世界がいま最も注目する新進気鋭のアジアの国!! ベトナムのクルマ事情

/ コラム

 あっという間に自動車大国となった中国とインド。次に世界の自動車メーカーが注目するのが、ここで取り上げるベトナムだ。輸入車はもちろん国産EVも多く走る、クルマ普及途上だからこその熱気のある国を大音安弘氏がレポートする!!※本稿は2025年10月のものです文、写真:大音安弘

初出:『ベストカー』2025年11月10日号

【画像ギャラリー】バイク天国からEV天国への過渡期!? 世界の自動車メーカーがもっとも注目するベトナムの自動車市場(16枚)

中心部にあるハノイ駅。ベトナム鉄道は市内の移動ではなく、長距離移動のもの

 ベトナムの首都であり、第二の都市であるハノイでは、ほかのアセアン諸国同様、多くの日本車が活躍中だ。

 2024年最も売れた日本車は、ミニバンの三菱 エクスパンダーで、約2万台を記録し、3位にランクイン。街なかでもよく見かけた。2024年の夏に発売されたばかりのエクスフォースも好調。やはり、SUVが人気なようで、CX-5やカローラクロスなども多かった。

 そして、レクサスを含め、トヨタの高級車も人気が高く、現行ランドクルーザーをはじめ、アルファードやLX、RXなどの高級車の姿も……。ドイツ高級車を愛用する富裕層も多いようで、Sクラスや911の姿も見られた。

 そのなかで、ベトナム独自の存在となっているのが、EV「ビンファスト」だ。初期のエンジン車も見られるが、主力は新しいSUVタイプのEVたちで、驚くほどの数が走っている。その理由は、タクシーやライドシェアでの活用にある。

 ビジネス向けは仕様が異なるが、コンパクトSUVが大活躍。2024年の新車販売1位も、同社のコンパクトSUV「VF5」であり、新車販売上位を占めてきた日本車もウカウカしていられない雰囲気がある。

懐かしいスズキ車を発見。その名はスーパーキャリー。トラックとバンがある

 もちろん、庶民にとって、自家用車は夢の存在であり、彼らの愛車は主にバイク。その勢いは、時に4輪車がバイクに遠慮して走るほど。

 また、出先のバイク保管場所として歩道に有料駐輪場が設けられ、多くのスペースを占拠しているため、人よりもバイクのほうが多い風景も当たり前なバイク天国なのだ。

 公共交通機関は、地下鉄の整備が進められるが、まだ運行区間が短く、バスがメイン。市からの補助もあり、お手頃価格で乗れる。

 より自由な移動手段としては、ライドシェアやタクシーが重宝されているようだ。こちらも安価なので、家族や友人を伴う移動やバス路線から外れるエリアへの移動手段として活用される。

 ほかのアジアの都市同様、ハノイも大気汚染が問題となり、政府のEV政策が加速する流れが見える。

 現地財閥系ビンファストのEVシェアの大きさもあり、近未来は、EV天国になっているかもしれない。

ビンファストのショールーム

 現地の最大財閥「ビングループ」が、2017年に立ち上げた自動車メーカーが、「ビンファスト」だ。

 BMW、ピニンファリーナ、マグナシュタイアの協力を得て開発したセダンとSUVをパリサロン18で発表して話題に。2018年秋より現地でICEの乗用車と電動バイクを発売するも、2021年1月にはEVシフトを宣言。同時に世界進出も開始。現在、6車種の乗用SUVを中心に展開する。

 2024年の新車販売では、1位と2位がビンファストのEVに。これは政府のエコカー施策だけでなく、EV普及のために全土に独自の急速充電インフラを整備。新車購入者向けに無料充電を提供するなどの販売策の成功もあり急成長。

 EVバスやタクシーも手掛けるため、ハノイの街中でビンファストを見ない瞬間はないほどだ。

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