イラン、攻撃開始以降の原油輸出拡大-前日までの年平均から44%増
イスラエルによる空爆を受けた13日から、イランの原油輸出が急増していることが、秘密裏の海上輸送を監視する専門会社の調査で分かった。
タンカートラッカーズ・ドット・コムのデータによると、イランは13日以降、1日平均233万バレルの原油を輸出しており、12日までの1年間の平均と比べ44%増加している。大半は、イランの重要インフラである貯蔵タンクが集積するカーグ島から輸出されている。
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イスラエルによるイランへの攻撃開始後、世界最大の産油地域からの石油供給や貨物輸送に混乱が生じると見たトレーダーや投資家の思惑により、原油価格とタンカー運賃は上昇した。だが、ペルシャ湾の出口に位置するホルムズ海峡を通る船舶の動きに変化はなく、カーグ島の現状も、現時点では供給の制限が限定的にとどまっていることを示唆している。
タンカートラッカーズの共同創業者サミール・マダニ氏は、イランの対応について「彼らが何をしているのかは非常に明白だ。安全を最優先に、できるだけ多くを輸出しようとしている」と語った。
タンカートラッカーズは、自動船舶識別装置の信号の欠落部分を、衛星画像の分析で補う専門企業だ。多くの関連船舶が信号の自動送信を停止し、追跡が困難なケースが多いイランでは、同社の技術は特に有効となっている。
イスラエルがイランの原油輸出インフラを攻撃する動きは、今のところ確認されていない。ただ、テヘランが今後状況が変わる可能性を懸念している場合、輸出を最大限に拡大することで、少なくとも短期的には、原油供給とそれに伴う収入を維持できる。
カーグ島の原油は密集した貯蔵タンクに保管されており、ペルシャ湾周辺に点在する船上の貨物や中国へ向かう途中の原油より、攻撃を受けるリスクが高い。
カーグ島南東部の海域には、通常、タンカーが積載を前に待機している。衛星画像によると、イスラエルによる攻撃が始まって以降、タンカーの位置は分散している。イランは、昨年10月にイスラエルから攻撃を受けた際も同様の戦略をとり、待機中のタンカーを分散させながら、輸出を途切れさせることなく継続した。
中東全域からの原油供給に制約が出ている兆候は他でも見られていない。ブルームバーグのタンカー追跡データによると、ホルムズ海峡を通る原油出荷に目立った変化はない。ホルムズ海峡は世界の原油の約5分の1が通過するが、航行する船舶の速度にも実質的な変化は確認されていない。
原題:Iran’s Oil Exports Soar as Israel Attack Prompts Cargo Clearout(抜粋)