NY市場サマリー(11日)米国株は主要3指数が最高値更新、ドル下落、利回り低下
<為替> ニューヨーク外為市場では、米国の物価と労働市場に関する経済指標を受け、連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で利下げを再開するとの見方が裏付けられ、ドルがユーロや円などの主要通貨に対して下落した。
労働省が発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇。伸びは前月の2.7%上昇から加速し、1月以来の大幅な伸びとなった。また、労働省が発表した9月6日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は2万7000件増の26万3000件と、2021年10月以来約4年ぶりの高水準となった。労働市場の減速が示唆され、FRBの利下げ観測を改めて裏付ける格好となった。
マネーコープ(ニュージャージー州)の北米部門トレーディング部門責任者、ユージーン・エプスタイン氏は、今回のCPI統計でFRBの政策運営の方向性が変わったり、政策金利を変動させる度合いが変わったりすることはないと指摘。クリアブリッジ・インベストメンツのシニア投資戦略アナリスト、ジョシュ・ジャムナー氏は、新規失業保険申請件数が4年ぶりの高水準になったことで、CPI統計にもかかわらず、10年債利回りが一時4%を割りこんだと指摘。「久しぶりにCPIの発表当日に別の指標が主役になった」とし、「こうした動きは、FRBが担う二重の責務のうち『最大雇用』に焦点が当てられる可能性があることを示している」と述べた。
CMEフェドウオッチによると、この日の経済指標を受け、FRBが16-17日の会合で0.25%ポイントの利下げを決定する確率は91%。利下げ幅が0.50%ポイントになる確率は9%。
終盤の取引でドル/円は0.3%安の147.09円。ユーロ/ドルは0.4%高の1.1738ドル。主要6通貨に対するドル指数は0.3%安の97.51。
NY外為市場:
<債券> 米金融・債券市場では、10年国債利回りが5カ月ぶりの低水準を付けた。この日発表された失業保険申請件数と消費者物価指数(CPI)は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測を後押しした。
30年国債の入札は堅調で、今週を通じて見られた国債への堅調な需要を裏付けた。
米労働省の労働統計局(BLS)が11日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇した。前月の2.7%上昇から加速、1月以来の大幅な伸びとなった。
ただ市場は、10日に発表された8月の卸売物価指数(PPI)の下落を受けて、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが金利を据え置くほどインフレが深刻にはならないと確信している。
「幸いにもコンセンサスから大きく外れていなかった。市場は、悪化しなかったことにほっとした面が大きい」とマニュライフ・インベストメント・マネジメントの株式・マルチアセット投資部門最高投資責任者(CIO)、ネイト・トゥーフ氏は述べた。
米金融・債券市場:
労働省が発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇。伸びは前月の2.7%上昇から加速し、1月以来の大幅な伸びとなった。一方、労働省が発表した9月6日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は2万7000件増の26万3000件と、2021年10月以来約4年ぶりの高水準となり、労働市場の減速が示唆された。
ムーディーズ・レーティングス(ニューヨーク)のチーフ・クレジット・オフィサー、アツィ・シェス氏は「インフレは粘着的だ。スタグフレーションと呼ぶかは定義次第だが、雇用市場が大幅に減速している一方で、インフレ状況はこれにに追随しておらず、ここ数年とは異例の局面にある」と指摘。FRBは16─17日の会合で0.25%ポイントの利下げを決定し、年末までにさらに0.25%ポイントの利下げを行うとの予想を示した。
米国株式市場:
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、強弱まちまちの米経済指標が発表される中、連日の最高値更新を受けた持ち高の調整が進み、続落した。
米労働省が朝方発表した8月の消費者物価指数(CPI)は、前月比0.4%上昇、前年同月比で2.9%上昇した。ほぼ市場予想に沿った内容だったものの、伸び率は前月から拡大し、トランプ大統領が発動した高関税政策の影響が一部で顕在化しつつある。 一方、同時刻に発表された新規失業保険申請(季節調整済み)は、6日までの1週間で26万3000件と、前週から2万7000件の大幅増を記録。今週は2025年3月ま での1年間の非農業部門就業者数の増加幅が、暫定で91万1000人下方修正されるなど、労働市場の失速ぶりが改めて浮き彫りとなった。
インフレ再燃への懸念を雇用情勢の悪化が打ち消した格好で、市場は9月の利下げ再開見通しを堅持。これが利回りを生まない資産である金相場を下支えしたが、このところ連日で更新した最高値を上回るほどの買い意欲は乏しく、マイナス圏での小動きにとどまっ た。
NY貴金属:
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、世界的な供給過剰が懸念される中、4営業日ぶりに反落した。
国際エネルギー機関(IEA)は11日公表した月報で、2025年の石油供給が予想を上回るペースで増加するとの見通しを示した。石油産油国機構(OPEC)が一段と生産を増やし、その他の産油国からの供給も拡大していることが背景にある。ただ、OPECが同日公表した月報では、25年の世界の石油需要見通しが前年比日量約130万バレル増に据え置かれた。市場では、世界的な供給過剰への警戒感が根強く、相場は朝方から売りが先行した。
ロイターは11日、関係筋の話として、サウジアラビアの対中原油輸出が10月に急増する見通しだと報じた。サウジ国営石油会社アラムコは10月に日量約165万バレ ルを出荷する予定。9月は同143万バレルだった。
NYMEXエネルギー:
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