macOS Tahoeの新ディスクイメージ形式「ASIF」でディスクイメージの読み書き速度が爆速化して現実のSSDレベルに迫る

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Macで使われるディスクイメージは、ファイルやフォルダをまとめて管理したり、バックアップを取ったり、ソフトウェアのインストールを簡略化したりするのに便利ですが、そのパフォーマンスに課題がありました。特に暗号化されたスパースイメージ(UDSP)をAppleシリコン搭載Macの内蔵SSDに保存した場合、ファイルの書き込み速度が100MB/sと、安価なHDD並みに遅くなることがあります。macOS Tahoeでは、このパフォーマンス問題を解決するために、新しいディスクイメージフォーマットであるApple Sparse Image Format(ASIF)が導入されました。このASIFイメージについて、Mac関連の情報サイト・The Eclectic Light Companyが検証しています。

macOS Tahoe brings a new disk image format – The Eclectic Light Company

https://eclecticlight.co/2025/06/12/macos-tahoe-brings-a-new-disk-image-format/ macOS Tahoeの発表と共に新しく登場したASIFイメージは、macOS Tahoeの「ディスクユーティリティ」を使うか、「diskutil」コマンドツールを使用することで作成できます。例えば、「diskutil image create blank --format ASIF --size 100G --volumeName myVolume imagePath」というコマンドを使えば、最大容量100GBで「myVolume」という単一のAPFSボリュームを持つASIFイメージを作成できます。また、既存のディスクイメージをASIFに変換するために、「from」オプションを使用することも可能です。

また、作成されたASIFイメージには「com.apple.disk-image-sparse」という識別情報(UTI)がつけられます。「.dmg」の拡張子を持つUDIF(Universal Disk Image Format)のディスクイメージが持つ「com.apple.disk-image-udif」というUTIとは異なるため、ASIFイメージとUDIFイメージを簡単に見分けることができるのも大きな特徴です。 ただし、ASIFイメージの作成はTahoe専用であり、macOS Sequoia 15.5以前のバージョンではサポートされていません。また、通常ディスクイメージの操作に使用される「hdiutil」コマンドツールについて、ASIF形式のディスクイメージでのアクセスは現時点ではドキュメント化されていません。

The Eclectic Light Companyによると、ASIFイメージは、作成直後は100GBの容量があっても実際に使うディスクの容量は1GBもなかったとのこと。しかし、たくさん使ってからさらにボリュームを1つ追加した後だと、中身が空の状態でもディスク上では1.9GBから3.2GBくらいの容量を占めるようになったとのこと。なお、「hdiutil」コマンドを使用してディスクイメージを圧縮することは試しておらず、ASIFイメージに効果があるのかどうかはわからない状態だとThe Eclectic Light Companyは付記しています。

The Eclectic Light Companyは「Stibium」というツールを使い、100GBのASIFイメージの読み書き速度を測定しました。

その結果、macOS Tahoe Developer Betaインストール済みで内蔵SSDが2TBのM3搭載MacBook Proでは、暗号化されていないApple File System(APFS)ボリュームでの読み込み速度が5.8GB/s、書き込み速度が6.6GB/sでした。そして、暗号化APFSボリュームだと読み込み速度が4.8GB/s、書き込み速度が4.6GB/sだったとThe Eclectic Light Companyは報告しています。

次に、Apple Archiveを使用してASIFディスクイメージを圧縮してから、macOS Sequia(15.5)をインストールしたM4 Pro搭載Mac miniにコピーして読み書きの速度を計測したところ、暗号化されていないAPFSボリュームでは読み込み速度が5.5GB/s、書き込み速度が8.3GB/sを達成したとのこと。

各ディスクイメージの読み書き速度の計測結果が以下。ASIFイメージの読み書き速度は現実のSSD(Native SSD)に迫る速度を見せています。異なるチップでの測定であるにもかかわらず、ASIFは従来のUDRWイメージやスパースイメージと比べて明らかに高速だったとThe Eclectic Light Companyは報告しています。

The Eclectic Light Companyは記事の結論として、macOS Tahoeでは可能な限り仮想マシンでRAW/UDRWではなくASIFディスクイメージを使用すべきだと主張し、スパースバンドルが異なるファイルシステムでホストされる場合を除き、ASIFはmacOS Tahoeにおける汎用ディスクイメージの第一選択肢となるはずだと述べています。また、ASIFイメージ作成はコマンドツールではなく適切なAPIを呼び出せるようになることが望ましいと語りました。

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