【焦点】FRB、データ不足で政策判断に苦慮-政府閉鎖の影響拡大
米国では政府機関の一部閉鎖の影響で2カ月分の雇用統計が発表されず、来週予定される重要なインフレ指標も発表が危うくなっている。近年まれに見るほど意見が割れている連邦準備制度が、ますます深刻なデータ不足に直面する状況を示している。
米労働統計局(BLS)は本来、13日に10月の消費者物価指数(CPI)を発表する予定だった。だが閉鎖の影響で発表は延期され、現地でのデータ収集も停止した。BLSが10月のCPI公表を見送る可能性が高まっている。
インフレや雇用の動向を示す政府データがなければ、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で追加利下げが必要かに関する議論は長引くことになる。先月のFOMC会合時点で9月のCPIは公表されていたが、直近の雇用統計は発表されていなかった。
政府機関が数週間内に再開して統計作業が動き出し、全データが公表されるとしても、統計は事後調査や他の方法で集計される。労働市場については民間データがいくつかあるが、政府統計の代替となる物価指標はほとんどなく、範囲も限られる。
9月は変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIが前年同月比3%上昇と、市場予想を下回る伸びにとどまった。クリーブランド連銀の「ナウキャスト」CPIなど代替指標では、10月も同程度の結果が示唆されている。
アナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏らブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミストは「たとえ政府が再開しても、BLSが10月と11月のCPIを12月のFOMC会合前に収集・処理できる可能性は低い。10月のデータが入手できれば、12月会合で利下げを容認する材料になっていただろう」と分析している。
ただ、10月に利下げを決めた後、 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は12月の追加利下げが既定路線ではないとの立場を示している。インフレ再加速を警戒する当局者にとって、政府統計の不在は金利を据え置くさらなる理由になる可能性が高い。
市場では12月の利下げ観測が依然として優勢だが、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁やアトランタ連銀のボスティック総裁、マイランFRB理事、セントルイス連銀のムサレム総裁らに近く発言機会があり、注目される。
一方、カナダ銀行(中央銀行)が追加利下げを決定した10月会合の議事要旨を公表する。経済とインフレが予想通り推移する限り、現在の金利が「ほぼ適正な水準」にあるとの認識を示した理由が明らかになる見通し。カーニー首相は、貿易多角化と成長促進を目指す大型プロジェクト第2弾を発表する可能性がある。
中国の鉱工業生産や小売売上高、英国の賃金や国内総生産(GDP)のほか、日本やスウェーデンなど各国の中銀会合議事録も注目点となる。
原題:Data Fog Intensifying for Fed as Shutdown Delays CPI: Eco Week(抜粋)
— 取材協力 Anthony Halpin, Beril Akman, Brian Fowler, Monique Vanek, Robert Jameson, Laura Dhillon Kane, Mark Evans, Ros Krasny and Piotr Skolimowski