新米を軽トラに「1トン」積載、タイヤが跳ね上がることも…収穫期に横行する「過積載」の危険

秋を迎え、日本各地でコメの収穫が進んでいる。

地方の田んぼ道では、新米を積んだ軽トラックが行き交う。秋ならではの風景だが、その荷台をよく見ると、ちょっと気になる光景もある。

「この時期は、軽トラに1トンものコメを積んでくる農家がけっこういます」

こう明かすのは、北関東で米卸の仕事をしている男性だ。

「一度に運びたい」という気持ちはわかるが、これは道路交通法で禁止された「過積載」にあたる。しかも、度を超えれば反則金だけでは済まず、刑事事件になる可能性もある。

収穫の秋、身近に起こり得る「過積載」。どこから違反になり、何が危険なのか。その実態を探った。(ライター・タカイワマサ)

北関東で米卸の仕事をしている男性は、収穫シーズンになると驚くような軽トラックを目にするという。

「コメの収穫のいまの時期は、軽トラに1トンものコメを積んでくる農家がけっこういます。一回の運搬で運びたいのでしょうが、見ていて少し怖いですね」

軽トラックの最大積載量は本来350キロ。1トン積みなら、なんと基準の約2.9倍だ。

なぜ、そこまで積んでしまうのか。

「うちでよく利用されているサイズのフレコン(大容量の運搬用袋。正式名称はフレキシブルコンテナバッグ)にコメを入れると、それだけで1トンになっちゃうんですよね。

集荷時にフォークリフトでフレコンを持ち上げると、重さで沈んでいた軽トラのタイヤがバーン!と跳ね上がるなんてこともあります。タイヤに過度な負荷がかかっている状態なので、危ないなと思っています」

1トンは極端な例に思えるかもしれない。しかし、実はそこまで大量に積まなくても、軽トラは簡単に「過積載」になってしまう。

集荷時のコメ袋には、1袋30キロのものが多く使われている。

最大積載量350キロの軽トラックなら、運べるのは11袋、計330キロまで。もう1袋追加して12袋、計360キロになった時点で過積載になってしまう。

つまり、「あと1袋くらい」が法律違反につながるのだ。

過積載は道路交通法で禁じられており、超過割合に応じて違反点数と反則金が科される。

軽トラなら、超過5割未満で1点・2万5000円、5割以上10割未満なら2点・3万円、10割以上なら3点・3万5000円となる。

さらに見落とされがちなのが、基準の2倍以上の重量超過だ。

国土交通省は2015年、「基準の2倍以上の重量超過の悪質違反者」について、現地で違反を確認した場合、その事実をもって告発する方針を打ち出している。

つまり、過積載の程度や状況によっては、違反点数と反則金では終わらず、罰金刑や拘禁刑を科される可能性がある。

実際、2017年には滋賀県の農業協同組合の職員が、最大積載量350キロの軽トラに収穫した米約1トンを積み込ませたとして、道路交通法違反容疑で書類送検された例もある。

もちろん、過積載の恐ろしさは、罰則だけではない。

本来の想定を超えた荷物を積んで走れば、車の動きそのものが変わり、自分だけでなく周囲の車や歩行者を巻き込む事故につながりかねない。

茨城県警は2026年9月1日、公式Xで、過積載車両の取り締まり強化を発表した。同県警交通指導課は、筆者の取材に対し、こう説明する。

「重量によって、ブレーキを踏んでから実際に止まるまでの距離、いわゆる制動距離が伸びてしまうというデータがあります。ほかにはカーブのときに傾きやすいため横転してしまうなど、過積載は危険な事故を誘発するリスクがあります」

さらに、事故以外にも意外な問題があるという。

「重量オーバーの車が走ると道路のアスファルトが損傷しやすく、公道の劣化を招くといった問題点もあります。茨城県警としては以前より取り締まりに注力していますが、より一層注意喚起しているところです」(同)

「一度に効率的に運びたい」「みんなもやっているから大丈夫」──。

そんな軽い気持ちで積んだ荷物が、車を「止まれない」「曲がれない」状態に近づけ、思わぬ事故につながる。そして、積みすぎれば刑事罰になる可能性さえある。

豊作なら、運ぶコメも増える。

収穫の秋だからこそ、運転者側も、荷物を積み込ませる側も、軽トラの荷台に載せた「重さ」をいま一度見つめ直す必要がありそうだ。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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