルワリー社創業家の御曹司で、環境保護活動家としても知られるシラヌット・"プサイ"・スコット氏が、実兄スニット・"ピー"・スコット氏から9歳ごろから10年以上にわたり、繰り返し性的虐待を受け続けていたと告発した。
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プサイ氏は5月9日、自身のFacebookに涙ながらの動画を投稿。「もう"シンハーの御曹司"なんて呼ばれたくない。みんな、本当のことを知らないんだ」と訴え、「家族はみんな知っているはずだ。録音した告白音声まで聞いたのに、誰も行動しなかった」「こんな家族のなかでは生きていけない」と激白した。
タイ国内では海洋保護活動に取り組む姿から、"マーマン(人魚)"と呼ばれているプサイ氏。自身がゲイであることも公表しており、その率直な言動も相まって、多くの支持を集めてきた。
現地メディアによると、11歳ごろから兄であるスニット氏による行為が始まったという。その後、24歳ごろまで、家族と暮らしていた家の中で、繰り返し性的行為を強いられたと主張している。
スニット氏は12日、妻でタイの人気女優マイルド(ラパッサラン・チラウェートスントンクン)のFacebookを通じて反論声明を公開し、「事実無根」「私は大学までイギリスの寄宿舎にいた。弟に会うたびに兄弟間の荒っぽいじゃれ合いはあったが、性的虐待などしていない」と反論。これを受けて、プサイは翌13日、「兄の告白を録音したものだ」とする音声を公開した。
海外ジャーナリストが続ける。
「現地メディアによると、公開された音声の中でプサイ氏は『10歳か11歳ごろから始まったよね。兄さんが14歳か16歳の頃、繰り返し口でやれって強要した。あれは僕の人生に大きな影響を与えたんだよ』と主張。兄が長年にわたって行った行為は、その後の人間関係の構築に大きな影響を残したと話しています。
一方、兄とされる人物は『取り返しがつかないことをした』としながらも、『当時はまだ子どもだった』と釈明するような発言をしたと伝えています。
衝撃が広がる中、5月19日、ブンロート・ブルワリー社は声明を発表し、スニット氏が同社および関連会社のすべての役職から離れたと発表しました。とはいえスニット氏は疑惑を全面否定しています」
もっとも、タイ国内でプサイ氏への見方は一様ではない。海洋保護活動家として高い支持を集める一方で、活動内容には賛否もあり、今回も告発を支持する声が多く上がる一方、家族との対立関係にも注目が集まっている。
住み込みの乳母からの虐待
プサイ氏が家族への不信感を抱くきっかけは、兄の件より前にあった。プサイ氏は幼少期、自身の世話をしていた住み込みの乳母から性的虐待を受けていた過去も明かしている。
プサイ氏は幼少期に母親へ乳母からの被害を打ち明けた際、スニット氏から受けていた被害についても母親に知られることになったという。しかし母親は「このことは誰にも話してはいけない」とプサイ氏を口止めしたため、「祖父にも相談できない」と強い絶望感を抱いたと語っている。
「プサイ氏はタイの人気トーク番組『ホン・クラセ(Hone Krasae)』に出演し、家族が守ってくれなかったことを涙ながらに激白。その放送回はYouTubeで300万回以上視聴され、『なぜ誰も助けなかったのか』といった声がタイ国内で広がっています」(同前)
スニット氏は、2025年末に約8年の交際を経てタイの人気女優マイルドと結婚。マイルドはInstagramで第一子の妊娠を明かしているが、告発問題に巻き込まれたことで、言動にも注目が集まっている。
当初、夫を支持する姿勢を見せ、マイルドは反論動画も公開。しかし、録音音声が公開されると、Instagramで「事態をここまで悪化させてしまったことを申し訳なく思っています」と謝罪。「プサイが向き合わなければならなかったことを思うと、とても悲しい」と投稿した。 夫とは一時的に別居するとした。
もうひとつの対立
一方で、今回の騒動の裏では、祖父から譲られたとするタイ王室の保養地がある都市にある邸宅をめぐり母親とも対立している。
これについて、問題となっている財産はプサイ氏個人だけのものではなく、兄弟双方の共有資産だとスニット氏は説明し、プサイ氏が邸宅を適切に管理していなかったことなどへの対応だと話している。
「もう"シンハーの御曹司"なんて呼ばれたくない」――その言葉には、華やかな一族ブランドの陰で、自分の痛みが長年置き去りにされてきたという深い絶望がにじんでいる。