米国での調整法は? 星野陸也の14本がさらにマニア化

◇国内男子◇バンテリン東海クラシック◇三好CC西コース(愛知)◇7300yd(パー71)

PGAツアー(米国男子ツアー)が主戦場で、左手と左腕の故障で戦列を離れていた星野陸也のキャディバッグをのぞいてみると、なんと30本近いクラブが入っていた。ほかにもパターやら練習器具やらであふれ返っている。「鉛を貼るのが時間かかるんだよな」と言いながら素振りをして、重心の位置を確かめていた。あぁ、この光景、なんだか懐かしい。いつも日本ツアーの練習場でクラブ調整をする姿がお馴染みだったからだ。

約30本の中から、試合で使う14本を紹介してもらおう。ドライバーは1世代前のスリクソン「ZX5 MkII」を使用。フェアウェイウッドはさらに古く、3番ウッドはテーラーメイドの19年モデル「M5」。そして5番ウッドは15年前のスリクソン「Z-TX」だ。「日本にいたころと変わりがないのでは」と思うファンの方もいるかも知れないが、PGAツアー仕様にマイナーチェンジをしているという。

「自分は元々ドローヒッターで、フェースに(ボールを)乗せていく作業が必要。あっち(米国)は芝の抵抗が強いので、日本よりも強めに圧を入れつつフェースに乗せていく打ち方に変えたのですが、そうなると今まで日本で使っていたクラブがすごくつかまり過ぎちゃって」と、打ち方を変えたことからクラブ調整が始まった。「特にウッド系はつかまりにくいクラブを使うようになりました。ロフトを変えたり、鉛の位置を変えて重心をつかまりにくいところにしたり」。5番ウッドはロフトを立てて17.5度に変更、シャフトも若干ハードなモデルに替えた。

アイアンは日本にいたころと変わらない4番アイアン「585」(7年前のモデル)と「Z945」(11年前!のモデル)のコンボセット。「ヨーロッパまではドローボールでいけたんですけど、米国ではフェードも必要になってくる。グリーンのコンパクションが硬くてスピードも速いので、高い球のフェードを打たされるケースが多い。ヘッドを上から入れる要素が強くなってくる。振りやすいように鉛の位置をズラして、重心の場所を変えました」と星野ならではの調整。さらに「そうなるとバウンスの当たり方も変わってくる。バウンス違いの2、3セットを持って行って、コースの芝や地面の硬さに応じて合うモデルを選んでいます」と準備に余念がない。

パターもエースのマレット型、オデッセイ「ホワイトライズiX」をマイナーチェンジ。「ネックの長さとロフトを変えました。より真っすぐ引きやすいパター仕様です」。さらに芝種によって重心位置を変えるという。アイアンやウェッジなら分かるが、パターで芝が関係する?「テークバックの引きやすさが変わるんですよね。真っすぐ引きやすいように、鉛の位置を変えて、ヒールとトウの重量配分を変えたりしています」とのことだ。確かに星野のパターのソールには、微小の鉛が貼ってある。「基本的には重心をフェースの真ん中に感じたい。そうなるとヒールに鉛を貼ることが多い。今週はちょっとイントウインに引きたいので、鉛の位置を変えています」

30本もあったクラブもよく見れば、同じヘッドのロフト違いだったり、鉛の貼り方の違いだったり、基本的には似たようなものばかり。パターは見分けがつきにくいため、識別用の番号を振っていた。いずれにしても、クラブのことを話している星野はなんだか楽しそうだ。(愛知県みよし市/服部謙二郎)

星野陸也のクラブセッティング> ドライバー:スリクソン ZX5 MkII (ロフト角9.2度) シャフト:三菱ケミカル ディアマナプロトタイプ

フェアウェイウッド:テーラーメイド M5(3番15度)、スリクソン Z-TX(5番17.5度) シャフト:三菱ケミカル クロカゲXT(3番=重さ60g台、硬さTX)、ディアマナプロトタイプ(5番)

アイアン:スリクソン Z585(4番)、Z945(5番~PW) シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールドツアーイシュー(X100)

ウェッジ:クリーブランド RTX3(52度、56、60度) シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールドツアーイシュー(X100)

パター:オデッセイ ホワイトライズ iX #3 SH

ボール:スリクソン Z-STARダイヤモンド<2025年>

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