Vol.1 国内唯一の公的研究機関「RECORDs」とは?4つの研究視点とポータルサイト活用法

過労死等防止調査研究センター(RECORDs) 中村有里・久保智英

RECORDs(レコーズ)、ご存知ですか?

 「RECORDs」は、私たちが働く研究機関の略称で、「レコーズ」と呼びます。正式名称は、「過労死等防止調査研究センター(Research Center for Overwork-Related Disorders)」といい、過労死等に関する研究を中心的に行う国内唯一の公的な研究機関です。

 過労死等が社会問題として顕在化し、産業医学や公衆衛生学の分野で本格的に研究対象として位置づけられるようになったのは、1970年代後半以降です。こうした知見の蓄積を背景に制定された「過労死等防止対策推進法(2014年6月27日公布、同年11月1日施行)」を踏まえ、同じく、2014年11月1日に設立されました。

"等"がつくのは、なぜ?

 ここまで読んでくださった方の中に、「過労死等防止調査研究センター」という名称について、なんだか語呂が悪いなと思った方もいるのではないでしょうか。その原因は、きっと「過労死"等"」。しかし、この"等"という一文字には、とても大切な意味が込められています。

 「過労死等」という言葉は、過労死等防止対策推進法第2条において、次のように定義づけられています。

  • 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
  • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
  • 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

 この点を踏まえて、過労死"等"防止調査研究センター(RECORDs)では、幅広い視点から過労死"等"の実態解明と予防に向けた研究に取り組んでいます。

RECORDsの研究

 RECORDsでは、「事案研究」「疫学研究」「実験研究」「対策実装研究」という4つの視点から研究を進めています。実態の"見える化"と"対策の実装"の両面から、過労死や過重労働による健康障害の原因究明とその予防を目指しています。

事案研究

 「事案研究」では、全国の労働局や労働基準監督署が作成した過労死等の労災認定に関わる調査復命書を収集し、独自のデータベースとして整理しています。現場で起きた事例をもとに、過労死等の実態を明らかにしています。

疫学研究

 事案研究から浮かび上がった課題を実際の労働現場で検証する「疫学研究」は、「コホート研究」と「現場介入研究」から構成され、働き方と健康影響との関連を調べています。  例えば、労働者の疲労回復に望ましい勤務スケジュールに変更した場合の効果検証等、勤務間インターバルに着目した介入研究等を行っています。

実験研究

 一方「実験研究」は、条件をコントロールされた実験室環境において、心血管系への負担の解明とその軽減策の検討や働く人々の健康に重要な体力を簡便に評価する測定方法の開発などに取り組んでいます。  実験研究の一例として、ドライビングシミュレータを用い、運転中の心血管系の負担を軽くする休憩パターンを検討しています。

対策実装研究

 さらに、各研究で得られた成果を基に、職場の実態に即した有効な対策を検討し、現場への普及を図る活動を「対策実装研究」として展開しています。

研究成果を職場改善へ

 RECORDsの研究は、労働者の皆さまが健康に働くための研究です。研究成果を多くの方に届けるため、RECORDsポータルサイト「健康な働き方に向けて」を開設しました。

 本サイトでは、研究成果の紹介に加えて、国内外の最新研究動向、産業保健の現場で活用できるツール、制度に関する情報など、幅広いコンテンツを発信しています。  学会や学術雑誌を通じた専門家向けの難しい内容ではなく、「研究員に聞いてみよう!」のコーナーを設け、産業保健職や労働者の皆さまにとって実務に役立つ情報発信にも力を入れています。

 とくに、RECORDsの成果を実際に知っていただき、活用していただくために毎年3月頃にシンポジウムを企画していますので、ぜひ、ご参加ください(2026年度の参加登録はこちらから)。  そして、RECORDsポータルサイトはまだ発展途上の段階にありますが、今後も内容の充実を図っていく予定です。ぜひ日々の実務の中でご活用いただくとともに、ご意見をお寄せください。

令和7年度 過労死等防止調査研究センター 研究成果発表シンポジウム「過労死等研究の世界を覗いてみませんか?」

【テーマ】 第1部:あなたの知らない過労死等研究の世界

第2部:あなたの声が、未来の研究を動かします

【日 時】 令和8年3月4日(水)13:30~17:00

【会 場】 現地(東京都港区・AP新橋 4階ルーム D+E)およびオンライン(Teamsウェビナー)により開催

【参加登録】 リンク先にてご登録ください

クリックでポータルサイトに移動します

参 考

保健指導リソースガイド・オピニオン「労働者の疲労リスク管理・効果的な休み方―過労死等防止調査研究センター(RECORDs)の成果と職域での取り入れ方」(著・久保智英)


Page 2

保健指導を効果的に行うために、その時々の各種イベントを上手くとらえ、事前に情報収集や教材の準備を行うことが必要です。「保健指導2ヶ月先駆けカレンダー」では、各種イベントや啓発週間・記念デーを、2ヶ月前からご紹介していきます。

 冬の季節、 体調を崩す方が多く、献血者は減少する傾向があることから、新たに成人式を迎える「はたち」の若者を中心に、広く国民各層に献血に関する理解と協力を求めるとともに、特に成分献血、400mL献血の継続的な推進を図ることを目的に、毎年1月~2月に実施しています。

【関連リンク】

 日本生活習慣病予防協会が制定。同協会が提唱する「一無二少三多」(いちむにしょうさんた)をより多くの人に実践してもらい健康長寿に役立ててもらうのが目的。「一無」は「禁煙」、「二少」は「少食と少酒」、「三多」は「多動(体を多く動かす)と多休(しっかり休養する)と多接(多くの人、事、物に接する生活)」のこと。

【関連リンク】

 昭和25年から、学校給食による教育効果を促進する観点から、冬季休業と重ならない1月24日から1月30日までの1週間を「学校給食週間」としました。子供たちの食生活を取り巻く環境が大きく変化し、偏った栄養摂取、肥満傾向など、健康状態について懸念される点が多く見られる今日、学校給食は子供たちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けるために重要な役割を果たしています。

【関連リンク】

 成年年齢は18歳に引き下げられましたが、20歳未満の者の飲酒は法律によって禁止されています。20歳未満の者はまだ成長過程にあり、飲酒は身体的、精神的に大きなリスクがあり、社会的にも大きな影響があるためです。20歳未満の者の飲酒を防ぐため、関係省庁では毎年4月を「20歳未満飲酒防止強調月間」と定め、PRポスターや各種媒体による広報啓発活動を行っています。

【関連リンク】

 世界保健機関(WHO)では、4月7日を「世界保健デー」と定め、この日を中心に、世界的に取り組むべき健康課題について考えてもらうための啓発活動が行われます。

【関連リンク】

  毎年4月24日から30日は世界予防接種週間です。世界予防接種週間は、世界中で多くの幼い命を守っているワクチンの重要性について再認識してもらうために設けられています。

【関連リンク】

 厚生労働省では、子どもや家庭、子どもの健やかな成長について国民全体で考えることを目的、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間を児童福祉週間と定め、児童福祉の理念の普及・啓発のための各種行事を行っています。平成29年度標語は「できること たくさんあるよ きみのてで」

【関連リンク】

 毎年5月12日は、近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ「看護の日」に制定されています。そして、12日を含む週の日曜日から土曜日までが「看護週間」です。メインテーマは「看護の心をみんなの心に」。気軽に看護にふれていただける楽しい行事が、全国各地で行われます。なお、国際看護師協会では、5月12日を「国際看護師の日」に定めています。

【関連リンク】

 日本高血圧学会と 日本高血圧協会は、第30回日本高血圧学会総会において、毎年5月17日を「高血圧の日」と制定しました。

【関連リンク】

 日本脳卒中協会は、脳卒中に関する知識を広め、一般市民の脳卒中に関する理解を高めることを目的に、平成14年から毎年5月25日から31日を脳 卒中週間と定め、脳卒中に関する啓発活動を行っています。

【関連リンク】

 「世界禁煙デー」は、たばこを吸わないことが一般的な社会習慣となるよう様々な対策を講ずるべきであるという世界保健機構(WHO)の決議により昭和63年に設けられ、平成元年からは5月31日と定められました。また、厚生労働省は平成4年から、毎年5月31日から6月6日までを「禁煙週間」と定めています。

【関連リンク】

 ここ数年、日本における近年のHIV感染者・エイズ患者の新規報告数は、1,500人を超えています。HIV検査普及週間の期間中は、国や都道府県が主体となり、HIV/エイズに関する関心を高め、HIV検査の浸透・普及を図るためのキャンペーン活動等が行われます。

【関連リンク】

 厚生労働省、都道府県及び(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターは、今年6月20日~7月19日までの1カ月間、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動を実施します。この運動は、国民一人一人の薬物乱用問題に関する認識を高めるため、正しい知識の普及、広報啓発を全国的に展開します。あわせて「国際麻薬乱用撲滅デー」(6月26日) の周知を図るために行うものです。

【関連リンク】

 この週間は、歯と口の健康に関する正しい知識の普及啓発と、歯科疾患の予防に関する適切な習慣の定着を図り、早期発見及び早期治療等を徹底し歯の寿命を延ばし、国民の健康の保持増進に寄与することを目的としたものです。

【関連リンク】

 厚生労働省では、毎年6月を「外国人労働者問題啓発月間」と定めています。外国人労働者の就労状況を見ると、派遣・請負の就労形態が多く雇用が不安定な状態にあったり、社会保険に未加入の人が多かったりと、雇用管理上の改善が早急に取り組むべき課題となっています。

【関連リンク】

 全国安全週間は、昭和3年に初めて実施されて以来、「人命尊重」という崇高な基本理念の下、「産業界での自主的な労働災害防止活動を推進し、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ること」を目的に、一度も中断することなく続けられ、今年で90回目を迎えます。

【関連ニュース】

 厚生労働省、都道府県、日本赤十字社は、毎年7月を「愛の血液助け合い運動」月間として、全国各地で献血への理解と協力を呼びかけ、献血運動の推進を展開します。夏場は長期休暇などで、学校や企業などからの献血の協力者が得られにくく、献血者が減少傾向になる時期とされており、この期間を通じ若い世代を中心に広く献血への協力を呼びかけています。

【関連ニュース】

 厚生労働省では、食品衛生管理の徹底及び地方公共団体等におけるリスクコミュニケーションへの取組の充実等を図るため、8月の1か月間を「食品衛生月間」と定めています。

【関連リンク】

 日本栄養士会は、2016年に「栄養の日(8月4日)」「栄養週間(8月1日〜8月7日)」を制定しました。栄養を学び、体感することをコンセプトに、食生活を考える日とすることが目的としています。

【関連リンク】

 日本耳鼻咽喉科学会では、昭和36年以来毎年8月7日を「鼻の日」と制定して鼻疾患に対する啓発を行っています。鼻の病気には、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、嗅覚障害などがあります。花粉症などのアレルギー性鼻炎は、近年発症頻度が増加しています。

【関連リンク】

 総務省の「平成28年社会生活基本調査」によると、平均の睡眠時間は7時間40分で、男性は7時間44分、女性は7時間35分、過去20年間の睡眠時間は男女共に減少傾向となっています。

【関連リンク】

 老人の日(9/15)、老人週間は、国民の間に老人の福祉への関心と理解を深める、老人が自らの生活の向上に努める意欲を促す、という目的のために設けられました。高齢社会のもとでは、私たち一人ひとりが、世代間のかかわりを深め、社会全体で身近な問題として高齢になっても安心して暮らせる社会づくりに取り組まなければなりません。

【関連リンク】

 生活習慣病の特性や運動・食事・禁煙など個人の生活習慣の改善の重要性についての国民一人一人の理解を深め、さらにその健康づくりの実践を促進するため、9月1日(日)~30日(月)まで1か月間を健康増進普及月間とし、食生活改善普及運動と連携して、種々の行事等を国や地方公共団体、関係団体、民間団体等が全国的に実施しています。

 厚生労働省では、9月24日~30日までを「結核予防週間」として、地方自治体や関係団体の御協力を得て、結核予防に関する普及啓発などを行っています。また、結核予防会では周知ポスターやパンフレットの作成配布、全国各地で街頭募金や無料結核検診、健康相談等を実施して、結核予防の取り組みを実施しています。

【関連リンク】

 乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく眠っている間に突然死亡してしまう病気です。乳幼児突然死症候群(SIDS)発症リスクを低くするための育児習慣の啓発活動などが実施されます。

【関連リンク】

 内閣府では、子ども・若者育成支援に関する国民運動の一層の充実や定着を図ることを目的として、毎年11月を「子ども・若者育成支援強調月間」と定め、関係省庁、地方公共団体及び関係団体とともに、諸事業、諸活動を集中的に実施しています。

【関連リンク】

 全国糖尿病週間は、「世界糖尿病デー」の11月14日を含む一週間の中で、糖尿病に関する知識と理解を深め、その予防と早期発見・治療を促進するためのさまざまな啓発活動などが実施されます。

【関連リンク】

 性の健康週間は、世界エイズデーの12月1日を最終日とする1週間の中で、公益財団法人 性の健康医学財団と国、地方自治体などが協力し、健全な性の維持・増進の重要性に対する国民の理解を深めるためのさまざまな広報・啓発活動を行う週間です。

【関連リンク】

関連記事: