光の祭典「ディワリ」翌日のインド首都、大気汚染が世界最悪に 対策訴える住民
早朝にはスモッグの層が見えた=18日、インド・ニューデリー/Sanchit Khanna/Hindustan Times/Getty Images via CNN Newsource
ニューデリー(CNN) インドの首都ニューデリーが22日、世界で最悪の大気汚染に見舞われた。この前日に行われた光の祭典「ディワリ」では大量の花火や爆竹が使われていた。
世界の大気質を観測しているスイス企業のIQエアによると、ニューデリーの微小粒子状物質(PM2.5)濃度はこの日、世界保健機関(WHO)のガイドラインの40倍を超えた。
ニューデリーの大気汚染は年間を通じて深刻な状況にある。特に冬の間は周辺地域の焼き畑が原因で一層悪化する。
今回、大気汚染悪化の原因となったディワリはヒンドゥー教の光の祭典で、硫黄酸化物や窒素酸化物、有害な重金属を大気中に放出する爆竹を大量に使用する伝統がある。
当局は2020年、有害物質を理由にニューデリーでの爆竹の製造と販売、使用を全面的に禁止した。
今年は裁判所の判断で、有害物質が少ないとメーカーが主張する、いわゆる「グリーン」爆竹の使用が、時間を限って認められた。しかし指定時刻を過ぎても長時間にわたって爆竹が鳴り続け、「非グリーン」爆竹も使われたようだと住民は伝えている。
「年々ひどいことになっている」と話すのは住民のアヌシュカ・シンさん(30)。ディワリの日は例年、「深夜から未明まで絶え間なく続く騒音」を飼い犬がしのげるよう、一緒に自宅にとどまるという。
ディワリの翌日に家から出ると喉が痛くて目がヒリヒリするといい、「デリーでの生活は苦痛。長年のデータを考慮して少なくともルールを厳格化し、実効力のあるものにしてほしい」とシンさんは訴える。
ニューデリーで商店を営むチャンドラ・タンドンさん(52)も、爆竹は「年に一度の楽しみ」としながらも、煙に耐えなければならない住民にとっては「厳しい」状況になっていると語った。
「私もずっとあの煙を吸い込んでいて、良くないことは間違いない」「爆竹を鳴らすのは子どもだけにすれば良いのに。デリーにずっと住んでいれば、大気汚染が年を追うごとにどれほど悪化しているかは分かる。だから大人は少なくとも責任を果たすべき」とタンドンさんは言う。
進まない対策
首都の大気汚染対策はほとんど奏功していない。
道路の散水や交通規制に加え、2018年には巨大空気清浄機の役割を果たすスモッグタワー2棟が、2億ルピー(約3億3500万円)をかけて建設された。
しかし専門家によると、そうした対策はいずれも執行や調整が徹底されず、遅々として進んでいない。
IQエアによると、大気汚染の世界ワーストランキングは22日、ニューデリーを筆頭に、インド東部のコルカタが4位、西部のムンバイが10位だった。