「私が良い雰囲気を壊した」 前橋市の小川晶前市長、再起への思い
◇冒頭発言
小川晶です。報道機関の皆様にはお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今の私の気持ちを正確にお伝えしたいので、この後ペーパーを読ませていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
Advertisement市民の皆様には……。ごめんなさい、マイクが入っていなかったです。
市民の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりおわび申し上げます。
11月27日に市長を辞職してから、市内各地を回って市民の皆様との対話を重ねてきました。厳しいお言葉もたくさんいただきました。
どれだけ多くの人たちが私に期待をしてくれていたのか。そして、その人たちにどれだけ大きな失望を与えてしまったのか。
自分の心に刻む日々を送ってきました。前橋を一緒に変えようと、皆さんに支えていただいて、市長に送り出していただきました。
市長選の結果が出た瞬間、あの感動が忘れられない。初めて政治に希望が持てると思った。そう話してくれる人もいました。
市長が代わって給食費が無償になった。農業が前橋の中心で語られるようになった。止まっていた産業団地も進み始めた。
福祉の充実。言葉だけではなくて、本当に政策が実現できる。市長が代わると政治が変わるんだ。それが実感できたんだよと多くの皆さんが声をかけてくれました。
街中だけではなくて、郊外にも足を運んでくれた。この地域に市長が初めて来てくれた。
市民のための市政に、市民に身近な市政に変わった。そういうふうに語ってくれる人もいました。
私一人の力ではなくて、市民の皆さんとこの1年9カ月、前橋に新しい流れを作ってきたにもかかわらず、私がその良い雰囲気を壊してしまいました。本当に申し訳ないと申しております。
一方で、皆さんからいただいた機会をここで終わりにしてしまっていいのか。お約束した公約も道半ばで終わりにしてしまっていいのだろうか。
自分自身がどういった責任を取るべきか。ずっと悩んできました。
政治家である以上、皆様への責任を果たすには、もう一度ここから立ち上がって、やり残した公約を実現するしかない。
どんなに逆風でも、どんなに苦しくても、もう一度皆さんと一緒にこの前橋を変えていくんだ。
そのために、私の人生をかけて、次の市長選挙に再びチャレンジすることを決意しました。
目の前で困っている人を助けたい。抱える困難や苦労の中で懸命に生きている人たち、その一人一人にしっかりと政治の光を届けていきたい。それが私の原点です。
大学を卒業した後、司法修習先として前橋に来たのが、前橋とのご縁の始まりでした。
司法修習の間にお世話になった市民の皆様、義理人情に厚い上州人の温かさに触れ、前橋の人たち、前橋という土地が本当に好きになり、この街で弁護士としてのスタートを切りました。
弁護士として活動する中で、さまざまな人と向き合い、生活や子育ての悩み、社会の矛盾をつぶさに見てきました。
人生につまずいてしまったり、困難にぶち当たったり、自分にはどうにもできない環境や本当にささいな選択の違いによって、人生が大きく変わってしまう現状も見てきました。
とりわけ、貧困と格差の問題やDVの被害者支援に携わる中で、子どもや女性といった社会的に弱い立場の人たちが政治に取り残されている現状を変えなければいけないと、2011年に県議会議員に立候補し、4期13年、県議を務めさせていただきました。
夢があっても、学ぶ意欲があっても、進学を諦める若者がいる。
自己責任や自助と言われる社会の中で、自ら命を絶つ人たちがいる。こういう社会を本気で変えていかなければいけない。子どもたちがどんな家庭に生まれても、どんな環境にあっても、安心して成長でき、本当に未来に希望が持てる社会をつくりたい。
自分の力ではどうにもならない時、しっかりとそれを支えるセーフティーネットがある。何度もやり直せる社会をつくりたい。
そんな思いで、子どもたちに関することだけでなく、経済的に苦しい状況に置かれている方や、介護が必要になった方、そのご家族、障害当事者の方々やそのご家族など、本当に多くの方々の悩み、生活の相談に乗ってきました。
県議として県の施策で解決できる場合もありましたが、やはり多くの人の暮らしを守るには、基礎自治体である前橋市の制度を整えることは必要だと気づき、前回の前橋市長選挙に挑戦し、皆さんに選んでいただきました。
市長として初登庁のその日から、市役所の職員の皆さんには、市民目線で風通しの良い組織づくり、そして明るく元気にと伝え続けてきました。
実際に市役所の雰囲気が明るくなって、市民の皆さんからも「職員の対応がとても良くなったね」「丁寧に対応していただいたよ」とお声をいただくことが増えました。
優秀で頼りになる職員と一緒に働けることは、私にとっても誇りでした。子どもたちがどんな環境にあっても安心して成長できる社会をつくりたい。
その思いから、この1年9カ月、とにかく子どもや子育て世代の支援を重点的に実施し、給食費の無償化、妊産婦の支援の拡充、子どもの権利を守るこども基本条例の制定、高校入試や大学受験の支援に真っ先に取り組み、実現してきました。
また、広い前橋のどこに住んでいても、どの地域に住んでいても、安心して豊かに暮らしていけるように、公共交通の充実や農業の振興、郊外の地域のまちづくりにも力を入れてきました。
何よりも、前回の市長選で私に期待をしてくれて、一緒に前橋を変えようと行動してくれた市民の皆さんからは、前橋のことは市民が決めるんだと、誰かの言いなりではなく、一部の人の利益のためではなく、自分たちの街のことは自分たちで考えて、市民の力で作っていくんだ、本当の民主主義を作りたいんだというたくさんの思いを託していただきました。その思いをここで止めてはいけないと強く感じています。
古い政治に戻さないためにも、皆さんとともに前橋をさらに前に進めていきたいと思っております。
結びに、私の軽率な行動で市民の皆様の信頼を裏切ることになってしまいました。
期待していただいた皆様のその期待に報いるには、より良い政治を作ること以外にはないと考えています。
政治家として15年、ずっと前橋のことを考えて、この街の課題と向き合ってきました。15年間、市民の皆さん一人一人と向き合って、一緒に悩んで、時には一緒に泣いたり、喜んだりしながら、その人の人生が少しでも前に進むように、市民の皆さんと共に歩んできました。
これまで出会った全ての皆様への感謝の思いを胸に、誰にも負けない覚悟を持って、これからの前橋のために働いてまいります。
私、小川晶だからできる改革を進めさせてください。責任を果たさせていただきたいと思います。
前橋市民が生まれ育ちで人生の選択肢を狭めることなく、自分らしく生きることができるような政策を、市民の暮らし最優先の市政を必ず実現することをお約束いたします。私からは以上となります。
つづきはこちら