「飛騨牛はホルスタイン、天然鮎は養殖モノ…」岐阜・池田温泉、町が委託したレストランで“食品偽装疑惑”「仕入れ先が減り、オーナー自らスーパーで割引の商品を…」【7月末に夜逃げしていた】(NEWSポストセブン)
しかし現在、新館の入り口には〈事業を停止することとなりました〉と記された1枚の紙切れが貼られ、2、3階部分に人影はない。「株式会社 たち川」のオーナー・A氏は7月30日深夜、旅館から荷物を次々運び出し、夜逃げしていたのだ。 「株式会社 たち川」は町への施設利用料や、仕入れ先である生産者・納入業者への支払いが軒並み未納状態だった。さらに「郷土料理 たち川」の厨房担当だった・Eさんは、オーナーが「食品偽装を主導していた」と証言するのだった——。【全3回の第2回。第1回から読む】 〈ここ、池田温泉新館のお食事処「郷土料理たち川」では、地元の新鮮な食材を使用したお料理でみなさまをお迎えします。(中略)川魚料理、地鶏、地鶏卵、そば粉…池田町のおもてなしをぜひご賞味ください〉 すでに削除されてしまった「郷土料理 たち川」のホームページには、このようにある。1000円〜1500円ほどの定食や、5000円〜1万円程度の価格帯のコース料理を、来客と「池田温泉旅館 たち川」の宿泊客に提供していた。 しかし——「郷土料理 たち川」で料理を担当していたEさんは、「地元食材と謳いながら、食品偽装をしていた」と証言するのだ。
「オープンして半年ほど経ってから、厨房を担当して働いていました。当時はメニューや扱う食材も多かったのですが、ここ最近は経営状態も悪く、メニュー数もほぼ半分以下に。仕入れ先もどんどん減っていきました。 そして、メニューの表記と異なる食材が使われるようになったんです。仕入れ先がないから、店長が近所のスーパーで食材を買ってくる。レシートをオーナーがそこら辺に置いておくから、何をスーパーで買っているのか分かるんです」 旅館とレストランをつなぐロビーには、「飛騨牛 5等級」と目立つように掲示されている。具体的に、どのような食品が表記と違ったのか。懐石料理のメニュー表には「清水産本鮪」「北海道産紅鮭」、そして地元食材である「飛騨牛フィレステーキ」「揖斐川天然鮎塩素焼き」などと書かれているが……。 「仕入れているわけではなくて、スーパーでオーナー自ら買ってくるので、お刺身の産地はほぼ全て適当です。鮭も、チリ産のトラウトサーモンを扱ったこともあります……。 飛騨牛について、しゃぶしゃぶは『バレるから』と言って飛騨牛を使っていましたが、ステーキ肉は安い乳牛・ホルスタインのヒレ肉を使っていました。これもスーパーで買っていた。鹿児島産などの黒毛和牛を買ってくることもありましたが、オーナーは『焼いたらわからないから』と言っていました。 メニューで天然鮎とされているのは、養殖の鮎か冷凍の鮎です。冷凍の鮎は水で解凍するので水分が多く、焼くと内臓が出てきてしまうんですよ。天然の鮎は焼いても内臓が出てくることはほとんどなく、そこでわかるんです。 天ぷらのエビは『アカ海老』と書いていますが、冷凍のバナメイエビを使用していたこともあります……」