大腸がん死亡率は日本で最悪! 早期発見は便潜血検査から

戦後「大腸がん」にかかる人が増え続けてきた。今では日本人がかかる「がん」の第1位。死亡率は「肺がん」に次いで第2位だ(*1)。大腸がんで死なないためには、「大腸がん検診」をきちんと受け、がんを早期に発見することが重要だ。しかし、日本では、適切に検診を受ける人がまだまだ少なく、がん医療が進歩しているのに死亡率は高止まりだ。こうしたなか国立がん研究センターは19年ぶりに大腸がん検診ガイドラインを改訂した。この機会に「大腸がん検診」に関する疑問や迷いを解消しよう。

*1 「大腸がんファクトシート 2024」(国立がん研究センター がん対策研究所)より。以下、断りがない場合のデータは「ファクトシート」に記載されたものを紹介している。

 大腸がん検診の新しいガイドラインは、「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン 2024年度版」という。日本で行われている便潜血検査(免疫法)と全大腸内視鏡検査について検討したものだ。その内容は国立がん研究センターによる政策提言であり、大腸がん検診に自動的に適用されることはないが、今後の検診の見直しを行う際の重要な科学的根拠となるという。

 ガイドライン作成のベースになったのは、「大腸がん検診エビデンスレポート 2023年度版」。これは、大腸がん検診に関する専門家による「大腸がん検診エビデンスレポート文献レビュー委員会」がまとめた。文献レビュー委員の一人である国立がん研究センターがん対策研究所の細野覚代氏は、下記のグラフで日本の大腸がんの現状を示す。米国、英国、オーストラリアなど世界6カ国における、大腸がん死亡率の推移を1950年から2017年まで追ったものだ。

大腸がん年齢調整死亡率(*2)の推移(男性)

(出典:WHO Cancer Mortality Database, https://www-dep.iarc.fr/whodb/whodb.htm)

*2 年齢調整死亡率は、各国の年齢構成で調整し正しい比較ができるようにした指標。がんは高齢になるほど発症しやすくなるため、こうした調整が必要になる。

 赤い線が日本の推移だ。日本は戦後、食習慣の変容などの影響を受けて大腸がんの死亡率が高まり、1990年代後半にピークを迎えている。そのときまでに欧米諸国並みに死亡率は高まった。1992年には対策型検診(後ほど解説)として大腸がん検診が始まったが、1995年以降、他の先進国の死亡率は下がり続けているのに、日本は高止まり。現在では比較した国の中で最悪の状態となっている。

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