ウォール街、トランプ関税の違法判決に賭け-返還受ける権利を取引
ウォール街の銀行が、トランプ米大統領が導入した関税が最高裁で違法と判断されることに賭ける取引を仲介している。当たれば高い利益が見込める一方で、成功の可能性は低い取引だ。
事情に詳しい関係者やブルームバーグ・ニュースが確認した文書によると、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループやオッペンハイマーが、投資家と米国に輸入関税を支払った企業との間を仲介している。
ジェフリーズとオッペンハイマーの広報担当者はいずれもコメントを控えた。
この取引では、輸入企業が支払った関税の返還を将来受け取る権利を投資家に売却する。返還が実現するのは、進行中の訴訟で最高裁がトランプ氏の関税を違法と判断した場合だ。企業は見込まれる返還額を割り引いた価格で権利を売却し、投資家は有利な判決が出れば差益を得られる仕組みとなる。銀行は取引の仲介手数料を得る。
関連記事:トランプ氏の関税は「違法な3兆ドル増税」、米最高裁が最終判断へ
この賭けは、貿易や暗号資産、エネルギー、外交政策など、トランプ政権の広範な政策変更に連動したウォール街の投機的な取引エコシステムの一部だ。法的に複雑な論点を抱えるが、成功すれば高額のリターンが見込める。
関係者や文書によると、ヘッジファンドが返還請求権に1ドル当たり20-40セントを支払うケースが多く、裁判で有利な判決が出れば数倍の利益を得られる構造になっている。取引規模は200万-2000万ドル(約3億1000万-31億円)が中心で、1億ドルを超える取引は少数だという。
ブルームバーグが確認したオッペンハイマーの提案資料では「この仕組みにより、最終判決を待たずに結果リスクを軽減し、今すぐ確定した資金を受け取ることができる」と説明されている。
最高裁は11月5日に、トランプ氏が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠として発動した関税の合法性を巡る口頭弁論を予定している。もしこの国別関税が違法と判断されれば、連邦政府は2025会計年度における関税収入1950億ドルの大部分を企業に返還することを迫られる可能性がある。
2つの下級審はいずれも、トランプ氏にはIEEPAに基づいて関税を課す権限がないと判断している。最高裁の最終判断は年内または2026年1-3月(第1四半期)に出る見通しだ。
トランプ氏はこれまで、関税収入によって「米国を再び豊かにした」と主張し、財務省が資金返還を迫られれば国家的な大惨事になると警告している。
原題:Wall Street Bets on Tariff Refunds If Court Rules Against Trump(抜粋)
ウォール街の銀行が、トランプ米大統領が導入した関税が最高裁で違法と判断されることに賭ける取引を仲介している。当たれば高い利益が見込める一方で、成功の可能性は低い取引だ。
事情に詳しい関係者やブルームバーグ・ニュースが確認した文書によると、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループやオッペンハイマーが、投資家と米国に輸入関税を支払った企業との間を仲介している。
ジェフリーズとオッペンハイマーの広報担当者はいずれもコメントを控えた。
この取引では、輸入企業が支払った関税の返還を将来受け取る権利を投資家に売却する。返還が実現するのは、進行中の訴訟で最高裁がトランプ氏の関税を違法と判断した場合だ。企業は見込まれる返還額を割り引いた価格で権利を売却し、投資家は有利な判決が出れば差益を得られる仕組みとなる。銀行は取引の仲介手数料を得る。
この賭けは、貿易や暗号資産、エネルギー、外交政策など、トランプ政権の広範な政策変更に連動したウォール街の投機的な取引エコシステムの一部だ。法的に複雑な論点を抱えるが、成功すれば高額のリターンが見込まれる。
関係者や文書によると、ヘッジファンドが返還請求権に1ドル当たり20-40セントを支払うケースが多く、裁判で有利な判決が出れば数倍の利益を得られる構造になっている。取引規模は200万-2000万ドル(約3億1000万-31億円)が中心で、1億ドルを超える取引は少数だという。
ブルームバーグが確認したオッペンハイマーの提案資料では「この仕組みにより、最終判決を待たずに結果リスクを軽減し、今すぐ確定した資金を受け取ることができる」と説明されている。
最高裁は11月5日に、トランプ氏が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠として発動した関税の合法性を巡る口頭弁論を予定している。もしこの国別関税が違法と判断されれば、連邦政府は2025会計年度における関税収入1950億ドルの大部分を企業に返還することを迫られる可能性がある。
関連記事:トランプ氏の関税は「違法な3兆ドル増税」、米最高裁が最終判断へ
2つの下級審はいずれも、トランプ氏にはIEEPAに基づいて関税を課す権限がないと判断している。最高裁の最終判断は年内または2026年1-3月(第1四半期)に出る見通しだ。
トランプ氏はこれまで、関税収入によって「米国を再び豊かにした」と主張し、財務省が資金返還を迫られれば国家的な大惨事になると警告している。
原題:Wall Street Bets on Tariff Refunds If Court Rules Against Trump(抜粋)